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ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→  作者: ぱちぱち


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第76話 『平等は果たされた』

「本日、我々は与党野党の括りを超えて出入国管理及び難民認定法の改正案を提出いたします。また、合わせて刑法の改正を行い昨今世間を騒がせている国際テロリストの撲滅を――」



 テレビの中で見た事のある顔の国会議員が神妙な顔でそう発言している。リリーベルの足にキスしてた人で多分一番偉そうな人だったかな。あの時は屈辱じゃなくて若干嬉しそうに見えたから引いてたんだけど、テレビカメラの前だと結構凄みのある顔立ちの人だな。『かすが』の仕込みはどうやらしっかり働いているらしい。


 つまりまぁ、本当の意味で俺も『日華』もお役御免になったって事だな。雨宮セキュリティー社員の的場くん経由で補佐をしてくれていたサルくんやウマくん達にも連絡が言ってる筈だから、自衛団(ヴィジランテ)活動はこれにて終了という訳だ。


 こうなった経緯自体は簡単だ。元々現在国会で議論をしている与党の議員も野党の議員も、この状況はヤバイという認識自体はあったんだよ。ただ、この状況に持ち込んだのが半年前に諸々あって辞めた議員たちであり、下手にこの状況に触ると触った人間が責任を取らないといけない罰ゲームみたいになっていたから誰も何もしなかったんだ。


 誰かが動かないといけない。でも、動いたらそいつは終わるかもしれない。半年前の大騒動が記憶に新しい中、その状況で動けるほど肝が据わった国会議員はほとんどいなかった。というかそもそも日本という国は一度決まった制度や法律を変える事がやたらと難しい。何故なら一度決められた制度には必ず利権や特権が生まれ、それを維持しようとする抵抗勢力が誕生するからだ。


 じゃあどうすれば良いのか。『かすが』は非常に分かりやすい理由を作る事で議員のケツをひっ叩いた。


 “黒船”である。


 大統領が会見で日本の犯罪者の事を口にしたというだけでも不味いのに、その犯罪者の行動を讃え、日本の制度が悪い。つまり現行法の見直しすらしていない現在の議員たちについてネガティブな内容の発言をしたというのは非常に大きい。日本は先の敗戦以降、常に何かしら米国の影響を受け続けていた。その米国のトップから「お前ら何してんの? 民間人の女の方がまだお前らより仕事してんじゃん」という旨に“捉えられる”発言をしたことはとんでもない衝撃になる。


 内政干渉? それをやってなかった時期が米国にあるのか? ってくらいにあの国は諸外国に口を出しまくるし、そのこと自体はまぁ、いつもの事ではあるのだが内容が日本政府に対する不信だからな。“黒船”としては十分すぎる威力になったわけだ。


 そしてその発言のタイミングで、元々用意していた改正案を出す。これは「俺たちは仕事してたけど? ほら何か月もかけて準備してたから」というまぁ、体のいい言い訳が出来たんだが、先の国会半壊事件を生き残った保身に長けた国会議員でこの案に乗らない奴は居なかった。元々なんとかしなければいけないと誰もが思っていたというのもあるが、この案に反対すれば多分次の選挙で生き残れないからだ。それくらいに、自衛団(ヴィジランテ)という存在は社会に認知され始めていて、外国人が起こす犯罪は重度化しつづけている。


 そしてこの法案提出に合わせて、警察にある装備が導入されることになる。現在VVVが配信の際に利用している精度の高い自動翻訳機を各取調室に配備する事になったのだ。


 現在、外国人が捕まった後に不起訴になる理由は証拠が不十分なためだ。言葉が通じないため証言という証拠が取れない、という理由で釈放されるパターンが多いんだな。あとは外国人を日本の犯罪者と同じように国費で食わせる刑務所に入れたくないと思ってる検事とかも居るのかもしれないが、まあその辺は今回の改正案で消えるだろうから置いとくとして、証言については機材で何とかなるんだから何とかしようという形なわけだ。


