表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/45

第19話:籠もった熱、煮詰められた匂い

プロフリンクから他の作品も読めます

深夜二時。入れ替わりが再び行われ、佐藤のテントにようやく「本命」がやってきた。

音もなく入ってきたワカハは、サチが残していった空気の層を、自分の匂いで塗り替えていく。


「……佐藤くん。……サチ、上手だった?」

「……そんなの、どうでもいいよ。……君は? 君はどこで、誰と……」

「……内緒。……でも、私のジンガのリズム、まだ覚えてるでしょ?」


ワカハは佐藤の上に跨った。ジャージの布同士が擦れる、カサカサという乾いた音。

だが、その内側は驚くほど湿り、熱を持っていた。


狭いテントの中、外気から遮断された空間は、二人の体温で煮詰められていく。


(……ああ。これだ。この匂いだ)


それは、汗と、ジャージのポリエステル臭と、そして奥底にある、ワカハという少女の生々しい芳香が混ざり合った、逃げ場のない「籠もった熱」だった。


佐藤は、彼女の体を強く抱きしめる。


今、自分の中に流れ込んでくる彼女の感触だけが、他の男に上書きされた記憶を必死に書き換えてくれると信じて。


「森のに 籠もる吐息の 熱きかな が名と知らぬ 汗にまみれて」


ワカハが耳元で詠む短歌に、佐藤は快感と、耐え難い悲しみを同時に覚えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