4.城下町の祭り―6
「召喚者?」その場に居た全員の言葉が重なる。するとエミははっとした表情を作り、急にばつ悪そうに俯いた。
「召喚者って何だい?何か呼び出すのかい」
「呼び出すといえばやっぱり、そのオオトカゲみたいなことかな」
老婆とノジマは互い違いに言ったがエミは押し黙ったまま。そして突然、彼女は手を叩いた。
ぱん、と軽い破裂音がし、それと同時にオオトカゲが忽然として消えた。まるで今この瞬間まで見えていたものは光の加減で現れていただけの幻だった、と言われたような違和感だけが残る。
「はい、おしまいっ!じゃあ行こっ。あたしお腹空いた」
エミが不自然なほどに話を変えた。彼女はそのまま馬車のハーネスの辺りに移動する。
「ちょっと待てよ!」ようやく声の出たリュウは慌てて捲し立てた。「どういうことだよ、今の何だよ!召喚者?オンミョウジとかってのと違うのかよ」
するとエミは苦笑いを浮かべた。「うぇ、えと、その…おんなじっ…じゃないかな、多分。よく分からないけど…そういう風に言われてたから」
言われていた?誰に。そう問いただそうとしたとき、ノジマが肩に手を置いてきた。
「ともかく、ご飯にしよう。俺も腹減ったし、誰かさんのせいで」
そう言われると弱いリュウはそのまま有耶無耶にされ、老婆宅で昼食を摂ったあと現在に至る。
「何で聞き出さねぇんだよ、おかしいだろ」
エミが引っ張る馬車に揺られながら、リュウはノジマにひそひそと詰め寄っていた。
するとノジマは数回瞬きをし、そのあとエミの背中へと視線を動かした。そうして口を開く。
「よく分からんがあの子にも事情があるんだろ」
「事情って何だよ」
「分かんないって」ノジマは頭を引っ掻く。「ただ、最初会ったときに名前がないって言ってたろ。番号はあるけど名前はないって」
「番号?んなこと言ってたっけ?」
「言ってたって。多分だがエミは…奴隷なんじゃないか?」
ノジマの言葉が重みを持ってリュウにのしかかってきた。




