第239章 ― グレン高原リゾート計画 ―
第239章 ― グレン高原リゾート計画 ―
グレン村の人口は、ここ数ヶ月で目に見えて増加していた。
冒険者、商人、技術者、軍関係者、そして観光客――
村のどこを歩いても、以前には見られなかった活気が満ちている。
その中心には、すすむが築いてきた数々の施設があった。
DIAグレン支局、海軍学校、リゾートホテル群、店舗街A、クリニックA――
どれもが王国の重要拠点となり、国内外から多くの人々を引き寄せていた。
だが、人口増加に伴い、ある問題が浮上していた。
「高位の客を迎える宿泊施設が足りない」
王族、貴族、政務官、軍高官――
彼らが視察や会議でグレンを訪れる機会が増えたが、
既存のホテルでは対応しきれない場面が出始めていた。
すすむは、リゾートホテルCのロビーで報告書を読みながら、静かに考え込んだ。
(……そろそろ、上級者向けの宿泊施設を作るべきだな)
マリーが隣で紅茶を飲みながら、すすむの表情を覗き込む。
「すすむ、また何か考えている顔をしていますね」
「うん。最近、王族や貴族の来訪が増えてるだろ?
彼らが安心して滞在できる場所を作りたいんだ」
「確かに……。今のホテル群は便利ですが、格式という点では少し足りないかもしれません」
「そうなんだよね。だから――山の中腹に、高原リゾートを作ろうと思う」
マリーは目を輝かせた。
「高原リゾート……素敵です!」
すすむは微笑み、立ち上がった。
「じゃあ、早速取りかかろうか」
まずは、リゾートホテル前駅の横に、
今回のレベルアップで手に入れた“登山電車の駅”を設置することにした。
場所は、リゾートホテルCのすぐ横。
街道に面したスペースに、すすむは能力を発動した。
ゴォォォ……ン!
地面が震え、白い駅舎が姿を現した。
「登山電車・リゾートホテル前駅」
木造と石造りを組み合わせたクラシックな外観で、
山岳リゾートの玄関口として申し分ない雰囲気だ。
マリーが感嘆の声を上げる。
「すすむ……これ、すごく可愛い駅ですね!」
「うん。ここから山の中腹まで登山電車を走らせるよ」
「登山電車……! 楽しみです!」
すすむとマリーはヘリに乗り込み、
低空飛行しながら山へ向かって進んだ。
すすむはヘリの窓から手を伸ばし、能力を発動する。
線路が、渓谷沿いに伸びていく。
鉄橋、トンネル、カーブ――
地形に合わせて自動的に最適化され、
美しい登山鉄道が形を成していく。
マリーは窓から身を乗り出し、目を輝かせた。
「すすむ、見てください! 渓谷の景色がすごく綺麗です!」
「ここを電車が走ったら、きっと人気の観光ルートになるよ」
途中、魔物が出没しやすい地点には、
ゴブリン除けの魔法装置を設置した。
「これで安全に運行できますね」
「うん。観光客が安心して乗れるようにしないと」
リゾートホテル前駅から約7km。
渓谷が大きく開け、川が怒涛のように流れる絶景ポイントに到達した。
すすむはここに駅を設置する。
「AngryRiver駅」
木造の駅舎は渓谷の景色と調和し、
観光地としての魅力を存分に引き出していた。
さらに、駅の引き込み線には――
SL(蒸気機関車)を展示。
黒光りする車体は迫力があり、
鉄道ファンでなくとも心を奪われる存在感だ。
そして、駅のすぐ近くに――
クラシックホテルBを設置した。
重厚な石造りの外観、赤い絨毯、
ロビーからは渓谷を一望できる。
ホテルの特徴は以下の通り。
・温泉付き
・馬車でもアクセス可能
・バレーパーキング採用
・手作りチョコレートのショップ
・渓谷ビューのロビー
・高級レストラン(鉄板焼きコーナーあり)
・バーラウンジ完備
マリーはロビーに立ち、息を呑んだ。
「すすむ……ここ、本当に素敵です。
まるで王都の高級ホテルみたい」
「ここは、貴族や政務官が気軽に泊まれる場所にしたいんだ」
「きっと喜ばれますよ」
さらに登山電車を3kmほど伸ばすと、
山の中腹に広い平地が現れた。
すすむはここに駅を設置する。
「UnderPlace駅」
そして、近くに――
クラシックホテルAを建設。
ここは、三つの宿泊棟を持つ複合型ホテルだ。
● 洋風宿泊棟
木造のクラシックな建築。
暖炉付きの部屋もあり、冬場は特に人気が出そうだ。
● 和風宿泊棟
木造の数寄屋造り。
王族を迎えるのにふさわしい格式を備えている。
● 現代風ビル宿泊棟
上層階にはサウナ付き大浴場。
地下には室内プール、屋外にはガーデンプール。
さらに、庭園や和食レストラン、
アップルパイが名物のカフェも併設する予定だ。
マリーは和風棟の前で立ち止まった。
「すすむ……ここ、すごく落ち着きますね。
王族の方々もきっと気に入ります」
「うん。静かに過ごしたい人向けのホテルだね」
最後に、さらに3kmほど登山電車を伸ばし、
山の中腹の開けた場所に到達した。
ここに終点を設置する。
「Light Marsh駅」
そして、その近くに――
クラシックホテルDを建設。
赤っぽいオレンジの屋根、白い壁、木造の温かみ。
内部は赤い絨毯が敷かれ、クラシックな雰囲気が漂う。
このホテルは、夏場の避暑地としての利用を想定している。
・高級レストラン
・バーラウンジ
・カフェテラス
・ホテルヒストリー展示コーナー
・森林ビューのテラス付き客室
マリーはテラスから森林を眺め、深呼吸した。
「空気が……すごく澄んでいますね」
「ここは、王族や要人が静かに過ごせる場所にしたいんだ」
「きっと、皆さん喜びますよ」
三つのホテルの設置が完了すると、
すすむはダレス、アゼリー、グラントら
ホテル各部門の責任者を集め、説明会を開いた。
ダレスは資料を見ながら目を丸くした。
「すすむさん……これ、全部グレン村に作ったんですか?」
「うん。高原リゾートとして運営していくよ」
アゼリーは興奮気味に言った。
「クラシックホテルBの鉄板焼きコーナー、私が担当してもいいですか!?」
「もちろん。アゼリーさんなら安心して任せられるよ」
グラントは真剣な表情で頷いた。
「警備体制は私が整えます。
要人が来るなら、万全を期さねばなりません」
すすむは微笑んだ。
「ありがとう。開業は2ヶ月後。
それまでに従業員の訓練をしっかり行おう」
こうして――
グレン村に、三つの高級クラシックホテルと登山電車を中心とした
一大高原リゾートが誕生した。
王族、貴族、政務官、軍高官――
あらゆる要人を迎え入れる準備が整い、
グレン村はさらに新たな段階へと進んでいく。
すすむは山頂から村を見下ろしながら、静かに呟いた。
「……また一つ、世界が変わったな」
マリーが隣で微笑む。
「すすむがいるから、変わっていくんですよ」
すすむは照れくさそうに笑い、
二人は夕日に染まるグレン村を眺め続けた。




