十四章 姫、ライバルを考える
「姫よ、先の話について考えを聞きたい。」
長の言う先の話とは、姫と同じ考えを持つ者が大国にいたら、いかに渡り合うか、というものである。
姫は答える。
この国に古来より伝わる占いがあるように、どこの国にも特別な占いがあること。
ならば、好敵手が多数いることは、想定すべきこと。
しかし、私は長から占いを授かった身として、決して負けないこと。
剣の神と槍の神の戦いは、舞い踊るように美しいと聞くこと。
好敵手がいること自体は、かえって噛み合い、全体として良い方に向かうかもしれないと、姫は言う。
姫は続ける。
他の国の優秀な好敵手よりも、我欲にとらわれている味方の方が油断ならぬこと。
別に、敵の誘惑に乗り、この国を裏切る者が出ることは想定すべきであり、それは構わないこと。
しかし、我欲にとらわれているがゆえに、自分は正しいと思い込み、誰もが考えないことをやらかす者が、最も厄介であること。
自分が味方を傷つけているにも関わらず、自分の頑張りを訴え、自らの過ちを認めないこと。
また、そのような人が身近にいると言いつつ、自分を顧みない者がいること。
「正しい者よりも間違う者の方が救いがある」という言葉は、何も宗教の中だけの話ではないこと。
せめて自分は、長との対話を通じて、我欲ある自分と向き合い続けたいと、姫は言う。
長は、姫の言葉に頷いている自分に気づくのであった。




