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第56話 やっぱり他にも被害者居たみたいですね

 百山さんがVVVに参加して数日後。



「やっぱり他にも被害者居たみたいですね」


「えぇ……ホログライブさんどうなってるの……」



 百山さん以外にも4名ほどが例の詐欺に引っかかり、ホログライブさんの会社の前に荷物を積み上げる事になり向こうは大騒ぎになっているそうだ。それぞれ関西が2名に九州が2名、しかも全員ホログライブさんのオーディションを受けたことがある子たちばかりで、オーディションから漏れた子を掬いあげるという名目で声をかけられたのだとか。


 そして全員がホログライブさんに実在する人物の名刺、しかもそれぞれが別の人の名前の名刺を渡されていて、これで信じてしまったという。



「あいりちゃんを受け入れたんだから後の子も希望するならうちが面倒見ます! 一也くん、ホログライブさんにはそう伝えて!」


「え、了解ですけど。うちが負担するメリットが」


「損得の話じゃないでしょ! 騙された子たちは身一つで宙ぶらりんなんだから、せめて身の振り方を決められるくらいの手助けはしてあげるのが大人の役目!」


「ほれ、本当はホログライブさんがやるべきなんですがね……それどころじゃないくらいに大荒れしてるから無理か」



 百山さんの話を聞いていたからかこの件に関してアキコさんは非常に被害者の子たちに同情的で、ホログライブさんの大混乱も合わさって結局詐欺被害者の5人はVVVのマンションで一先ず面倒を見る事になった。身一つで東京に出てきた人がほとんどだから、とりあえず数日の話ではある。


 その数日の間に身の振り方を。具体的に言うと実家に戻りたいという人が居ればご両親に連絡を取って荷物を送ると伝えたのだが、被害者の子たちは東京に出てきてしまった以上はそのまま戻れない、という意識が強いみたいで百山さんのようにVVVで働けないかと頼み込んできた。


 夢を持って実家からでて、その夢に挑戦する前に全てを奪われた彼女たちの境遇を知って、我らがアキコさんがその要望を断るわけもなく。オーディションも何もせずにいきなりVVVから3期生が誕生する事となったが、デビューはまだ先の話し。とりあえず彼女たちにはVVVのスタッフ研修生として職場に慣れてもらう所から始める事になった。



「とりあえずは衣食住、の衣は皆さん持ち込んでるだろうから、食と住居はなんとかしましょうか」


「うちのマンションは部屋が駄々余りだからね! 好きな部屋を使っても良いけど、その前に居住する部屋は清掃入れちゃいましょうか」


「使う予定のない部屋は清掃もなにも入れてませんからね」



 このマンションは元々事故物件だった事もあり、数年の間誰も入ってない部屋ってのも結構ある。そういう部屋は清掃や補修とかを入れないと流石に人を住まわせることは難しいのだ。まぁ、清掃業者は不動産屋の田井中さんに紹介して貰えばいいから、とりあえず2,3日は倉庫代わりにしている部屋に各自の荷物を入れてホテル暮らしをしてもらおう。


 これで住居については目途をつけられた。その次の食に関してなのだが、今現在VVVでは食事は大体出前を取るか各自で済ませるという形にしてある。これを3期生となる予定の5名にも適応しようかと思ったのだが、そこにアキコさんが待ったをかけた。



「ね、原田さん。前職はレストラン勤務って言ってたけど、職種はなにをしてたの?」


「え。えっと、その。私、調理師免許持ってるんで、厨房に」


「確保ー!」


「え、え、ええ!?」


「うちもね。バイト含む社員数が増えてきたからそろそろ食事を提供しようと考えてたのよね。社内食堂ってほら、経営者なら一度は夢見るものでしょ?」



 ノリノリで詐欺被害者の一人、福岡出身の原田みえこさんの肩に手を回し、アキコさんはあんまり隠す気がない声量でごにょごにょとそう囁いた。経営者なら夢見るかどうかは兎も角、福利厚生を充実するという話ならそれを享受する側としては反対する気はない。


 というか福利厚生とかをもっと充実させて支出を増やさないと、来年の税金が凄い事になるからな。ウチの会社。特許で入ってくるお金が大きすぎて。


 去年は馬券で当てた金の税金をどうするかって考えてたんだけどね。特許の使用料のお陰で余裕でそっちは支払えたけど、今度はそのうん十倍の収入に対する税金でハラハラする事になるとは。毎年税金に悩まされる事こそ変わりないが、うん。規模感おかしいだろ、なんだようん十億って。そしてこの金額でも担当してくれた弁護士さん曰く、技術に対しては相場よりも大分安めだそうだから来年は下手したら更に収入が増えるかもしれないらしい。


 ……まぁ、社長はアキコさんだから問題ないか。税金分はちゃんと残しとくように経理にだけは注意しておこう。


 そのアキコさんは確保した原田さんにわが社特有のスタッフ兼Vタレの魅力を力説している。



「スタッフ兼任だと基本給がこれだけで……もちろん各種保険も適用されて……その上で住居もうちで用意するし外が良ければ住居手当も……」


「え、嘘……手取りでこんなに!?」


「他の業務も熟す関係で配信時間は削られちゃうけど、配信機材は全部会社持ちで歩合も普通のVタレ専業の子と変わらないわ。もちろんVタレに専念したいなら無理強いはしないけど」


「い、いえ! 私、料理系Vタレ目指してたんで! むしろ腕を磨きながら配信も出来るなんて、最高です!」



 お、上手く口説き落としたみたいだ。目が円マークになった原田さんに計画通りって顔でアキコさんがニヤついてるけど、多分その条件なら大体の人が首を縦に振るぐらいに好条件だったから当たり前の結果なんだけどね。アキコさんもライセンス料のせいでなんだかんだで経済感覚がちょっと狂ってきてるかもしれない。


 そしてそれだけの好条件を耳にしちゃったせいで、他の子たちもスタッフ兼任でVタレになりたいと言い出してしまったが。まぁ、明らかにうちは規模と収益と従業員数が見合ってなかったからこれに関してはありがたい所だ。それぞれ最低限PCの操作は出来るみたいだし、配信をやってた子ばかりだから機材の扱いも慣れてるし。


 だから百山さん、君はVタレに専念して良いんだよ。自分もスタッフ兼任が良いって、うん。あっちも魅力的だけどVタレ専任は配信に専念できる分自由な時間とかも使えるよ! なんか俺の心の中で教育教育教育指導指導指導指導特訓特訓特訓特訓ってうるさいクマ公が居るから、あ、いや何でもないよ楽器の練習とかボイトレとかも手伝うからそっちも考慮して! あ、無理。はい。

山里一也(男)25歳



視聴履歴

『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)

『煉獄列島』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)

『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)

『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)

『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)

『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)

『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)

『魂羽織』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)


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