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不幸少女は、二度目の人生で勇者を救いたい  作者: 梅道
第2部 亡き王女との約束 第2章 殺人事件
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謎解き

この世界の管理者は静かに告げた。

「勇者アイカ。ホムンクルスに気をつけてください」

「そして、禁忌を犯したエルフの長老を殺害してください」


その言葉を最後に、白い世界は音もなく崩れ始める。

アイカは何か言い返そうとしたが、その前に視界が真っ白に染まった。


次の瞬間。


気が付くと、再び宿屋の廊下に立っていた。

血の匂い。

騒がしい声。

床に倒れたエルフの遺体。

何も変わっていない。

だがアイカだけは、自分がほんの数秒で世界の秘密を聞かされたことを知っていた。


アイカ「っ……」

軽いめまいがした。

身体がふらつく。


その瞬間。

背中に柔らかな感触が触れた。

サクナが片手で支えてくれていた。


サクナ「大丈夫?」


アイカ「ああ、なんとか……」


アイカは顔を上げる。

すぐ近くにあるサクナの顔と目が合った。

碧眼の瞳が心配そうに揺れている。


アイカは苦笑した。

アイカ「ありがと」


サクナ「どういたしまして」


その頃。

治安官たちは頭を抱えていた。

治安官「一体誰が犯人なんだ……」


ダークエルフの少女は壁際で怯えている。

だが決め手がない。

治安官もさすがに「ダークエルフだから犯人」という理屈だけでは捕まえられなかった。


サクナが小さな声で言う。

サクナ「今わかってるのって、あのダークエルフの目的がアイカを狙ってるかもしれないってことくらいだよね」


アイカ「そうだな」

アイカは腕を組む。


アイカ「この世界じゃダークエルフは嫌われ者だ」

アイカ「だから、もしエルフを殺した犯人がいたとしても」

アイカ「ダークエルフに罪をなすりつければ、みんな簡単に信じる」


サクナの目が少し見開かれる。

サクナ「あ……」


アイカ「つまり」

アイカ「最初からダークエルフを犯人にするつもりで殺した可能性がある」


治安官も反応した。

治安官「なるほど……」


サクナは顎に指を当てる。

サクナ「じゃあ、パーティーメンバーのドワーフさんとか?」

サクナ「仲間同士で揉めてたとか?」


アイカ「可能性はある」

アイカ「でも気になることがあるんだよな」


サクナ「?」


アイカは現場を見渡した。

アイカ「俺たちがここへ来た時、誰がいた?」


サクナは少し考える。

サクナ「えっと……」

サクナ「宿屋の夫婦」

サクナ「ドワーフさん」

サクナ「獣人さん」

サクナ「それから死体」


アイカ「ダークエルフ以外全員いたよな」


サクナ「うん」


アイカ「そして俺たちは叫び声を聞いて飛び出してきた」


サクナ「うん」


アイカ「叫んだのは誰だった?」


サクナは首を傾げた。

サクナ「宿屋の旦那さんじゃないの?」


アイカ「そう説明してたな」

アイカはゆっくり言った。


アイカ「でも俺が聞いたのは女性の悲鳴だけだった」

サクナ「え?」


アイカ「俺もお前も聞いたのは女性の声だろ?」

サクナは思い返す。


そして。

サクナ「あ……本当だ」


アイカ「宿屋の夫は、自分が叫んだって言ってた」


アイカ「でも実際に聞こえたのは女の人の悲鳴だけだ」


アイカの視線が宿屋夫婦へ向く。


アイカ「そこに空白の時間がある」

サクナ「空白の時間?」


アイカ「ああ」

アイカ「夫が遺体を発見した」


アイカ「それから妻が悲鳴を上げるまでの間にな」


サクナの顔色が変わる。

サクナ「まさか……」


アイカ「宿屋夫婦が何か隠してる可能性がある」


アイカはドワーフの男へ近付いた。


ドワーフの男「なんだ?」


アイカ「確認したい」

アイカ「宿屋の夫の叫び声、聞いたか?」


ドワーフの男は顎髭を撫でた。


ドワーフの男「いや」

ドワーフの男「聞いたのは女の叫び声だけだな」


獣人の男も黙って頷く。

ドワーフの男は隣の獣人を親指で指した。

ドワーフの男「こいつは耳がいい」

ドワーフの男「獣人だからな」


獣人の男「間違いねぇ」


ドワーフの男「こいつが聞いてないなら、宿屋の夫は叫んでねぇんじゃねえか?」


その言葉が落ちた瞬間。

廊下の空気が変わった。

全員の視線が、ゆっくりと宿屋夫婦へ向いた。

宿屋の夫の顔から血の気が引いていた。

最後まで読んでくださってありがとうございます!

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