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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
39/53

#39鑑定スキル

年度末で棚卸しやらなんやらでバタバタしてました(´^ω^`;)

いつもよりほんの少し多めに書いたので楽しんでいただければ幸いですm(_ _)m

翌朝。二日酔いでは無いがあの飲みすぎた翌日の独特な体のだるさを感じる。酒が残っている感じはなく、恐らく暴飲暴食による肝臓のフル稼働、アセトハアルデヒドによる低睡眠のせいだろう。俺でこのレベルなのだ。銀音はと言うと…。


「大丈夫かー?」

「…」

「返事がない、屍のようだーーー」

「…」

「水貰ってくる。暫しお待ちよ」

「タ…タクミ様。幸せと不幸は均等に訪れると言いますが、あの程度楽しんだだけでこれ程の仕打ちを受けねばならないのですか…」


銀音はベッドに横たわり、そう言いながらシーツを力強く握りしめている。なんか初めて酒を飲んだ時のことを思い出すな。俺も初めて飲んだ時はビールはあまり美味しくなかったが、酎ハイとかカクテルが美味しくてペース分からないまま飲んで地獄を見たよ。


「ふっ…若さゆえの、だなーーーこれからは考えて飲むんだぞー。一応その先の地獄もあるからな」

「今以上の地獄があるのですか…考えられませんがタクミ様が言う以上本当なのでしょう。以後気をつけます」

「まだギルドに行くまで2時間くらいあるから、水飲んでもう一眠りしとくといい。取り敢えず水と何か軽めの朝食を貰ってくるよ」


今回アルフォンス様が手配してくれた宿は朝食付きでバイキング方式だった。時間は朝6時から9時間での3時間。今は7時半位で丁度一番混むタイミングみたいで座席はまばらにしか空いていなかった。一応ウェイトレスに部屋で食べていいかの確認して、銀音と自分の分の朝食を取り分ける。


「おはよう。昨日はゆっくり出来ましたか?」

「あっダゼルさんにマイクさん、おはようございます。ゆっくり出来ましたよ。お2人とも結構酔ってましたが、全然応えてないみたいですね!」

「まぁー俺とダゼルは酒弱い分飲みすぎないからね。コウダさんの方こそ結構飲んでた見たいだけど、残ってないんですか?」

「ちょっと気だるいくらいですね。早めに切り上げて正解でした。銀音は場に流されて飲みすぎてしまって、部屋で撃沈してます」

「銀音さん昨日ははっちゃけてたからな~最初は表情変わらなくて人形みたいだなって思ってたんだけど、飲み始めると凄くお喋りで楽しかったですよ!しかも顔と体に似合わずかなりの大食い…僕らのテーブルにあった食事はほぼ銀音さんが平らげてました」


皆と上手くやってるのはいい事だが、食事を平らげてしまうのはダメだな。後で注意しておこう。俺は2人に部屋で食べることを伝え、残りのおかずを取り分ける。かぼちゃスープも2人分準備して、水はドリンクピッチャーを準備してもらった。ウェイトレスさんに手伝ってもらい部屋まで運ぶ。ウェイトレスさんにお礼を言ったが、立ち去ろうとしない。もしかしてチップが必要なのかなと思って、鉄貨を二枚渡した。


「ありがとう、また頼むよ」

「御用の際はお呼びください」


ウェイトレスさんは綺麗にお辞儀をして去っていった。どうやら正しかったようだな。普段泊まっている宿と違いいい宿なのだろう。さすがアルフォンス様が用事してくださっただけの事はある。

さっそく早速準備してきた朝食を頂く。銀音には食べやすい汁物とデザートの所謂フルーツポンチを用意した。

凄く美味しいですが、体調が万全の時に食べたかったですね…なんて言いつつしっかり完食してたよ。

俺も朝食を食べ終え時計を確認すると8時ちょい過ぎ。銀音は食べ終わったあと少し眠らせることにする。目覚ましなんて無いから俺もこのまま寝落ちするとまずいな。


「そうだ!今のうちにチェーンソーを整備しておくことにしよう」


俺は宿の主に許可を貰い、宿の裏にある井戸近くでチェーンソーの整備を始めた。ブラックミノタウロスの血肉を水で洗い流し、各所をバラして洗浄、拭き取り、注油していく。バラして気がついたが、どうやらガイドバーとクラッチ部分を覆っているサイドカバー裏に魔石とかを仕込んでいるようだ。魔石に向かって、ハンドルから何やら回路基板様な模様が走っている。もしかしてこれで魔力を送り込んでいるのか。電気回路みたいで興味深い。感心しつつ最後にエンジンを始動して動作確認。


「これでいつでもモーズさんのところに持ってけるね。時間はどうかな?ーーーちょうど30分前か。銀音に声をかけてギルドへ向かおう」


チェーンソーをマジックバックに仕舞って部屋へと向かう。一応礼儀としてノックをし1拍おいて部屋へと入る。


「銀音ー?そろそろ行くぞー」

「分かりました…今支度します」

「まだまだキツそうだね…俺一人で行こうか?休んでても大丈夫だよ?」

「いえ、大…丈夫です。タクミ様お一人で行かせる訳にはーーー」

「明らかに体調悪そうだから寝ときな!別にギルドへ行くだけだから危険もないし心配いらないからゆっくりしてて!」


俺は半ば強引に銀音を寝かしつけ部屋を出た。だってあんな状態の銀音を連れ回してたら、人目を引くしなんなら吐きそうなんだもん。もしもギルドでぶちかまそうもんなら…想像するだけで怖いわ。

