収穫
菜園の水路を収穫した野菜や果物が流れていく。
ノヴァが摘み取った果実を、キリがくわえて水路へと落とす。
キリは、一度沈んで、浮き上がっては流れていく野菜や果実を見送って楽しそうにしていた。
ローガンは慣れた手つきで、野菜を切り取ると近くの水路に投げ入れていた。
水路の行き着く先、開けた場所の水溜りに収穫した野菜や果実が集まってくる。
キリは作業に飽きると、水路を泳いだり、流れのまま、水溜りに飛び込んだりして遊んでいた。
そして、しばらくするとまた、ノヴァのところへ戻ってきて作業を手伝った。
ノヴァはキリが戻ってくると、先ほどまで水路に放っていた野菜や果実を地面に置いてやった。
ローガンは、あまり口数の多い方ではなかった。
それでも彼の気遣いや立ち振る舞いから、その優しさを感じることはできた。
「なんだ、手伝ってくれるのか?」
キリはローガンが気になるのか、近くをウロウロしながら顔を覗き込んでいた。
「ほら、ここへおいたぞ」
ローガンが、果実を地面に置いてやると、
近くをうろうろしていたキリは、パタパタと近づいてきて果実をクチバシで掴むと運び始めた。
両翼を少しバタバタさせながら、右や左に体を揺らして歩く。
「キリは、いい子だな」
「ローガンのこと、気に入ったみたいだよ」
ローガンの表情はいつも通りだったが、どこか嬉しそうなのがわかった。
ーゴーン、ゴーン、ゴーン
少し離れたところで時計台の鐘が鳴った。
「ノヴァ、そろそろ昼食にするか。あの子は?」
収穫した野菜や果物の入った箱を運びながら近づいてきたローガンはあたりを見渡してキリのことを探していた。
「また水路を流れて遊んでるんじゃないかな。支度をしていれば戻ってくるさ」
ノヴァはそう言いながら、腰を上げるとローガンが運んでいた木箱を半分もらい受け、小屋の方へと歩きだした。
菜園の真ん中には大きな木がガラス屋根を突き抜けるようにそびえ立ち、幹の周りを囲うように木製のテーブルが取り付けられている。その近くには小さな小屋があり、園芸道具や鍋やポット、調理器具など必要なものはすべてそこにおいてあった。
ローガンは小屋の中から薪をいくつか運び出し、斧で割り始めた。




