表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/42

第9話:ジンガの乱れ

プロフリンクから他の作品も読めます

夕暮れのキャベツ畑。ワカハは一人、カポエイラの練習に励んでいた。



セーラー服の裾を翻し、鋭い回し蹴りが空を切り裂く。シュッ、シュッという音だけが響く静寂の中、佐藤は遠くから彼女を見つめていた。



「……佐藤くん。そこにいるなら、手伝って。……一人だと、ジンガのリズムが掴みづらいの」



佐藤は促されるまま、彼女の正面に立った。ワカハは佐藤の肩に手を置き、独特のステップを踏み始める。彼女が動くたびに、ブラウスの下で豊かな胸が揺れ、その熱気が佐藤に伝わってくる。



「……佐藤くん、今日、サチと図書室にいたでしょ。……サチ、喜んでた?」



「え、あ、まあ……耳掃除しただけだけど」



「……そっか。サチも、佐藤くんが気に入ったんだね。……でも、私は、もっと佐藤くんとしたい」



ワカハは動きを止め、佐藤をじっと見上げた。彼女の瞳に、ほんの少しだけ、今までにはなかった「陰」のようなものが宿る。



「……昨日の続き。……今日は、私がしてあげる。……佐藤くんの、その……苦しそうな顔、好きだから」



彼女は地面に腰を下ろし、慣れた手つきで佐藤を自分の膝へと誘った。それは「お礼」という名の義務なのか、それとも彼女自身の「興」なのか。



ワカハは佐藤を包み込みながら、静かに一首詠んだ。



「里山の 風は誰にも 吹くものを 止めておくれと 君は泣くのか」



(……止めてやりたいよ。この風を、君という風を、僕だけの部屋に閉じ込めておきたいんだ……!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