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ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→  作者: ぱちぱち


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112/132

第112話 お前はもっとまともな恋愛をした方が良いと思うぞ

 暇すぎる。



「お茶が美味しいねぇ……」


「師匠……こんたに老げ込んで……」



 VSというVタレ事務所の社長に就任した俺を待っていたのは、ただただ暇という地獄のような状況だった。VVVでの仕事はこっちの優秀なスタッフたちが行い、VSの仕事は不慣れながらも6人のスタッフ(Vタレ)たちが事務所で面白おかしく熟してくれている。仕事を面白おかしくというのは表現としておかしいかもしれないが実際にそうなのだからそうとしか言えないのだ。彼らはVタレであると同時に会社員という枠組みだからな。真面目に仕事をしながら視聴者の笑いを取りに行くを両立しようと頑張っているんだから社長である俺が何かを言う事は出来ない。


 しかし、やる事が上がってきた書類にミスがないかのチェックとたまに他社との話し合いをする位しかないせいで、やる事が本当にない。唯一の仕事と言ったらVVVエキスポを今年もやるためその準備があるくらいなんだが、そっちもVVVのスタッフだけで事足りてしまうんだよなぁ。今年はヴァーイの紹介を行うため立体投射機の体験場だった去年よりもやる事は少ないし。


 あ、でも設備の関係で去年より費用はかかってるんだったか。良いぞ良いぞ、この調子で経費をガンガン使っていかないと。どうせ税金で取られるならその分お客様に還元した方がいいのだ。


 はぁ……仕事。どこかに仕事は落ちてないか。そらあ暇になるのは良いんだけどね。出勤=椅子をケツで温めるだけってのはもう新手の窓際族だろ。ほどよくやる事が無いと人間は腐っていくんだよ。腐り果てるんだよ。



『お前はあれだな。0か100かしかないのか。暇が出来たんだからこの時間を生かして趣味に費やしたり、仕事なら新しい関係先を作りにいくなり色々あるじゃないか』


――趣味と言ってもなぁ。俺、アニメ見るしか本当にやる事なかったから。仕事も儲かり過ぎてる状況だし、今以上に手を広げるってのもさぁ。



 頭の中で『勇作』にいくらか助言めいた事を言われるが、言われたからそう動けるかというとまぁ、難しいわけで。仕事関係はこれ以上広げるのもちょっと抵抗があるから置いておくとして、趣味。趣味かぁ。



「百山さんは趣味ってなにかある?」


「趣味だすか? ええと……食べ歩ぎ、買い物……あとギターですかね」


「なるほど……食べ歩きか。確かに最近、開拓をさぼってたかな」



 今は止めてしまったが出前デリバリーのバイトをしてた時、美味しそうな店は後で食べに行ったりしてたんだ。最近は忙しくてすっかりデリバリーを頼む側になってしまったからそういった店を探して店舗の前でワクワクするという感覚を忘れてしまっていた気がする。チャリでも漕いで遠出してみるかぁ。



「あ、あの。師匠。それでしたら行っでみだいお店があるんだども」


「お。どういうお店?」



 百山さんこと桃源郷ろっこさんから聞いた情報だと、なんでもシュラスコという料理が今ナウでヤングな世代にバカ受けなんだとか。この言い方だとちょっと昭和っぽいかな? 要するにブラジル風バーベキューらしいんだが、店員さんがどんどん持ってきてくれるとかくれないとか。いいね、そういうのを試してみるのはやはり面白い。


 百山さんは一度行ってみたいと思ってたらしいんだがお店の雰囲気が常時パリピっぽくて一人や女だけだとちょっと入りづらいらしい。なるほど、確かにそういう感じのお店は一見さんだと入りづらいよね。


 よござんしょ。音楽の師匠弟子関係なく会社の先輩として美味いものを奢るのは優良企業あるあると聞くしな。連れてっちゃいましょうシュラスコとやらへ!



