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私の異世界での立ち位置  作者: 葉月
勇者編
33/97

33.『運命』

アルファルド君。

本当はユノ君、って呼ぶべき何だろうけど、今までずっとアルファルド君って呼んでたから別にそれでいいよね。


アルファルド君。

多分私にはね。

この世界に来た私には、二つの道が用意されていたんだと思うんだ。

魔王になる道と、魔王にならない道。


これは多分の話だから、自信があるわけでも根拠があるわけでも証拠があるわけでもないんだけど。多分そうなんだと思う。多分ね。


そしてそんな私にはその二つの道の、そのどちらを選ぶかの権利がちゃんと用意されていたんだと思う。

アルファルド君が儀式で火炙りにされて、魔王復活を阻止してたら私は魔王にはならなかった。そして私は多分元の世界に帰れてた。

ああ、一応言うけど、『多分』ね。



だけど、私はそっちを選ばなかった。この世界が平和になろうが平和にならなかろうが、実際問題私は知ったこっちゃない。

だって私はこの世界の住人じゃないから。


だけど。

だけどね。

アルファルド君が死んで、世界が平和になって、そして私は元の世界に帰る、って道は選ばなかった。何でかなんて理由は聞かないでね。


だって言ったでしょ?

くだらない、って。



くだらないんだよね。

その制度。

くだらないし、物凄く。



腹立たしい。




本当はさ、くだらない、ってアルファルド君も思ってたんじゃない?絶対思ってたでしょ。

だけど、選ばれたから。

選ばれてしまったから。


やらないわけにはいかなかった。




私の世界にさ、とあるゲームがあるんだけど。あ、勿論RPGね。そのゲーム、結構シリーズが色々出ててさ。そのシリーズの一つに似たような展開があるんだ。

ある町のある女の子が、旅をするの。まぁ、世界のために選ばれて。で、その女の子の友達も途中から一緒に旅をするんだけど。


途中で気付くんだ。

何かおかしいって。


最初はね、知らなかったんだよ。普通の旅だって思ってたの。この旅が終わって、世界が平和になれば皆仲良く楽しく暮らせるんだって。

そう思ってた。

だけどそれは間違いだった。


だってさ、その選ばれた女の子に待ってたのは『死』だったんだから。


世界のため、平和のため。犠牲になれ、って言うんだよ?その女の子にさ。

それを聞いた女の子の友達、どうしたと思う?



許すわけないじゃない。

そんなこと。


ね?同じでしょ?

この世界もそれと同じ。一人のかけがえのない命で、自分達の命を守るんだよ。一人の命を犠牲にして、安寧と安定と幸せを掴もうとしてるの。


腹が立つよね。許せないよね。その子の友達なら尚更。だから私も許せないんだよ。アルファルド君を見てきたから。この世界に来てからずっと見てきたから。ずっと一緒にいたから。

この世界にいる、この世界の住人じゃない私にとって唯一の人がアルファルド君だったから。

そして、似たような展開のゲームを知っていたから。



私が取るべき行動は決まってた。



ね、アルファルド君。

君は犠牲になるのが君の運命だって言ったよね。それが俺の運命、だって。



じゃあさ、これが私の運命だったんだよ。

アルファルド君の運命をぶち壊すのが、私の『運命』。


魔王になる。

そういう運命。



あ、でも安心してね。魔王になったとしても私は『私』だし。この世界では魔王でも、元の世界では人間なんだから。

一市民。無害な人。


この世界が平和になろうが平和にならなかろうが、実際問題私は知ったこっちゃないけどさ、私は一般市民の平和を愛する日本人、なんだよ。


だから、アルファルド君。

気に病まないでね。




魔王が復活したって、

この世界が滅んだりはしないから。



滅ぼしたりはしないから。


多分。









さようなら。アルファルド君。

私のこの世界での立ち位置は。



ここだったみたいだね。




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