28 オリーブオイル
オリーブの木を『創造』するために、ログハウスの横に作った庭にやってきた。
スキル『安寧の地』がレベル2にアップしたおかげか、ドームの大きさも半径5メートルから15メートルほどに広がって、庭は広々してる。
元々、ここは広めの原っぱだったから、庭造りのために木を伐採する必要もなかった。
5メートル四方の畑は、しっかり耕されて黒土が見えている。この畑、ハティが"モグラ"さんに頼んで土の中から耕してもらったんだ。
ハティは動物とお話ができるんだよ。さすが、獣の神様。
こうして、耕作道具も何もないのに、完璧な畑を手に入れることができた。
今、畑には、
・トマト
・人参
・じゃがいも
・玉ねぎ
・レタス
・ネギ
・いちご
・パイナップル
等が植わっている。
その畑の向こうには、5本の果物の木。
・りんごの木
・マンゴーの木
・バナナの木
・キウイの木
といっても、『創造』したら片っ端から収穫してるから、どの植物も、今はほとんど実をつけていない。
このスキルのすごいところは、旬の季節なんてガン無視して、なんでもお望みの植物が『創造』できるってところ。
『創造』した植物は、放っておいてもちゃんと育つ。季節に合わない植物は、勝手に実をつけることはないけれど、枯れもしない。「実をつけろ!」ってスキルを使って念じれば、いつでも実をつけてくれる。
ただひとつ難点なのは、一度『創造』した植物は「消えろ」って念じても消せないこと。新しい種類の野菜を『創造』したいけど畑にスペースがない、そんなときは既に植わっている植物を引き抜いてスペースを確保しないといけない。
まぁ、これに関しては軽い労力が必要だってだけで、特に問題にはならないのだけど。
そしてこの畑と果樹園、『安寧の地』で作られたドームが害獣の侵入を防いでくれるから、作物が害獣の被害にあうこともない。
まさに、この場所は『安寧の地』だ。楽園、とも呼んでもいい。
さて。5本の果物の木に連なって、今日新たにオリーブの木が追加されます。
ウィルを伴って、収穫用のカゴを持ってスタンバイ。
「"オリーブの木よ、育て! そしてたくさん実を付けよ!"」
念じ方は適当。こんなのでも、みるみるうちに植物は育っていく。
何もない地面から、にょきっと芽を出して、10秒ほどで大きく成長するのだ。
大きくなった木に白い花がぽんぽん咲いていき、やがて緑の実をつける。
「わーっ! ちっちゃいのがたくさんなってるよ!」
キャッキャとウィルがはしゃぐ。
「まだだよ。──"めいっぱい、熟れて!"」
マイルドなオリーブオイルをつくるために、緑の実を赤黒くなるまで成熟させる必要があるんだ。
「ふぁ! あかくなった!」
「へぇ、美しい実ね」
いつの間にか外に出てきてたイヴが言った。まるで初めて見るものを褒めるように。オリーブの木はこの世界にはないのかな?
《オリーブ。この世界にはない、地球の植物》
『鑑定』さんによると、どうやらこの世界にオリーブはないらしい。
「オリーブの実はね、美容にもすごくいいんだよ。この実を絞ったオイルを使った化粧品もたくさんあるんだから」
うわ、イヴの目つきがギラリとしたものに変わった。
神様も、美容には気をつかうのかな。いまのままでも信じられないくらい綺麗だから、気にしなくていいと思うけど。
うん、木も予想以上に大きく育ってくれたし、実もたくさんついた。
大きなカゴを、ハティが咥えて持ってきてくれる。
「よーし! 収穫するよー!」
ウィルはすいすい木に登って、実を摘んでいく。私は手を伸ばして届く範囲で実をもいでいった。
オリーブの実を食べて、ハティが顔しかめる。
だめだよ、ハティ。オリーブの実はそのままだと渋くて食べられないんだから。
ぺっぺっと吐き出す音がすると思ったら、イヴもですか。
初めての物を口にするときは、もっと警戒しないとだめだよ。
30分足らずで、大きなカゴいっぱいのオリーブの実を収穫できた。
ウィルとハティが森に遊びに行って、イヴが再び引きこもったところで、オリーブオイルを作っていく。
まず、ボールに実を入れて、伸ばし棒を使ってよく潰します。それを一時間ほど放置。
次に、清潔なハンカチを使って汁を絞り取ります。
絞った汁は、コーネット産の瓶の中へ。このまま一晩置くと水と油に分離する。上澄み液が油になるのだ。その上澄みだけ取り出せば、オリーブオイルの完成!
ふふ、明日が楽しみだなぁ。
オリーブオイルでサラダのドレッシングを作るのもいいけど、健康的な油を使ったアレを作るのもいいな。野菜が苦手なウィルも、アレをつければ美味しく食べられるようになるはず!





