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実姉、片親違い姉、義姉、三者三様の姉たちに囲まれて甘えられる生活  作者: beru


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第十五話 大人の階段をほんの少しだけ登った?

「んーー、今日は遊んだわね」

 夕方になり、四人が海水浴場を後にして、予約していた旅館に向かう。


「大丈夫、みっくん? 今日は疲れちゃったみたいね」

「うん、大丈夫……」

 海水浴で、光毅もはしゃいで疲れてしまい、由奈に手を引かれながら、ウトウトしていた。


「もう、男の子なんだから、もうちょっとしっかりしなさい」

「良いじゃない、光毅君も子供なんだしさ」

「そういう問題じゃないの。この中で唯一の男の子なんだから、みっくんもちゃんとしないと」

「うー……ごめんなさい……」

 菜月に手厳しいことを言われたが、あまりに疲れていた為、光穀もロクに耳に入らず、ただ由奈の手を握りながら、そう呟くのがやっとだった。


「あーん、みっくん、菜月ちゃんに意地悪なこと言われて泣きそうになってるじゃない。もうすぐ旅館に着くから、そしたらお姉ちゃんが膝枕してあげるからねー」

「あ、私もやりたーい」

「はあ……二人ともこれだから……」



「はーい、口うるさいお姉ちゃんの言う事は無視して、私がおぶってあげるからねー、みっくん」

 上の二人の姉は菜月の言う事など、殆ど耳に入れる気もなく、由奈は光毅をおぶって、旅館まで向かう。

 もう少し光毅にしっかりして欲しいと言う、菜月の想いなど、二人には関係ないようであった。


「すう、すう……はっ! ここはっ!」

「あら、起きた、みっくん?」

 そのまま由奈におんぶされて眠ってしまった光毅がようやく目を覚ますと、由奈に膝枕されて、旅館の部屋にいた。

「ここ、旅館よ。みっくん、海岸で疲れて寝ちゃったみたいね」

「あ……ごめんね、由奈お姉ちゃん」

「良いのよー、今日は私達もはしゃぎすぎたんだし」

「そうそう。光毅君は、一番年下なんだから、こうなっちゃうのは当たり前だもんね」

 うっかり自分がウトウトと寝てしまったことに、罪悪感を感じてしまい、落ち込んでいたが、すかさず由奈も静子もフォローして、彼の頭を撫でる。


 涙ぐんでいた光毅もたまらなく可愛く感じてしまい、二人とも猫のようにかわいがっていた。

「はいはい、そこまで。もうお風呂に入るわよ」

「はーい。じゃあ、一緒に温泉に行こうか」

「うん」

 菜月に急かされ、由奈が光毅の手を引いて、旅館にある露天風呂に連れていく。

 光毅も露天風呂は久しぶりなので、ウキウキしながら、姉たちと共に下にある温泉に小走りで走っていった。


「あーん、みっくんと一緒に入りたいのに」

「馬鹿言わないの! もうみっくんは中学生なんだから。一人では入れるわよね、みっくん?」

「だ、大丈夫だよお」

 露天風呂の入り口に行き、女風呂に光毅を連れて行こうとしたが、すかさず菜月が二人の手を振りほどき、由奈を女風呂に押し込む。

 光毅もまさか本当に女風呂に連れていかれそうになるとは思わず、顔を真っ赤にしながら、男風呂に一人で駆け込むが、静子も由奈も本気で女風呂に入れて、彼の反応を見てみたかったので、残念な気持ちを隠せなかった。