 この警察への備品提供に『かすが』は動いている。雨宮セキュリティーでは多国籍な問題に対処するためとしてこの自動翻訳機を数か月前から使用しており、その使用実績を元に商品の提供元として影響下にある国会議員を通して警察に働きかけたのだ。


 そして合わせて『かすが』は『AmamiyaNEWS』で使っている情報収集のネットワークを駆使して各国で問題を起こした不法外国人候補の情報を集めて一元管理し、それを入管や警察に提供する情報共有システムも作成。これを元に入国しようとする人物の過去歴を洗い出し、地元で重犯罪を犯して日本に逃げてくるような奴を事前に弾くことが出来るようになる。


 つまり『かすが』は機材と情報という二つの柱で、日本の警察に深く食い込んだわけだ。



――悪の秘密結社とか目指してらっしゃる?


『失敬な。悪用する気はないよ、今のところは。だが、長というのは常に自身の持つ組織の拡大と繁栄を企図しているんだ。分かるな?』


――やっぱり相方必要じゃないか? 素だと毒気が強すぎるぞ、お前さん


『止せ、バカ、止めろ。あいつがまかり間違って本当に現れたらどうする。国会議事堂の天辺でダイナマイトを全身に巻いて「これが国際テロリストじゃい!」とか叫んで全部ご破算になるぞ』


――それはそれですっげぇ見たい。なんで毎回そんな事して生きてんだよ、お前の相方

 


 まぁ、別に『かすが』がやりたい事の邪魔をする気はないというか、別に他人様に迷惑をかけないなら好きにしてくれって感じだから言ってみただけではある。『さやか』の話しじゃ絶対にムリ、という事だったしな。


 とはいえ、これで本当の意味で俺と『日華』の出番は終わったわけだ。ここからの仕事としては『かすが』の方でちょっとしたメッセージを全世界向けに発信したそうだ。


 『平等は果たされた』という短いメッセージは、それまで自衛団(ヴィジランテ)の一員として不法外国人や半グレなんかの犯罪の証拠を拡散していたアカウントで一斉に発信され、それらのアカウントはそこから12時間後にアカウント事全て消えた。つまりこれによって『日華』と自衛団(ヴィジランテ)という活動は正式に終わったと内外に伝えた訳だ。



「あいつら、また日華さんに会いたいってうるさいんですよねぇ。山里さん、何とかなります?」


「無理かなぁ。あいつも表に出たら前科者になっちゃうから、暫く山から出てこないって言ってたし」


「そっかぁ……まぁ、やったことがやったことですからねぇ」



 雨宮セキュリティー側で『日華』のサポートをしてくれていた的場くんからサポートをしてくれていた不良グループ・ケイオスの子たちの現状を教えてもらう。彼らにはいろいろ助けてもらったし要望を叶えてあげたいところなんだけど、『日華』は色々目立つ容姿してるから表に出しにくいのだ。それに自力救済なんてちゃんとまともに動いてる法治国家なら絶対に認めちゃいけない。やらかした人間は自由になってはいけないという事をケイオスの子たちにも自覚して貰わないとね。



『って事はあーしもお役御免かぁ。あーしの場合、魂羽織があっても表にゃ出れねぇからなぁ』


――その点は『かすが』が手を貸してほしいって言ってたぞ


『えー。あいつの仕事って、どんな汚れ役なんだよぉ』


――あんまり変な仕事を身内に振るなって伝えとくから、あいつもそこは弁えるだろ。あるとしたら大統領府にカチコミくらいじゃないか?


『それは………………米国の達人と手合わせって考えれば、ギリ許容かなぁ』


――マジかよ



 冗談のつもりで口にした内容にを真剣に検討し始めた『日華』に、やっぱりこいつ文明崩壊世界の人間なんだな、と認識を改める。暴力の使い道は理解したけど、使わないで済むならそれに越したことはないんだよな、結局。


山里一也(男)26歳



視聴履歴

『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)

『煉獄列島』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)

『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)

『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)

『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)

『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)

『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)

『魂羽織』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)

『拳創成期』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『無双女帝』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)


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