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八百屋な少年は誘拐される2

目が覚めるとジークはベッドの上にいた。王族貴族が愛用しているような最高級のものだ。


「は? ここどこ?」


ジークは絶賛混乱していた。

絢爛豪華な大きな部屋、数々の装飾品、ふかふかで絹のような手触りのベッド。

何故か胸元と背中が丸見えで脚はむき出しの、生地が黒く透けているドレスを着させられていた。


「何これ? 首輪?」


そして首にはペットが付けるような首輪が付けられていたのだ。鎖のリードが繋がった先には一人の男がこれまた豪華なイスに腰を下ろしていた。


とても整った中性的な顔立ちの男でジークよりもひと周り年上に見える。服装は貴族そのもの白いタイツまで履いている。髪は金色で長い髪をまいた音楽家のようだ。


「起きたかい? 私の天使よ」


ジークが目覚めたことに気が付くとやさ男はにこやかにほほ笑んだ。

イスから立ち上がりカツカツと足音を立てて近づき、ジークと肩が触れ合いそうな距離感でベッドに腰をおろす。


かなりジークは警戒して少し離れようとしたが、腰に手を添えられて距離をとれなかった。


「えっとどちらさん?」


「君の妻のアースレイ・フォン・マグールガだよ」


「はぃ?」


「ああ。こう見えて私は女だから安心するといい」


「うそだろ」


ジークは狼狽えた。こんなに自分の正反対な存在がいたのに驚きもした。

アースレイは男装の麗人だったのだ。


「戸惑う君も素敵だね」


アースレイはジークを強引に自分へとひきつけた。もう距離感はほぼゼロだ。おまけに手をジークの太ももにのせてスリスリしだした。


ジークは一気に寒気がしてその手を払おうとする。

しかし逆に手を掴まれ恋人同士が手を組むような組み方をされてしまった。


「ちょっ!? はぁ・・・俺に何があったか教えてもらえません?」


ジークは抵抗するのをやめた。

気持ち悪くて鳥肌が立って仕方がないが、この人に逆らってはいけないと思ったのだ。


「そうかだね。君と私が出会うのは運命で必然だったのだな」


まったく話が通じていなかった。

アースレイという気持ちの悪いやつが貴族だという事は流石にジークでも分かる。

ただ現状が全く把握できずにいた。


「俺は荷運びの依頼を受けていたと思うんですけど? 知りませんか? もしかして俺って倒れていたりしました?」


「ダメだよジーク、俺だなんて汚い言葉を使っちゃ。(わたくし)と一人称の呼び方は変えなさい」


「意思疎通ができない!?」


「ああっ 騒ぐのもよくない! 声は小さく、大きな声を出すのは優雅じゃないよ?」


「・・・」


「わかったかい?」


「・・・はい」


「流石は我が夫だ。ところでどうしてこうなっているのか知りたいのかい?」


「お願いします。知りたいんです」


「そうか、ならキスをしよう。私は君を攫ったけれど本当は紳士であり淑女でね、強姦は好きではないんだよ。ゆっくりじっくり中を深めていこうかジーク。キスをするたびに何があったのかを少しずつ話していこう」


何をほざいてるんだこいつは?と内心ぶん殴りたくなって拳を握るが、すぐに握った拳を解いた。

そしてしたくもないキスをアースレイの手の甲にしてしまった。体が勝手に動いたのだ。


「え? なんでキスしちゃったんだお——私は?」


俺と言おうとすると唇の動きが止まりまたしても勝手に(わたくし)と喋ったのだ。

ジークの様子を微笑ましそうにそして歪んだ笑顔で見ていたアースレイは、ジークがキスをした手の甲をペロリと舐めた。

またしてもジークは全身に鳥肌が立った。


「体がいう事を聞かないのだろう? 勝手に動いてしまうのだろう?」


「はい」


「首のこれ、忠誠のチョーカーの影響さ」


アースレイはジークの頬に手を添え撫でるように首へ伝っていき、チョーカーを指先でコツコツと弾く。

その手を弾こうとしたがやはり動かなかった。動かそうとしたが勝手に動きを制限されたのだ。


「君は我が夫となるのさ。ジーク・フォン・マグールガにね。ふふふ。我がマグールガ家の夫たるもの行動一つが世間の評判を左右するんだよ。だからジークには汚い言動ができない様に、そしてこの私に絶対服従するようにつけさせてもらったよ」


「な!? どうして! 何で誘拐なんかしたんですか?」


理解不能なアースレイにジークは声を上げる。


「それはね。おっと先を聞きたかったらキスしてもらおうかな。いや夫婦たるもの平等であるべきだね。こんどは私からキスしよう」


「やめっろ」


全力で逃げたくなったが忠誠のチョーカーに制限されて動くことができなかった。

アースレイはニヤリと笑うと、ジークの首筋にキスをした。


「いい香りがしたよ。本当に男だとは信じられない」


ジークの髪を手にして匂いを嗅いだのだ。


「くっ」


「さて話の続きだったね。攫った理由は簡単さっ 一目惚れだよ」


「は? 俺ぐぅ――私に?」


「ああそうさ。私は初めて恋をしたんだ。帝国との外交から帰ってきたときに、街の外で石材を運ぶ君を見てね。ああ! 胸が高鳴ったよ、一生懸命働く君をみてね。すぐに男だとわかったよ、まさに天使だ。私の夫にしたい! そう思ったんだ。思い立ったら吉日というだろう? その場で君を攫ってきたのさ」


アースレイの誘拐は思いつきの突発的なものだったのだ。

闇ギルドに情報が無かったのも、計画的な誘拐犯ではなかったからだ。


アースレイは男として育ちずっと夫であり妻になる存在をを探していたのだ。

そこに自分と対を成す存在のジークを見つけた。男装の麗人のアースレイ、見た目が美少女の少年ジーク。アースレイはすぐにジークに睡眠に陥る魔法を掛けて連れ帰ったのだ。


「帰らせてください。貴族様の夫になんて嫌だ!」


「ふははは! 心配しなくていい。性別は問題ないよ。私が妻であり夫で、ジークは夫であり妻になるだけだ。ご両親には結婚を済ませて子をつくってから報告するつもりだから安心していいよ」


「ぜったいヤダ!」


「照れなくていいんだよジーク。明日には私がしっかりリードするからね」


「ふざける――「暴言は許可してないよ?」――ふざけないで!」


口調までもが忠誠のチョーカーによって強制された。

ジークは何としてもここから逃げ出そうするが・・・


「この部屋から出ることも許可しないからね?」


「——っ」


もうこれでジークが自分から部屋から出ることができなくなってしまった。

先手を打たれたのだ。


「私は書斎にいる、何かあったら外に従者が待機してるからこのベルで呼ぶといいよ」


アースレイはジークの唇にキスをして部屋から出ていった。


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