ギルドは宿から歩いて数分の距離。ちなみに役場からも近くて中央から見て商業区の入口近くに建物はある。


「ここでいいんだよな?思ったよりも威圧感というか、荒くれ者たちが居そうな建物には見えないな」


ケーンブーズギルドと看板に書かれており剣を握った猛々しい腕が描かれていた。もしかしたらギルドの紋章なのかも。俺は入口の両開きドアに手をかけ中へとはいる。


「………」


扉の前からでも聞こえていた喧騒が一瞬で静まり、入室してきた俺に視線が集中する。周りの、恐らく冒険者であろう連中はまるで俺を品定めでもするように視線を浴びせてきた。

気まずい…さっさと受付嬢に用件を伝えて別部屋へと連れていってもらうとしよう。


「あのーすみません。10時からギルド長メビウスさんと面会の約束をしているコウダと申しますが…」

「あー!お話は伺ってますよ!ブラックミノタウロスを討伐してくれてありがとうございます!」

「いやいや、あれは他の皆さんも居たおかげで、えぇ!?」


俺が受付嬢とやり取りしていると、周りからドッと大歓声が上がる。何事かと後ろを振り返ると先程までテーブルに座り俺を見ていた冒険者たちが詰め寄ってきた!こっ怖ぇ〜。


「あんたがあのブラックミノタウロスを討伐した“両断のコウダさん”だったのか!!」

「Aランク級の魔物を討伐するなんてこの街依頼の快挙だ!すげーよ!」

「今度俺たちにもコウダさんの専用武器を見せてくれよ!両断の切れ味を是非この目で見てみたい」


周りを取り囲まれ、賛辞やら質問やら一斉に浴びせられる。言葉がまとまらず上手く返答できない。こんな事経験したこと無かったから混乱してしまった。てか、なんだ!両断のコウダって!恥ずかしくなる2つ名がついてるし……。


「あの人は居ないのか?“白銀姫様”は?」

「しっ白銀姫?って誰です?」

「両断と一緒にブラックミノタウロスを討ち取ったっていう獣人の女性だよ!両断のコウダさんとはどんな関係なんだ?」

「普通にコウダで良いですから!しかも白銀姫?ってもしかして銀音の事ですか?」

「おい!皆聞いたか!白銀姫様の名は銀音様と言うらしいぞ!」

「俺は以前酒場で見た事があるが、恐ろしい程に美しかったぞ。俺も含め誰も彼も声をかけるのを躊躇っていたからな」

「あれだけの気品と美しさだ。元はどこかの貴族か豪商の娘だろう。冒険者なんてやってるってのは何か深い事情がーーー」


俺の時以上に銀音の話で盛り上がる冒険者たち。確かに銀音は美人だからな。

でも、真実は魔法で人狼化した数百年を生きるハティウルフなんだけどね。


「おータクミ!時間通りだな。オメェーら!両断のコウダにあえてテンション上がってるのは分かるが、今は俺の客だ!話は後にしろ!」


ギルド長のメビウスさんが声をかけると皆それぞれのテーブルへと戻って行った。メビウスさんさすがだな。でも、後で囲まれるのかと思うと憂鬱だ…。

俺はメビウスさんに案内されてギルド長の執務室へと通された。机の上は書類の山で、机の周りも結構ものが散乱していた。失礼だがメビウスさんっぽい部屋だなと思ってしまった。


「ちっと散らかってるが寛いでてくれ。普段は応接室で対応するんだが、鑑定スキルの適性があったら鑑定レベルも測定しなきゃならねーからな。全部揃ってるここでやった方が手間にならん」

「ありがとうございます。じゃあ、ソファーに座らせてもらいますね」

「そういやー嬢ちゃんは一緒じゃないのか?」

「銀音は飲み過ぎで潰れてますよ。付いてこようとしてたんで、無理やり置いてきました…」

「がはっは!昨日は楽しかったもんな!お前達のおかげで今もこうしてケーンブーズは平和だ。改めて礼を言うぜ。さて、それじゃ早速適性検査をやってみよう」


メビウスさんは本棚の1番上の方から木箱を取り出しソファー前の机に置いた。木箱を開けると黒の石版に赤い文字で何やら魔法陣が刻まれ、真ん中には瞳の絵が描かれていた。


「これが適性検査の魔導具ですか?」

「そうだ。こいつは通称“見透かしの石版”こいつの上に鑑定したい物品を置けばランクや情報を見ることが出来る。そして、物品で無く適性者が石版に手を置くと白く輝くんだ」


成程。これ単体でも鑑定具として機能するが、適性者を見つけることも出来るのか。試しにメビウスさんが石版に手を置いてみせると魔法陣が白く輝いた。


「っと、こんな感じに輝き出せば適性ありだ。手のひらを置いたら魔力を少量流してくれ」

「っ分かりました。やってみます…」


少し緊張しながら石版の上に手を起き、魔力を送り込む。一瞬暗いままだったので適正なしかと焦ったが、直ぐに魔法陣が光り輝いた。


「お?タクミは適正ありだな!珍しい適正だから良かったじゃねーか!」

「ありがとうございます!嬉しいです」

「喜ぶのはまだ早いぞ?適性があっても鑑定スキルを修得するのは少しコツがいるからな。センスのないやつはどんなに練習しても習得出来ない。次は早速スキルを扱えるようになるためにやり方を教える」


実際にSからGまでの物品を使って鑑定スキルを発動し、測定レベルも調べることになった。

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