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ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→  作者: ぱちぱち


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102/127

第102話 もっともエンターテイメントに特化した格闘技

 わざわざアキコさんを貶して喧嘩を売ってきたバカの名前はチゲェダ・ローハゲという名前のオランダ出身の格闘家で、現在は米国を拠点に世界中の格闘技大会に参加している人物だ。


 特徴としては大きな体躯に見合わないスピードの持ち主でありキックボクシングを主体とした戦い方で数年前には賞金額1億円くらいの大きな大会で優勝したりもしていたが、ここ最近は怪我が原因で大きな大会での成績が振るわず1年ほど勝利からは遠ざかっている。年齢は俺よりも若く25歳のため怪我の影響から抜け出せばまた成績も上向くのではないかと言われているらしい。


 で、このバカがどういう風にアキコさんを貶したかというと、米国の格闘系配信者のチャンネルにゲスト出演した際、クマ公ハイジャック撲滅事件についてのコメントを求められた時に『銃に素手でってのが称賛されてるが、そんなもん米国で活動してる格闘家なら誰だって経験してる。あんなコールガールの使い走りと俺らを比べるんじゃねぇよ』と笑いながら口にしたのだとか。


 この放送はあっという間に炎上というかバズを起こし、また元々俺の事を良く思っていなかった格闘系のインフルエンサーたちが拡散。ついでとばかりに俺に『これを放置するならお前は腰抜けだクマ野郎』とか挑発するものが多数出てきて騒動は拡大。今や全世界が俺からのアンサーを待ち望んでいるのだとか。


 これ米国に居ようが居まいが結局リングの上に立つことになったのでは。『リリーベル』にそう尋ねると、その場合はなんやかやの理由で目の前で侮辱されてたらしい。良かった、心構えもなく目の前で言われてたら殺してたかもしれない。流石に前科者になっちゃうのは勘弁だからな。


 ただ俺がいきり立った姿を見て『かすが』とハイタッチしてたのは見過ごせない。チェゲダをボコしたら一度君たちとはお話しないといけないみたいだな?


 さて俺も良い大人で社会人だ。むかっ腹を立てているとはいえ相手の挑発に乗って軽々しく動くなんて事はしない。VVVでの立場もあるしな。というわけでアキコさんに作れと言われて作ったツブヤイターのクマ公アカウントを起動し、これまでは食べたラーメンの写真だけを上げていたアカウントで「ぶっ殺す」と書いて投稿っと。


 次はマックス氏に頼んで豪勢な処刑台、じゃなくてリングを用意して貰おう。一般会社員に惨殺、じゃなくて惨敗する格闘家か。いいエンターテイメントになるだろうなぁ。



『待て待て。一也、打撃禁止な』


「はっ?」


『加減間違えて殺しちゃうだろぉ。お前、カッカするのは良いが燃えるのは心だけ。頭は常に冷静でいろって教えたろ?』



 『日華』は頭の中でそう言って俺を止める。いや、俺の格闘技術は空手や功夫が大本にある空拳だから打撃が主体なんだが。そう反論すると、だからこそ危ないんだと戒めるように『日華』は口にする。


 今の俺が加減間違えて人を殴ればガードした腕ごとザクロにする可能性が高いと。そして多分、今の精神状態だとそれを簡単に行ってしまうだろう、と。



『強者になった者には強者なりの制限があるもんだ。お前は紛れもなく強者側の人間なんだから、それを学ぶ時期になったって事だぁね』


「分からん。ただ、お前が言うなら、そうなんだろうな」



 俺にとって『日華』は力の使い方を、暴力の在り方を教えてくれた師匠に近い。その『日華』が学ぶべきだというなら、多分その通りなんだろう。ただ、それはそれとしてチェゲダの野郎には地獄を見せたい。打撃が駄目なら……関節技か。


