表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/216

3.西の邦の王―9

 ネフィルが猛然と突進してくる。その勢いは周囲のものを抉り、吹き飛ばしそうなほどなのに、その実何も削ることもない。

 ただ、パチパチと火の粉が飛び散るような音と、カチカチと骨がぶつかり合うような音がどんどんと大きくなってくる。

 そのネフィルが空間の歪みの合間に差し掛かった頃合いで、その歪みが形を持ったものに変化した。


 巨大な金属の板。分厚い鉄板。それがネフィルを挟み込むように両側に出現する。そしてその鉄板の外側、木々の方へ何か綱のように太いものが伸びて、その行く先は消えていた。


 「目を瞑って─」天子が不意に声を出す。


 そしてネフィルがその中央に到った瞬間、強烈な閃光が走った。同時に弾けるような爆裂音が響く。


 閃光弾が弾けたような凄まじい光が辺りを覆う。


 耳の残響が止み、視界の白みが取れるまでどれ程かかったろう。

 漸く視力が回復した天子の目の前には、もう何も居なかった。巨大な鉄板もない。ただ、涼しげに揺れる木々に囲まれた、ひび割れた道路の上に、白骨が散らばって落ちているだけだった。


 目が、目が、と喚く二人を余所に、天子はにやりと不敵に笑った。

 「ビンゴ」


 「天子様、何か仰有いまして?」ネネが訊ねる。見ると、目をしょぼしょぼとしばたたかせている。

 「…いや、何も」天子ははぐらかす。

 「天子様、今のは一体…ネ、ネフィルは?」宮司は我が身可愛さからの発言を繕うこともない。

 「ネフィルは、ほらあれだよ。今のは…雷みたいなものかな」

 天子は道路の中央を指差す。すると二人は眩しさと戦いながらその指先を見た。


 「ひっ」宮司が息を飲む。

 「あれは…髑髏?どなたの…」ネネは怪訝そうに麿眉を顰めた。

 「誰のかは知らないけど、状況から考えて南の国の方から来たのかな」

 「ミナミノクニから…?我が君、それは一体どういうことですか。それに神鳴りとは…。このような晴天ですのに」ネネは天子の言葉を掴み損ねたのか、質問を繰り返した。

 けれど天子はそれを気にも留めない。

 「なるほど上手いね。確かにこれは青天の霹靂だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