天然騎士
王族の命令ならば断わることなど無理だった。
特に祖父母は先王にも使え重臣と謳われる程の信頼がある。
祖父母の顔を潰すなんてできないのだ。
ため息をつきながらお茶の用意をする。
普段はアンナが淹れるのだがアランが来ている為気を利かせている。
必要ない気の利かせ方だが、文句を言っても仕方ない。
「お口にあうか解りませんが」
「この菓子は?」
紅茶と一緒に添えられているマカロンを見て目を輝かせる。
「マカロンです。卵の卵白で作ったお菓子です」
「見た目も美しいが・・・美味しいな」
花がほころぶような笑みを浮かべマカロンを食べるアランは本当に甘党だった。
紅茶も蜂蜜入りで甘めで疲れが吹き飛ぶようだった。
「アリシアは魔法使いだな。人を笑顔にする魔法使いだ」
「アラン様・・・」
「戦場に立つしかできない俺とは違って誰かを笑顔にできるアリシアはすごい」
とろけるような甘い笑みを浮かべるアランにアリシアは胸が苦しくなる。
なぜこんなにも胸が苦しくなるか解らなかった。
「兄上も元気になられた・・・すべてアリシアのおかげだ。本当にありがとう」
「ひゃっ!!」
そっとアリシアに指に触れキスをする。
「アラン様!貴方何を!」
「ん?キスだが」
「そうではなくてですね!」
正式な婚約をするまでは手は出さないはずだったのではないかと言うと。
「良き関係を気づくには態度で示せと兄上に言われたのだが・・・間違っていたか?」
脳内にはあののほほんと笑うユリウスの笑みが浮かぶ。
「アメリアは手始めにコミュニケーションを積極的に取れと言われたんだが」
お婆様はなんてことをしてくれたの!!
純粋無垢なアランは騙されているのだと気づく。
色恋にはかなり疎いアランに眩暈がするアリシアは一から教えなくてはならないと思った。
「アラン様」
「ん?なんだ」
「貴方には騎士としてよりももう少し俗世のことを学んでください。いいですか!妙齢の男が女性にそのようなことはしてはなりません!」
世間から少しずれて居るアランは教育せねば!
そう強く思ったアリシアは椅子に座らせお説教を始めた。




