隠された洞窟
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船に戻ったノヴァは、手際よく船の金具に調理用の道具を取り付けていく。
三本の支柱を船底の金具に引っ掛けると、その交わるところに焚き火台を吊るした。
小さく砕いた色鮮やかな鉱石をバックからひと掴み取り出すと焚き火台の上に放った。
流れる水を手のひらでサッとすくい上げ、注ぎ込む。小さな鉱石の粒は水にさらされてグツグツと煮え始めた。
ノヴァが煮える鉱石の少し上に手を添えると、注いだ水は、みるみるうちに白い霧となって風を生む。ノヴァの髪はうねるように慌ただしく揺れた。
開いた手のひらは小刻みに震えて、水気が消えかかろうとしたところで火花が弾けるように炎が立ち上がった。
ノヴァが息を整えながらゆっくり腰を下ろすと、キリは、船の隅に置いてあったカゴをクチバチしで引っ張り出してきて、中の小枝を次々に火に投げ入れはじめた。
ノヴァは次々に投げ込まれる小枝を見て、クスクスと笑っていた。そして火かき棒を手に取り、キリの投げ入れた小枝を整えてやった。
パチパチと小枝の弾ける音が心地良く響き、串刺しにした魚や網の上の貝の焼ける香ばしい匂いが漂っている。
焼けるのを待つ間、ノヴァは手記を手に、先ほど脳裏に浮かんだ景色を思い出しては描き止めていった。
景色はどれもぼんやりとしていたが、あの少女の向かったあの滝ははっきりと覚えていた。
「ここ、見覚えあるか?」
描き止めた滝のスケッチをキリのそばに置いてやると、ノヴァは魚や貝の焼き具合を確かめ始めた。
「キュ?」
キリは足元の絵をみて首をかしげていたが、開かれた手記の周りをペタペタと行ったり来たりしては、いろんな角度から絵をじっくり見ていた。
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