21.制作者側
辿り着いた目的地。
そこは、ミズイロと会ったあの遺跡と似たような場所だった。というか、瓜二つ。よもや、同じ場所ではあるまいな、と思うほどそっくりだった。
アルファルド君はじっとその遺跡を見た後、剣を鞘から抜き遺跡へと歩いていく。これもデジャブ。時間、巻き戻ったとかないよね、とちょっと感じた。
「………」
私は立ち止まったまま、遺跡へと歩いて行くアルファルド君の背中を見つめ、どうするかと悩んでいた。遺跡に入るか否か。前の時は初めてだったので一緒に入ったのだが、今回は二回目だ。特にこれといった好奇心は働かない。
「外で待ってようかな…」
ぼそりと呟く。
だけど。
歩いていくアルファルド君の後ろ姿。アルファルド君の頭の上ににはミズイロ。二人とも入っちゃうらしい。ぽつん、と私は取り残されている。
一人でお留守番は淋しい。
「淋しいっ!」
そう言って叫び駆け出した私をアルファルド君はちらりと振り返った。
遺跡内部もやはり前の遺跡と似たり寄ったりだった。多少違う所はあれど、構造的には一緒だ。これがRPGなら怒られるぞユーザーに。絶対。
「ここにも牛ボスさんみたいなのがいるのかな?」
「何だ、そのうしぼすさんって」
アルファルド君が目を細める。
「アルファルド君が戦ってたじゃない。遺跡から逃げる前」
そういえば、あの時牛ボスさんから出てきた黒い玉を、アルファルド君はまだ持っているのだろうか。ふとそう思い聞いてみる。
「アルファルド君、あの黒いやつ、まだ持ってるの?」
「当たり前だろ」
アレって結局何だったの?と聞くと、アルファルド君は、魔王の力だ、と言った。
「魔王の力?」
「そうだ」
「そんなもの、持ち歩いてるの?」
危なくないか?と思い、壊さないのかと提案したらアルファルド君は壊せない、と言った。私が試してみようか?と言ったら壊せない、と言われた。
どうやら物理的に壊せない、ということではないらしい。壊すな危険、ということだ。
壊せないなら最終的にどうするのか。考えていたら見覚えのある広間に着いた。
だから怒られるってば。ユーザーに。
アルファルド君は迷わず一番左の通路に向かう。
「ちょっと待ったっ!!」
叫んだのは私。
「何だ」
不機嫌そうなアルファルド君。
「アルファルド君、どうしてその道選ぶのさ」
「俺が選ぶ道に不満でもあるのか」
「不満だよ。不満しかないよ」
その道、前に時間差トラップがあった道じゃないか。
「別の道に進もうよ」
そう進言したが、アルファルド君は聞く耳を持たなかった。そのままスタスタと歩いていく。慌てて私はアルファルド君の腕を掴もうとして。
バシッ!と見えない何かに弾かれてしまった。
「痛いっ!」
そうだった。忘れていたが、この静電気体質は健在でした。私は泣きそうになった。痛い。
そんな私に気付いたミズイロが飛んで来て、私の肩に乗りすりすりと擦り寄る。うぅ、ありがとうミズイロ。
そして何を思ったか、ミズイロは私の肩から飛び立ち遺跡を逆送し始めた。というか、広間に戻り、一番右側の通路に入っていってしまう。
「ミズイロ!」
私はミズイロを追いかけた。その声に気づいて、アルファルド君が後から追ってきた。結果的に、左側通路に進むのを防ぐことに成功した。もしかしたら、ミズイロもそれを見越したのかもしれない。
だが、その結果がこれだ。
「う、うそ…、ちょ、ちょ、まっ……みぎょぇあぁぁぁーーーーーっ!!!!」
私は左側に広がる深い暗い不気味な空間へとそのまま真っ逆さまに堕ちていった。
デジャブにもほどがあるだろ。
いい加減にしないと怒るぞ、制作者。
だけど、今回はアルファルド君、そしてミズイロも同じ所に落ちてくれていた。
許そう、制作者。
私の頭の切り替えは早かった。




