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胸のウズキ  作者: 麻沙綺
3/3

再会

 何年振りだろう。

 仕事の都合で、日本に帰ってきた。

 そのついでに、同窓会をするって、連絡があった。


 とりあえず、ホテルにチェックインしないと・・・。

 って、思ってたら、空港に懐かしい顔触れがあった。



「千紗ー!」

「梨香!」

 私は、梨香に抱きつく。

「梨香、綺麗になったね」

 って、口にすると。

「千紗こそ。元々綺麗だったのに、もっと綺麗になったね。って言うか、身長も伸びたよね」

 うーん。どうだろう?

「千紗。お帰りー!」

「将?」

「えっ、俺以外に誰が居るんだよ」

 仏頂面で言う。

 確かにそうなんだけど・・・。

 だって、将が背広を着てるんだよ。

 それこそ、時が流れたってことが、よくわかる。

「なぁ、ホテルキャンセルして、俺ん家に泊まればいいじゃん」

 将が言う。

「いや。迷惑じゃ・・・」

「大丈夫。うちの親に話したら、凄く喜んでたし、咲も千紗に会いたがってる」

 咲ちゃんか・・・。

「本当にいいの?」

「俺たちの仲じゃん」

「じゃないお言葉に甘えてお邪魔しよう」

 私は、ホテルに電話して、キャンセルした。



「ねぇ、あいつ遅くない?」

 梨香が、小声で言ってるのが聞こえた。

 あいつって、誰の事だろう?

「なぁ、千紗。お前、向こうで、彼氏できたか?」

 将が聞いてきた。

「そんなのできるわけないよ。こんな性格の私を好きになる鬼畜な人なんていないよ。今は、仕事が恋人みたいなものだよね」

 って、苦笑する。

 っと。

「先輩ー!」

 って声が響いた。

 この声って・・・。

「おっせえよ」

 将が言う。

 将が知ってる人?

「先輩」

 って、あれ?

 何で、抱き締められてるんだ?

 しかも、私より背が高い。

 って、男の人だから、当たり前。

 じゃない。

 だって、将と私の身長そんなに変わらない。

 のに、それでも胸に埋もれてるって・・・。

 私は、恐る恐る顔をあげた。

 でも、見たことない。

 ???

 一体、誰?

 私の顔に出てたのだろう。

 彼が。

「先輩。覚えてないですか?桐生嵐です」

 って、自己紹介してきた。

 桐生嵐・・・って・・・。

「あの、嵐くんなの?」

「そうです」

 ウヒャー。

 変わるもんだなぁ・・・。

 あの、甘いマスクが、凛々しくなってる。

 しかも、イケメンになってるんだもんなぁー。

 行き交う人が、振り返るほどとは・・・。

「嵐。何時まで引っ付いてるんだよ」

 将が離してくれた。

「先輩に会えるってだけで、嬉しくて・・・」

 嵐が、恥ずかしそうに言う。

「そうだ。嵐くんに朗報。千紗、フリーだって」

 梨香が言う。

 まぁ、確かにそうだけど。

 それが、なにか?

「マジですか?」

 嵐が、私に聞いてきた。

「嘘ついて、私に何か利益あります?」

 嵐が、首を振る。

「じゃあ、改めて、言おうかな」

 嵐が、真顔になった。

 何?

「奥田千紗さん。好きです、オレと付き合ってください。もち、結婚も視野に入れて」

 嵐が、告白してきた。

 エッ・・・。

 こんな人前で堂々と。

 でも、これって私にも言えってことだよね。

 今までの想いと一緒に告げても、いいのだろうか?

 それとも・・・。

「千紗。ちゃんと応えてやれよ。今までの想いもな」

 将が言う。

 見透かされてる・・・。

「わかってるよ」

 私は、嵐に向き合う。

「桐生嵐さん。私でよければ、よろしくお願いします。って、遠恋になっちゃうけど、いい?」

 私は、改めて聞いた。

「エッ・・・。何で?」

 嵐は、なにも聞いてない。

「私は、今回は仕事で帰ってきただけだから、また戻らないといけないんだよね」

 私の言葉に嵐が、落胆した。

「ねぇ、嵐が私の事を本気だって言うなら、こっちに戻ってくるよ」

 私の言葉に嵐の顔が、綻ぶ。

「じゃあ、同棲しよ、千紗」

 はぁー!

 何故?

「千紗が、こっちに戻ってくるなら、一緒に住んだ方が早い」

 何が、早いの?

 それ、お兄ちゃんが聞いたら、大変なことになりそうだが・・・。

「とりあえず、移動しようか・・・。俺の家に・・・な」

 将の家に向かった。




 その後、同棲うんぬ談義が、始まったのは言うまでもない。

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