「ふうう……良いお湯だなあ」

 体を洗い終わり、光毅は一人、露天風呂に浸かって、外の海を眺める。

 もう暗くなりかけていたが、あの海で一日中はしゃいでいたんだなと、ボーっとお湯に浸かって思っていたが、向こうの女湯に居る、姉たちの事も気になっていた。

「うん、大丈夫だよね」

 まさか、女湯を覗くわけにもいかなかったので、光毅もそう言い聞かせて、露天風呂から出る。

 三人とも自分よりずっとしっかりしているんだから、


「あれ、まだ出てないんだ」

 部屋に戻ると、まだ姉三人は部屋に戻っておらず、光毅は一人で部屋で彼女たちを待つことにした。

「…………暇だなー」

 テレビを見て、姉たちが来るまで時間を潰そうとするが、今の時間は面白いテレビがやっておらず、光毅もへたり込んでつまらなそうにしていた。


「ん? 何だろう?」

 テーブルに置いてあったテレビの案内を見ると、有料放送の案内があり、光毅も少し興味を持つ。

 千円で有料放送が見れるみたいなので、勝手には見れないと思いつつも、光毅もちょっと見てみたいと思ってしまった。


「邦画、洋画……アダルトだって。何だろう?」

 案内を見ると、どうやら映画が見れるようだが、『アダルト』という文字が光毅の目に留まり、彼もキョトンとする。

 アダルトとは文字通りの意味だが、まだ幼い光毅には意味がよくわからず、却って興味を持ってしまったのであった。


「んーー、良いお湯だったわねー。あ、みっくん、もう帰ってたんだ」

 光毅が案内板と睨めっこしていると、由奈、静子、菜月が露天風呂から部屋に戻ってきた。

「ねえ、お姉ちゃん」

「何?」

「これって、お金払わないと見れないの?」

「んーー……ああ、有料チャンネルの案内ね。確かフロントで千円払ってカードを使わないといけないんじゃなかったっけ」

 光毅が由奈に案内を見せると、由奈がそう説明するが、


「ねえ、アダルトっと何?」

「え? えーっと、みっくん? 本気で言ってる?」

「?」

 思わず、由奈にアダルトの意味を訊ねると、由奈もビックリしてキョトンとした顔をし、菜月は顔を真っ赤にしていた。

「みっくんっ! 変なこと聞かないの!」

「へ、変な事って……」

「変なことは変な事よ! 女の子にそんな事聞くの、セクハラなんだからねっ!」

「いたたっ! せ、セクハラって……」


 菜月が顔を紅潮させて、光毅の耳を引っ張りながらそう叫ぶが、光毅は全く意味がわからず、困惑していた。

「ふふん、光毅君もやっと、こういうのに興味を持ったのかなーって思ったら、本当に意味がわからないみたいね。アダルトってのはわかりやすく言うと、エッチな番組のことだよ。AⅤって言えばわかるかな」

「ちょっ、静子お姉ちゃん!」

「良いじゃない、ちゃんと教えないと、後で光毅君も恥かくかもしれないのよ。もうすぐ、光毅君も修学旅行あるし、そこで知らないと、クラスの男子から笑われちゃうぞー」

「だからってっ! ああ、もうっ! とにかく、ダメよ、ダメっ! そんなの見ないからねっ!」

「う、うん……」

 静子がハッキリと誤解の余地すらないように、光毅にそう教えてしまい、光毅も目を丸くし、菜月は動揺していたが、静子は光毅の頭を撫でて、


「光毅君も、少しは大人になったかなー? えへへ、いつまでも子供のままじゃいられないんだから、色々と大人の事を覚えていこうね」

「ううう……恥ずかしいよお……」

 何だか、静子に馬鹿にされたような気分になっていたが、光毅も流石に有料チャンネルの意味を理解し、これは見てはいけない物だと、案内をテーブルに置く。


「はーい、じゃあお夕飯にしましょうか。その有料チャンネルは、みっくんがもう少し大人になったら、一緒に観ようねー」

「大人になっても一緒に見ちゃ駄目よ! ああ、もうっ! この話は終わりっ! みっくんも、いつまでもボーっとしないで、食堂に行くよ!」

「ふええ……」

 菜月が光毅の耳を引っ張り、下の階の食堂へ四人へと向かい、夕飯を摂りに行く。

 光毅も余計なことを聞いてしまったと後悔したが、由奈も静子もそんな光毅を微笑ましく見ていたのであった。

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