序章:ここはどこ?06
オッス!オラ六角誠二!何か名前がロッカクになってたから副官さんにはロッカク様と呼ばれるようになりたいぞ。そんなこんなで38歳のおっさんがいつの間にやら推定見た目年齢80代のジジイに急速老化した上に漏水・・それじゃ尿漏れか。老衰と殺害の危険にさらされるという無理ゲーで生き残りをかけた生存競争に巻き込まれていくぞ。
はぁ。
テンション上げたところで状況は変わりません。だけどステータスっていうものが見えることで色々と分かったこともある。これは意識的に開示することが出来るということだ。また見ようと思えば俺の鑑定スキルで除き見することも可能。熟練すればスキルレベルも上がるし精度も上がる。By副官。ということである。
そういうわけで、部屋の物を片っ端から鑑定しているわけである。
魔王の寝具:ベッド。いい素材を使用している。
魔王の寝具:ベッド。いい素材を使用している。
魔王の寝具:ベッド。いい素材を使用している。
魔王の寝具:ベッド。いい素材を使用している。
魔王の寝具:ベッド。いい素材を使用している。
鑑定のLvが上がった。
魔王の寝具:ベッド。スリーピングバードの羽を使用している。
魔王の寝具:ベッド。スリーピングバードの羽を使用している。
魔王の寝具:ベッド。スリーピングバードの羽を使用している。
魔王の寝具:ベッド。スリーピングバードの羽を使用している。
魔王の寝具:ベッド。スリーピングバードの羽を使用している。
鑑定のLvが上がった。
そんなことを続けて半日。とうとう俺は鑑定を極めることが出来た。鑑定LvMAXを手に入れた。MAXはLv10と同等、つまりそれ以上ないということらしい。後半はなかなか上がらなかったが半日で上がるっていうのは優秀なんだろうな。以降はいくら使っても上がる素振りも見せなかった。
ちなみに鑑定LvMAXの鑑定結果がこれだ。
魔王の寝具:超高級ベッド。生まれたばかりのスリーピングバードの雌の羽を使用しエルフの乙女が選別した上質な羽だけを使用した。純度100%、混ぜものなしのスリーピングバードフェザーを使いドワーフの職人が絹の生地を加工しベッドへと昇華させた一点物。その効果は睡眠耐性がなければ横になった瞬間に意識を失ってしまうだろうというもの。スリーピングバードという魔獣を懐柔することが出来なければ死を覚悟する必要があることからこれまでこのベッドを製作しようとすると不幸をもたらすとまで言われている。
という、正直説明過多な鑑定結果だがこの世界のことがわからない俺にとっては鑑定先生があるおかげで危険なものには触らないで場内をうろうろしているわけだ。広すぎてすぐに力尽きてしまうのだけがどうにもならない。じじいの体、テラハード。
さて、となると次は自分のレベルを上げるって方法だが・・この城には魔物がいない。つまり敵を倒してレベルを上げるというのは出来ない。スキルの熟練度を上げるにしても唯一持っていた鑑定はMAXだ。鑑定は便利なんだが相手がこれを持っていたら俺の情報ダダ漏れだな。どうにかならんのかな。
ステータス隠れろ!隠れろ!隠れろ!隠れろ!隠れろ!隠れろ!隠れろ!隠れろ!隠れろ!ってこんなことで隠れるわけ・・・
隠蔽のスキルを覚えました。
え?マジで?こんな感じで覚えられるの?スキルってもっとこう大変なんだと思ってたな。
ステータスオープン
名前:ロッカク
年齢:爺
性別:男性
Lv:1
HP:30
MP:25(※※※※)
スキル:鑑定LvMAX リスニングLvMAX 隠蔽Lv1
称号:ぼっち魔王
おお!ちゃんと覚えてる!って昨日は気付かなかったけどボッチ魔王ってなんだよ。ぼっちじゃねーじ!副官さんがいるし!
