19 植物の神とスキル『植物創造レベルMAX』『真実の目レベルMAX』
こんなにすっきりと気持ちの良い目覚めを果たしたのは、初めてだ。
「おはよう、姉さま。よくねむれた?」
すぐ近くでウィルが聞く。そのセリフ、いつも私が言ってるやつだよね。真似ですか。可愛いですね。ありがとうございます。ご馳走様です。
「ララ、腕はどうだ? まだ痛むか?」
あれ、ハティだ。帰ってきてたんだね。
腕……? そういえば、まったく痛みがない。
包帯をほどいてびっくりした。傷が、跡形もなくなくなってる……!
「どうして、これ、え?」
「こいつに治癒魔法をかけてもらった」
こいつ……?
ハティが後ろを振り向く。あ、このひと、夢の中で見た綺麗な女の人だ……!
床までつきそうな深緑の髪に、黄緑のシンプルなドレス、肌も少し黄緑がかってる。目の覚めるような美人だ。
涼しげな緑の双眼が優しく細められる。
「この犬ったら、青い顔してわたしのとこへくるんだもの。びっくりしちゃったわぁ」
「余計なことを言うな。その喉噛み切るぞ」
うふふ、と女の人が笑う。
ハティとは気安い関係のようだ。
「あの……」
「あら、ごめんなさい。私は木の精霊。そこの神獣に頼まれてあなたを治療しにきました」
《ドライアド。植物の王にして、植物の神》
植物の神様、キター!!!
ほぼ無意識に『鑑定』さんを発動させてしまった私は、慌てて頭を下げる。
「な、治してくださってありがとうございました!」
「いいのよ」
そんな気はしてたけど、獣の神様がいるなら植物の神様もいるよね。だったらやっぱり、人間の神様も……
肩が震えてる。ウィルの手前気丈に振る舞ってたけど、私、怖かったんだ。
───よかった。死なずに済んだ。また、ウィルを独りぼっちにしてしまうところだった。
ウィルを抱きしめる。くんか、くんか。ミルクのようないい匂い。はぁ、落ち着く。
ウィルはくすぐったそうに身をよじるけど、離してあげない。
それより、とドライアドのお姉さんがぐっと顔を近づけてきた。うお、奇麗な顔って迫力あるな。
「ララちゃん、あなた、わたしを側に置かない?」
「へ?」
「おい、調子に乗るなよ!」
ハティがすかさず噛み付く。物理的にじゃないよ。態度的な意味だよ。
「だって、アンタばっかりズルいわよぅ。こんな楽しそうな子達、放っておけないわ! ね、お願いララちゃん。わたしを側に置いて。わたしは役に立つわよ。わたしの保護下に入ればね───」
こんないいことがいるのよ!とドライアドのお姉さんは力説してくるけど、いまいちピンとこない。
ていうか、なんかコレ、既視感が……
ハティが私達の護衛騎士になるって言ってたときも、こんなやり取りがあった気がする。
神様、自分のこと安売りしすぎだよ。一人の人間だけに肩入れしちゃっていいわけ? 一人じゃなくて、私と、ウィルの二人か。
「──それにね、わたしの保護下に入れば、スキル『植物創造レベルMAX』をプレゼントしちゃうわよ! なんと、植物を作りまくれるようになるの! お野菜も、果物も、木の実も、薬草だって、なんでもあり!」
なんですと!?
も、もしかしてそれって……
これからは、森を彷徨わなくてもいつでも食料が手に入るようになるってこと!?
ウィルにもっとたくさんご飯を食べさせてあげられる!
素晴らしきかな、スキル『植物創造レベルMAX』!
「乗った!!! どうか、保護下にいれてください!!!」
ジト目で睨んでくるハティのことは見ないようにする。だって、こんなの乗らなきゃ損じゃん!おいしすぎる話だもん!
神様のえこひいきな肩入れ、バンザイ!
こうして、私とウィルは植物の神様の保護下に入った。
《植物の神の加護を得ました。スキル『植物創造レベルMAX』を習得しました》
改めて、自分とウィルを『鑑定』する。
《ララ・コーネット。スキル:『鑑定レベル2』『収納レベル2』『安寧の地』『体力∞』『植物創造レベルMAX』》
《ウィル・コーネット。スキル:『剣聖』『体力∞』『真実の目レベルMAX』》
ほへ? ウィルのスキル……『真実の目レベルMAX』とはなんぞ?





