(5/5)終わりはいつも静かに
会社のオフィスにまた全員が集まっていた。部長が全員に向かって言う。
「今回は本当にご苦労さまでした。最終的に攻撃を防御でき法務省側からも感謝の言葉を頂いています」
「結局、相手は何だったんかしら」とネットワークの専門家、大神リリーが楽しそうに言う。
「アメリカに問い合わせたところ、担当者の内部犯行という事らしい。米国内務省のサーバ侵入とデータ漏洩。該当者は逃亡中で国際指名手配、まだ捕まっていないそうだ」
「どこまで信用していいのやら。向こうも強力な武器を作ったから、試してみたくなったんじゃない?」
「まぁ、国レベルの話になると真相は不明だ。ただ、敵がしかけた最強の攻撃を我々は撃退できた。それでいいんじゃないかな」
「AIの能力では完全に負けてたみたいじゃん」
大神リリーが冷たく言う。
「強力な兵隊を持っていても、最後は軍師で勝負が決まるってことでしょうね」と部長が返した時に、白鳥チーフが情けない声を出す。
「あれ~、子鹿ちゃんはどこに行ったんですか〜」
「午後からクライミングの大会だって、帰りましたよ」と腕を組んだイ・ジェヨンが答える。
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今日は青天だ。青空にボルダリング用のカラフルな壁が映え、輝いているように見える。先ほどまであった会場のざわめきも落ち着き、現在は静かだ。
「今日の設定も小柄な子鹿さんには不利ですよね」
「うん、何処かで変な圧力でもかかってるんじゃないかって噂もあるよな」
フリークライミングの会場で係員が雑談をしている。
「でも、その不利なルートを全然違う発想で完登してしまうってすごくないですか」
「うん、すごい。すごすぎると思う」
壇上の表彰台の中央には子鹿美咲がメダルを持って立っていた。大袈裟に喜ぶ事もせずに、静かに立っていた。




