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長い冬の一日  作者: 檀敬
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二・シリコニアン

 あたし『ヴィクトリア』は「シリコニアン」

 そして彼『オンジュン』も「シリコニアン」

 誰がそう呼んだのかは一切記録がないけれど、種族の通称として、あたしたちは自らを『シリコニアン』と呼んでいる。

 あたしたちはシリコンを基底元素とした『Life of the electronic circuit(電子回路の生命体)』で、シリコンに刻まれた生命の回路で生きている。

 あたしたちの外観は、巨大なシリコン結晶体が合体した金属の塊にしか見えないと思う。エレクトリックサーキットが組み込まれたシリコンインゴットが何百世代と積み重なっているのだから。

 このシリコンのインドットの中には生命体としての機能が収められているのはもちろんだけど、様々な機構も組み込まれている。それぞれの個体が専門の仕事をするための補助機器類から推進装置である『ダーク・セイリング』やエネルギー発生装置の『バキュームジェネレータ』など、宇宙船の機能も搭載している。

 あたしたち「シリコニアン」は、それ自体が固体金属の生命体であり、それ自体が宇宙船でもあるのだ。


 あたしたち「シリコニアン」は遠い昔、まだ宇宙が熱かった頃に誕生したらしい。

 その頃の宇宙は熱過ぎて、炭素が固体として存在出来ず気体であった頃であり、シリコンという元素にとってはとても快適な温度だった。二つのシリコン原子の二重結合や三重結合は、今現在の炭素分子のように結合可能であり、その化合物は幾千種類にも及び、その物理的、化学的な柔軟性は、今現在冷え切った宇宙で炭素が生命の主力になっている状態と全く同じで、シリコンの生命体は星の上を歩き、動いていたという。

 やがて宇宙が膨張し空間が広がるごとに、無常なことにも宇宙全体の温度は下がり始め、遂にシリコンはその可塑性を失い、あたしたちは動けなくなり始めた。そこであたしたちは何とか生き残ろうと、自分たちの基底元素であるシリコンにその方策を見出した。それは半導体特性である。シリコンの結晶の中に生命活動の基である『サーキット』を刷り込みそして埋め込んで、それをエレクトロンの力で駆動し、あたしたちの生命活動を何とか維持したと、あたしのヒストリーバンクが告げている。


 世代を重ねるうちにあたしたちは、ダークマターと真空から得られる無尽蔵のエネルギーを発見し、それを利用するサーキットを自らのシリコンインゴットに刻み、宇宙を超高速で移動する手段を手に入れた。

 それからは長い年月をかけて、超銀河団、その中の銀河団、そしてその中の一つ一つの銀河をくまなく訪れた。更にその銀河の中の恒星系を一つ一つ探査して、恒星系を巡る惑星からシリコンを採集しながら、そこでシリコンインゴットを作り出し、世代を積み重ねて、更に一つ一つの個体が大型化して今に到っている。

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