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はじめての告白

勇者アイカは、ひとりで城下町を歩いていた。

魔王討伐から数日。 街は平和を取り戻し、どこか浮かれた空気が漂っている。

アイカは鼻歌を歌いながら、上機嫌だった。


アイカ「ナギへのお土産、何にしようかなぁ……!」


その顔は、完全に恋する少年のそれだった。


そんなとき


猫獣人の少女「勇者様!! 私とデートしてニャー!!」

突然の叫び声。 アイカは思わず足を止めた。


アイカ「え?」


猫獣人の少女は勢いよく近づき、両手を広げる。


猫獣人の少女「デートするニャー!!」


アイカは苦笑しながら手を振った。


アイカ「気持ちはうれしいけど!! 俺には心に決めた相手がいるから無理だね」


アイカは鼻を鳴らし、軽く笑う。


猫獣人の少女「ニャー!!」

その瞬間、少女の表情が笑顔から絶望へと変わった。

瞳が揺れ、尻尾がしゅんと垂れ下がる。

彼女の脳裏には、奴隷市場で一緒に捕らえられていた仲間たちの顔が浮かんでいた。

“故郷に帰れると思ったのに” “お母さんとお父さんに会えると思ったのに”

その思いが胸を締めつける。


猫獣人の少女「そんなニャー……そんなニャー……」

体が震え始めた。

アイカはその様子を見て、ただ事ではないと察した。


アイカ「……まぁ、ごめんよ」


そう言って歩き出すが


猫獣人の少女「ま、待つニャー!!」


少女は勇者の服をぎゅっと掴んだ。

必死すぎて、爪が少し食い込んでいる。


猫獣人の少女「話だけでもいいから、聞いてニャー!!」

アイカは振り返り、震える少女を見つめた。

その瞳は涙で揺れている。


アイカ「……はぁ。話聞くだけだからなぁ」


猫獣人の少女「う、うれしいニャー……!」

少女は安心した瞬間、腰が砕けてその場にへたり込んだ。


アイカは慌てて手を差し出す。

アイカ「ほら、立てるか?」

猫獣人の少女はその手を握りしめた。


猫獣人の少女「ありがとうニャー……」

震える足で立ち上がると、二人は近くのベンチに腰を下ろした。


アイカ「で、話ってなんだ?」


猫獣人の少女「え、えっと……まずはお礼ニャー。 奴隷だった私たちを解放してくれて……ありがとうニャー」


アイカ「ああ。あの時の子供たちの一人か!! まぁ、実際は俺の仲間のサクナが奴隷市場を崩壊させて、君たちを助けたんだけどなぁ」


猫獣人の少女は深呼吸し、勇気を振り絞って言った。


猫獣人の少女「私と付き合ってほしいニャー!!」


アイカ「ごめんよ」


即答。


猫獣人の少女「ニャ……ニャァァァ……」

少女はぽろぽろと涙をこぼし始めた。


アイカは心の中でつぶやいた。

(モテる男は……罪だぜ)


アイカ「俺のどんなところに惹かれたのかなぁ?」

アイカはニヤニヤと笑う。


猫獣人の少女「惹かれてないニャー」


アイカ「はい?」

アイカは首を傾ける。

少女は涙を拭いながら、震える声で続けた。


猫獣人の少女「惹かれてないけど……故郷に帰るためニャー」


アイカ「どういうこと?」


猫獣人の少女「ジミー様に命令されたニャ…… 勇者様を誘惑してこいってニャー」


アイカ「あいつ、マジか。」

アイカ「いや、あいつ何してんの?」


猫獣人の少女「うまく行けば、友達も含めて獣人の国へ送り届けるってニャー」


アイカ「あかん、アイツに腹立ってきた。」


猫獣人の少女「正直、勇者の顔はタイプではないニャー。甘く見積もって中の下ニャー。がが..我慢するニャー……!」


アイカ「なんか、腹立つなぁ。お前も」

アイカは息を呑んだ。

少女の尻尾は震え、耳はしゅんと垂れ下がっている。


猫獣人の少女「友達が……故郷に帰れるなら……」


猫獣人の少女「私一人が犠牲になれば、みんなが助かるなら。私は犠牲になるニャー!!」

猫獣人の少女の目を閉じて笑い。涙が頬を通り、服におちる。


アイカ「俺は魔王か!? お前の犠牲で世界が救われるみたいな言い方やめろ!!」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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