とりあえず隠蔽を上げるか。
夜まで粘って隠蔽はLv6まで上がった。そこまで上げればとりあえずは大丈夫だろう。途中でステータス内容改竄なんて出来るようになったから、魔王っていうのは隠せると思う。
「副官さん、いる?」
「はい、魔王様。ここに。」
「元魔王からもらった鑑定ってどういったものかわかる?」
「はい、この世の真理を見通すものだと伺いました。元魔王様がおっしゃっていましたが、これをちゃんと使えば魔王城のトラップに引っかかって死ぬなんてことはなくなる、そうです。」
そうか、勇者が来た時に城のトラップは解除されてそのままだったな。無造作に歩き回ってたけど、死のリスクもあったのね。気づくと怖い散歩だったんだな。気を付けよう。
「トラップは切っておいてね。じゃないと俺一発で死んじゃうから。」
「かしこまりました。」
それにしても、全く打ち解けないよね。副官さん。スリーサイズは聞いたから、鑑定でこっそり見てみるかな。
副官さん(仮):元魔王により副官という役割を与えられた存在。プロトアントラージュタイプ。個体番号※※※。元になる種はハイエルフと上級魔族を遺伝子レベルで掛け合わせたキメラ種。創造主の子ではない為、神の加護は受けていない。元となった種族が魔法に優れていたことで魔法特化の個体。命令には絶対服従。体内に魔角を持つ為、外見は他種族からも魔族とは見分けが付きにくく潜入など諜報を得意とする。なお、個体特性として※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※、※※※※※※※※※※※※、※※※※※※※※。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※。※※※※※※※※。プロテクトにより表示出来ません。
おいおい、万能じゃないのかよ。鑑定先生。半分位見れないやん。鑑定LvMAXでも見れないなんて相当の秘密が隠されているのかな。諜報が得意か、あれだけいつも背後に立たれると納得だな。ただ、この城では活かす機会ないけど。知らない単語もいくつか出てきたな。
「副官さん、魔角ってなに?」
「魔王様の頭に付いている角のことを魔角といいます。魔核ともいいます。これは魔力の源であり、魔族が魔族である所以でもあります。」
「副官さん体内に持ってるみたいだけど、違いは何?」
「!?、何故それを?」
「悪いとは思ったけど鑑定で見た。」
「そうでしたか。ほとんどの魔族は体外に魔角を持ちます。ただ希に体内に持つ者もいます。それがどういった基準でそうなっているのかは私にはわかりかねます。」
「ふむ、副官さんは意図的に体内に収められているようだけど、元魔王はその辺のとこを弄れるんだろうな。」
「元魔王様に不可能はないと思います。」
「・・・副官さんは元魔王の副官というわけなんだね。」
「はい、そのとおりです。」
なるほど、これも全て上司からの命令で俺に付いていることが業務というわけか。俺の副官というわけではないんだね。うん、だからかいつも冷たい目で見ていたのは・・・。いきなり知らない奴の側近なんて嫌だよな。しかも、今までの異世界からの魔王は女性としてひどい扱いをしていたみたいだし。今回なんて、すでに一人死んでるわけだしな。いるよね、無理難題出す上司って。俺もそのおかげで連日残業だったから気持ちわかるよ。って俺よりよっぽど酷い職場環境だ。暫定上司としては少しくらいは改善してあげたいところだ。とはいえ、俺が生き残って副官さんも生き残っていた場合に限りだな。
「強くなる方法はあるかな?」
呟く俺に副官さんが淡々と答える。
「魔物は外にしかいませんが、今の魔王様にはダメージを与えることは難しいかと思います。」
「そうだよなぁ、じじいでレベル1だもんな。」
「魔族は私だけですので、私を殺しても経験値は入ると思いますが、いかがいたしますか?」
「は?いかがいたしますか?じゃないよ!そんなん却下だ却下!ビビるわ!」
「失礼しました。」
「・・・副官さんが瀕死にした魔物に止めを刺しても上がらないのか?」
「・・・・・・・それならば、何割かは入ると思います。有効だと判断できます。」
「そうか!よし、それでいこう!」
「私がお側を離れることになりますが宜しいですか?」
「構わないよ、とりあえず適当な魔物を瀕死で頼む。」
「かしこまりました。」
そう言い残して副官さんの姿は見えなくなった。さてどんな魔物が来るのか。このジジイの体でダメージを与えられるんだろうか。
「これをどうしろと?」
「拳を捻り込むように打つべし、です。」
「いやいやいやいや~それは無理ってもんでしょう~。勘弁してください・・・。」
目の前には羽をもがれ角を折られた3mほどのカブトムシの魔物が体液をダラダラ出しながら横たわっている。藍色の攻殻は拳で殴ろうものなら拳の方が砕けるのは必死だった。俺には傷一つつけられねーよ!こんなんどうやって瀕死にして来たの?副官さん可愛い顔してやることえげつないですやん。言動に気を付けよう、うん。
ラプタービートルキング:ラプタービートルの群れの長。群れの中から一際強力な個体が進化する。キングになるものが現れた群れは集団行動を行う。そうなると討伐の難易度が格段にあがることとなる。指揮するラプタービートルキングを倒すまで集団での連携は保てており時に上級魔族ですら足元を掬われかねない脅威となることがある。
個体Lv66
HP20/700
MP43/120
スキル:飛行 ホーンストライク 超音波
結構、強力な個体やん。ほんとに瀕死なんだね。でもスキルが全てダークグレーってことは発動できないのか?よくみれば角も折れてるし羽も、もがれている。ということは損傷部位に応じた技があったが副官さんが封じてくれてたんだろうな。感謝感謝♪その努力も俺が倒せなければ無駄になるわけなんだけどね。
「副官さんや、こいつを倒せる武器はないかね?」
「武器ですか?失礼ですがどのようなものが使えるのでしょうか?」
「ん~・・ハンマーみたいな槌があればいい気がする。もしくはナイフとかか。」
「では、いくつかご用意いたします。」
そう言い残し、副官さんは奥へ消えていくのだった。