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第30話 トゥ・ヘル・アンド・バック

男「じゃ、好きなタイミングでいいんで。来なよ」


少し涼しげな風が身体を揺さぶる。近くの木々が木の葉を揺らし、目の前には痩せ気味な男が1人。かなり痩せ細っているように見える。


健司(どうしたものか、とりまペパーの時みたいに猪突猛進でいくか?いや、少しでも戦術を練ったほうがいいのかどっちだ?これ)


男は何一つ表情を変えずにタバコを吸い続けた。刀は依然として鞘の中だ。


健司は全力で突撃し、“ラブミードゥ”を振り回すが全て男に流される。


健司「え?」


男は刀を健司の足に叩きつけた。健司は勢いよく倒れ、またすぐ起き上がった。が、男の姿が見つからない。


健司(消えた!?…とするならば選択肢は3つだ。1つは木々の中に隠れている、2つは何かしらの方法で姿を消し、今透明人間状態、そして3つは…)


健司はあたりを見渡した。


健司(ま、まさかそんなこと…こんなことが…あるわけ…いや、実際“いる”!確かだ!絶対に3だ!答えは3だ!)


健司「後ろにピッタリとくっついている」


男「正解〜」


健司はすぐに男との距離をとり、構えた。


健司「物理的に可能なのか…」


男「そろそろ攻撃していい?飽きてきた」


そう言うと男は光の速さで健司の前まで移動し、鞘を健司の腹に叩きつけた。


健司「ガハァッ!」


健司は力無く倒れた。視界は霞み、意識は朦朧としている。


男「やっぱおもんないか。こいつも」


立ち去ろうとしたその時、男は異変に気づいた。


男「あれ?なんか歩きづらいな…靴に石でも入ったんかな?」


男は左足を見た。目に写ったのは、赤色に包まれ肉が裂けている己の足であった。


健司「…ようやく気づいたかこのスカタン!」


男「お?ん?あーそういうこと?」


男は左足をじっくり見ると、何事もなかったように振る舞った。そしてゆっくりと健司を見つめた。、


男「名前は?」


健司「…健司」


男「俺は城山。よろしく」


健司「なんだか、日本っぽい名前」


城山「あぁ、そうさ。生まれは日本だからな」


健司「ということは…」


城山は満月を見ながら答えた。


城山「今から8年前?かな。ここに転生してきて…色々と苦労したもんだよ」


城山は何にもない野原に腰掛けた。


城山「隣、座る?」


健司は城山の隣に腰掛け、目の前にある満月をを見た。


城山「あんたは?」


健司「そうっすね、俺も訳もわからずここに飛ばされて…何度も死にかけたりしましたね」


城山「そうかい」


城山はタバコを吸った。副流煙がいつもよりきつく感じた。今にでも新鮮な空気を取り入れたい。


健司「それじゃ、俺を強くしてくれます?」


城山「まぁ、うん。そうだね、うーん…いいよ」


健司「何でそんな曖昧な回答するんすか?」


吸い尽くしたタバコをそこら辺に投げ捨て、城山は答えた。


城山「正直に言ってあんた、弱い」


健司は一瞬焦った。そこまで自分が弱い存在だと思ってなかったからだ。ペパーと真正面から戦った。それだけで十分に強いと思ったからだ。


城山「今の状態はマジで弱いし、俺が鍛えても弱いままだ。お前は特別な才能や潜在能力など何一つもない。結論から言えばお前はずっと及第点以下って訳」


健司「…じゃあ、何故俺を?」


城山「決まってんだろ」


城山は健司の目を見て答えた。


城山「気になる。どこまでいけるか?俺の指導でどこまで上り詰められるか?それが気になる。ただそれだけ」


城山は野原に横になり、目を閉じた。


城山「指導は明日からだ。おやすみ」


健司「…ここで?」


返事は返ってこなかった。


健司「まぁいいか」


何故かはよくわからないがよく寝れたと思う。枕が無いのがきつかったがたまにはこういうのもいいだろう。疲れも全て取れた気がする。まぁ、疲れすぎて麻痺してんだろうな。最近歩いてばっかだったし。


城山「あ、起きた?」


目の前には見るだけでわかるほどずっしりとしたおもりが置いてあった。


健司「…これからはもしかして修行パートって感じです?」


全身の筋肉が悲鳴を上げている。痛いってレベルじゃない。ただえさえ歩き続けたのに森10周はもはや刑罰と呼べるほどだった。蚊にも刺されまくった。全身掻きむしりたい。けど筋肉に触れた途端多分弾けて混ざると思う。


城山「お疲れ様。それじゃ、飯にしよう!」


健司「チキン南蛮が食べたいです」


城山が大きな鯖を持っている。


城山「ほら、捌けよ」


魚の捌き方なんてわからなかった。最初に手本を見せてはくれたが中の構造や骨の取り除き方などとてつもなく細かく、尚且つ繊細さが必要な作業だった。さっきまで走っていたこともあって手先が安定しない。


城山「ぐっちゃぐちゃだなおい」


健司「これでも上手にできたと思うんすけどね」


ぐちゃぐちゃすぎて一瞬おじやに見えてしまうほどだった。だが、案外うまかった。いや、案外ではない。とてもうまかった。心の底から感動していた。


城山「いやー、よかったよかった。とりまこれを10日やってあとは実戦ってとこかな」


健司「あぁ…」


食欲が失せた。考えるだけでも吐き気と絶望が止まらない。


健司「…ご馳走様」


城山「ありゃ、もう食べないの?」


健司「食欲失せました」


城山「じゃ、明日の朝に食えよ」


健司「もう寝ます…」


城山「おやすみ」


健司はパチンコに全財産を賭けたフリーターのように絶望し、地面に倒れ込んで秒で寝た。














城山佐刃斗


年齢 37歳

誕生日 12月12日

身長 186cm

体重 43kg

武器名 大和

趣味 タバコ

特技 5本一気吸い

好きな音楽のジャンル パワーメタル

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