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Phase 4-04:宇宙への放射

※この作品は生成AIを使用して作成されたものです

ザルグは、

冷却塔の制御盤の前で立ち止まった。


無数のランプが、

規則正しく点滅している。


「まず、確認だ」


ザルグは振り返らずに言った。


「今ここで使われている冷却方式は?」


「……水冷です」


私は即答した。


「CPUや電源で出た熱を水に移して、

その水を冷却塔で蒸発させて……」


「正解」


ザルグは短く頷いた。


「水に逃がす方式は、最も原始的だ」


「え、でも……

効率は良いって……」


「“熱を消したように見える”だけだ」


ザルグは、

制御盤のモニターを指差した。


そこには、

冷却水の流量と温度、

そして“蒸発量”が表示されている。


「見ろ。

この数字が意味するものを言ってみろ」


「……えっと……

毎分、何トンもの水が……

気体になって……」


「そうだ」


ザルグは、ようやくこちらを向いた。


「熱は消えていない

姿を変えただけだ」


ザルグは、

腰の端末を操作した。


カチャッ


冷却塔のファンが、

ゆっくりと回転数を落とし始める。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


私は思わず声を上げた。


「ファン止めたら、

サーバーが——」


「止まらん」


ザルグは淡々と言った。


「次の経路を用意してある」


「次の……?」


その瞬間だった。


屋上の反対側。


今まで気づかなかった場所で、

巨大な銀色の板が

静かに展開し始めた。


ギィィ……


まるで、

宇宙船の翼が開くような音。


「……何ですか、あれ」


私の声は、

自分でも驚くほど小さかった。


「ラジエーターだ」


ザルグは言った。


「放射専用のな」


銀色の板は、

鏡のように空を映している。


だが、

反射しているのは“光”だけではない。


「普通の金属板じゃない」


ザルグは説明を始めた。


「これは、

特定の波長だけを“外へ逃がす”」


「波長……?」


「8〜14マイクロメートル」


私は、思わず眉をひそめた。


「それって……」


「大気の窓だ」


ザルグは、

何度目かのその言葉を口にした。


「この波長の赤外線は、

水蒸気にも、CO₂にも、

ほとんど吸収されない」


「つまり……」


私の頭の中で、

点が線になり始める。


「……空気を素通りして……」


「宇宙へ行く」


ザルグは、

まるで当たり前のように言った。


制御盤の表示が変わる。


廃熱 → 放射変換率:上昇


「……え」


冷却塔の方を見る。


さっきまで、

モクモクと立ち上っていた白い湯気が——


減っている。


「消えて……いく……?」


私は、目を疑った。


「蒸発させていない」


ザルグは言った。


「光に変えている」


「熱は……

光になれるんですか?」


「なれるも何も、

元々そういう性質だ」


ザルグは、

少しだけ面倒くさそうに言った。


「プランクの法則。

温度を持つ物体は、

必ず電磁波を放射する」


「ただし」


一拍置く。


「お前らは今まで、

放射よりも蒸発を選んできただけだ」


数分後。


モニターに映る数値が、

安定した。


サーバー温度:正常

冷却水温:低下

湿度:下降傾向


「……」


私は、

何も言えなかった。


「魔法じゃない」


ザルグは、

銀色の板を見上げながら言った。


「空気を介さずに、

熱だけを宇宙へ返した」


「地球は、

太陽から光を受け取る」


「なら、

同じように光で返せばいい」


しばらくして、

風が変わった。


肌にまとわりつくような

湿気がない。


「……涼しい」


私は、

思わず呟いた。


エアコンの設定温度は、

何も変わっていない。


それなのに。


「これが……

本来の熱の捨て方……」


「そうだ」


ザルグは頷いた。


「水蒸気を増やさず、

雲も作らず、

空気も乱さない」


「ただ、

宇宙に返す」


私は、

夜空を見上げた。


雲が、

ゆっくりと薄くなっている。


「……」


胸の奥が、

少しだけ軽くなった気がした。


だが。


「……これ、

全部の施設にやったら……」


私は、恐る恐る言った。


「都市の景色、

変わりますよね……?」


ザルグは、

一瞬だけ黙った。


そして。


「変わるな」


短く答えた。


「空が戻る」


私は、

その言葉の意味を噛みしめた。


(空が……戻る……)


ザルグは、

制御盤から離れた。


「完了だ」


「次は?」


と聞くと、

彼は一瞬だけこちらを見た。


「……クレームだろ?」


私は、苦笑いした。


「ですよね……」


屋上の上。


雲の切れ間から、

星が一つ、

はっきりと見え始めていた。

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