「え、ほ、ほんどですか! じゃあ、一緒に」


「うっしじゃあ今日は俺の奢りだスタッフ全員呼んでくれ! 鹿谷くん猪上くん、全員に連絡だ。店貸し切るぞ!」


「うぃいいぃぃっす!」


「了解しました。最寄りの店を調べてみますね」



 一人二人じゃ確かに入りにくいなら丸ごと貸し切って身内だけに固めてしまえば入りやすくなるじゃない。マリー・アントワネット式超脳筋戦法だが効果は抜群だろう。ほら、提案した百山さんも顔を赤くしたり青くしたり忙しくしてるし大喜びのようだ。あ、アキコさんアキコさん。百山さんからオススメされたシュラスコって料理食べに行きません? もちろん会社の全員で。


 






「さすがに可哀そうだなって思う」


「社長、鬼畜ぅ」


「わざとやってますよね……?」



 さて、VVV全員を奢るのに自分が社長をしている会社の人間を連れて行かないのはおかしいよな。という事でVSの社員にも話を通した所、全員が奢りなら行きたいと言ってくれた。良かった、これで6人全員が「あ、用事あるんで」って断ったらどうしようかと思ってたんだ。俺の人望、低すぎ……! みたいな感じになっちゃうからね。


 ただ今回の食事会が催された経緯を話したら6人全員にドン引きされてしまったんだけどね。いや、まぁそこはね。二人きりでお出かけとか会社内のデートになっちゃうじゃん。自由恋愛がモットーの会社だけど立場上ナンバー2の俺が社内に特別な関係の人を作るのは良くないんだよね。



『いや、お前はもっとまともな恋愛をした方が良いと思うぞ』


『ああ。連絡先にセフレと風俗嬢ばっか増やしてんじゃねぇよ』


『とりあえずぶつかってみて問題があったら土下座しよう! 俺は嫁さんとそうやって結婚した!』


――やかましいぞ男ども。ちゃんと仕事先の連絡先も増えとるわい



 『メンチ』と『セシル』、それに『勇作』の言葉に内心で中指を立ててからそう返事を返すと、野郎どもはゲラゲラと笑い始めた。うぜぇ。大体百山さんは『マネージャー』の弟子なんだからそもそも手ぇ出すわけにはいかないだろうが。ほら、内心だけなのに『マネージャー』が殺意の衝動に目覚めそうだぞ。お前らが相手にしろよこれ。


 そんな形で外の社員と頭の中の男どもを同時に相手していると、ブルッとスマホが振動するので手に取ると田井中さんからの着信だった。風俗のお誘いか? 流石に社員に聞かれるのは嫌だなと少し席を外して通話をとると、風の音と田井中さんの荒い息遣いが聞こえてくる。



「……一也くん良かった……ちょっとたすけて」


「分かりました。いまどこです?」


「あ、やべ」



 俺の質問に被さるように田井中さんの声が聞こえ、そして破砕音と共に電話が途切れる。その瞬間、俺の中のスイッチが切り替わった。

山里一也(男)26歳



視聴履歴

『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女 赤神さやか』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)

『煉獄列島』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人 坂東メンチ』(料金1000円)

『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー マネージャー』(料金30000円)

『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『天災科学者 九十九あきら』(料金:ひなちゃん家のご飯)

『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『未来を知る者 リリーベル・リ・ラスティーネ』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)

『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『もう一人の俺 セシル・ファラウェイ』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)

『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生 雨宮かすが』(料金:組織)

『魂羽織』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『至高の人形師 人形残夢』(料金:人形作成・開発費)

『拳創成期』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『無双女帝 日華』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)

『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター 三沢ひばり』を獲得しました(料金:休日)

『プロレスラーに明日はない!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『炎の経営者 純情仮面(本名:間藤勇作)』(料金:良き闘い)




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― 新着の感想 ―
たまの合間に行ってるっぽい風俗通いは趣味じゃないんか?() 仕事に絡めたいなら適当な部屋で楽器の練習配信(クマ公と脳内会話しつつ自分をプロデュース)とかしても良いんじゃないんすかね、暇なら長期休暇とい…
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