 空拳は打撃技だけではなく関節技も存在するが、あくまでも存在するだけで専門という訳ではない。そして時代設定上、空拳の関節技は殺傷能力が高すぎるため『日華』も良い顔をしないだろう。それに蚊帳の外で俺に向かって挑発をしてくる有象無象共に二度と偉そうな口を叩かせないよう圧倒的な差を教え込む必要がある。


 それらを踏まえた上で、VVV所属のVタレとして聴衆を楽しませるという義務も発生するのが辛い所だが、それらを全て兼ね備えた正にこの状況にピッタリな戦闘スタイルが存在する事を、俺は知っている。


 さて、久しぶりに『NEET NOW』でアニメを見るか。






 マックス氏に依頼した所、非常に困惑した様子で『え、いや、まぁ、出来るけど。本当に?』と尋ねられたが、今後米国で活動する上で今回のような当たり屋をのさばらせない為にも、と重ねて頼み込んだら了承してくれた。


 米国でも有数のプロモーターという人物に紹介して貰い、試合会場の手配と試合日程の調整を依頼。カイザーと名乗ったプロモーターは俺とチェゲダの因縁を知っていたのか大層興奮して、最高のリングを用意すると約束してくれた。



「それと、今回はTVカメラだけじゃなくネット配信も行いたいんです」


『ネット配信? それは君らの仕事先でも放送したいって事かい?』


「まぁ厳密に言うとプラットフォームは違うんですがね。テレビ放送だと会場に入ったカメラの局しか見れませんが、ネット配信ならインターネットが出来る環境なら誰でも見に来ることが出来るし、アーカイブを残せばいつでも試合を見る事が出来る。リアルタイム配信は有料にして放送すればこの注目度ならチケット代よりも稼げるんじゃないですか?」


『ふむ……ふむ。私はネット関連の知識はないが、もしそれが出来るならやらない理由はないな。有料ネット配信か、それなら現地に来れないような人間の小銭も集める事が出来る。理にかなったシステムだ。だが、それだとテレビ局側が良い顔をしないのではないか?』


「だからこそリアルタイム配信は有料、ですよ。同じ金を払うならテレビを選ぶって人も居るでしょう? それで加入者が増えれば文句も言いません」


『素晴らしい! 君は格闘家としてだけじゃなくプロモーターとしての才能もあるようだな!』



 俺の提案はカイザーの趣向にあったらしく、彼は俺を大層気に入ってくれたようで何度か飯を奢ってもらった。米国のステーキは当たり外れが凄いんだが、彼が紹介してくれたステーキハウスはどこも大当たりの部類で1キロくらいのステーキをガンガン食わせてくれる。日本人は分厚いステーキが大好きだからな。毎週のように日米を往復する日々でささくれ立っていた俺の心も、お陰で随分と穏やかになっていった。


 チェゲダとの初顔合わせ兼会見でも挑発してくるチェゲダにいつものクマ公モデルで応対し、中指を立てる程度で収めたからね。相対したら殴ると思ってたからね、俺。


 この心境なら打撃で戦ってもチェゲダを殺さずに済むかもしれないが、まぁ折角レンタルしたんだ。彼にはしっかりと味わってもらおう。もっともエンターテイメントに特化した格闘技。


 プロレスをね。

山里一也(男)26歳



視聴履歴

『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女 赤神さやか』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)

『煉獄列島』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人 坂東メンチ』(料金1000円)

『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー マネージャー』(料金30000円)

『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『天災科学者 九十九あきら』(料金:ひなちゃん家のご飯)

『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『未来を知る者 リリーベル・リ・ラスティーネ』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)

『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『もう一人の俺 セシル・ファラウェイ』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)

『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生 雨宮かすが』(料金:組織)

『魂羽織』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『至高の人形師 人形残夢』(料金:人形作成・開発費)

『拳創成期』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『無双女帝 日華』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)

『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター 三沢ひばり』を獲得しました(料金:休日)



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メンチが一番切れている気がする あの人も人外相手のガチ戦闘者だし
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