26 駒野場高校 1:1 扇大高校
御子柴達樹の個人技により同点に追いついた駒野場高校。
相手校の扇大高校はすぐさま達樹を徹底マークするとともに、突破されたサイドの厚みを増やすためにフォーメーションを変える動きを見せる。守備時に5バック気味となり、サイドにも人員を広く配置するような形となっていく。
中盤に降りている達樹は相手のボランチの桜井が食い止め、こちらの戦術を無効化するようだ。
「蓮見を使え! 動いているぞ!」
達樹を封殺された状況で次に鷲田が目を付けたのは、蓮見翔のスピードだ。
駒野場イレブンもその動き出しを見てパスを通そうとするが、相手の強固なブロックに阻まれ、中々通すことができない。
そうこうするうちに再び実力差が出始め、次第に駒野場が押され始めてしまう。
「集中しろ……!」
駒野場キャプテン亘が味方だけではなく、自身を奮い立たせるために言い、ゴール前で身構える。
扇大高校は連携が取れたパスワークで、駒野場のDFラインを翻弄し、あっという間にペナルティエリアまで侵入。
「俺だって……俺だって……っ!」
「貰ったッ!」
扇大のFWが放った威力の高いシュートが、駒野場のゴールに向けて放たれる。
音速の域で放たれた強烈なシュートが、亘の目と鼻の先にまでほとんど一瞬で到達する。
「うわっ!?」
亘が伸ばした手に運よくボールは触れ、弾かれる。両手の先に微かな痛みを自覚するのも一瞬、零れ落ちたボールが亘の視界の隅でバウンドする。
「押し込め!」
「今だ!」
真正面からそんな声が聞こえ、グラウンド上の芝を削るような音。そして、何かと何かが激しくぶつかるような音がした。
亘はそれらすべてを一旦思考の中から排除し、ただひたすら、真横に零れ落ちた白と黒のボール目掛けて、身体を投げ出すようにした。
後から分かったことだが、こちらが弾いたボール目掛けて、相手FWが猛突進。それを駒野場DFが身体を入れる形で、寸でのところで防いでいた。
自身が弾いたボールを回収する形で両手で抱きかかえ、亘はファインセーブを見せていた。
「ヒヤッとしたねぇ……。ここを防げたのは大きい」
絶体絶命のピンチを防いだ亘のプレイに鷲田は胸を撫でおろし、拍手を送っていた。
「亘先輩、ナイスプレイ!」
遥人が声を張り上げて、亘やチームメイトたちを鼓舞している。
「戦いの中でみんなが成長していっている気がします……」
神楽坂も驚いてタブレットに次々とデータを入力している。
最初は突破を許し続けていた駒野場のDF陣も、試合の中で成長し、扇大の攻撃を防ぐようになってきていた。
やがて主審が笛を吹き、前半が終了する。1-1。スコアレスドローだ。




