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独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!  作者: 弥生ちえ(弥生 知枝)
第4章 最高神 編

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第157話 【攻略対象 最高神リュザス】光あるところ影アリ


 尖塔の観音開きの扉には、引手は無い。代わりに、左右2枚の扉全体に渉る複雑な魔法陣が描かれている。


 結界魔法を解いて尚、魔法の輝きを放つ扉には仕掛けがあるらしく、レーナら3人と1柱は触れぬようバルザックから告げられた。代わりに国王に促されたシルヴィアが、慣れた様子でほんのり金色に輝く魔法陣の中央に手を当てる。


 ぎぎ――……カシャン・カシャ……キィ―――……ン


 扉から複雑な音が漏れ聞こえたかと思った次の瞬間には、大人の背丈の1.5倍もの高さのある、重そうな金属の扉が音もなく静かに外に向かって開く。


「すごい……」


 感嘆交じりに呟いたレーナを、シルヴィアが振り返って「そんなことないですよ!」と突き出した両手を激しく振って否定し、更に言葉を連ねる。


「この扉は光の魔力を送れば、簡単に開いちゃうんです! 私じゃない他の誰でもが出来ちゃうんですから。むしろ凄いのは、害のあるモノを寄せ付けないこの塔と、それを作った昔の人たちですよ!」


「私が知る限りでは、シルヴィアさんが現れるまで、この扉を開くために王都大神殿の光魔法を使える神官5人が魔力切れ寸前まで力を込めて、やっと……といったところでしたよ? 謙遜されることはありません」


 バルザックがすかさずシルヴィアの実力を評価する言葉を挟むが、それでもなお彼女は「いえいえいえいえ」と手と首を振る。自分の力に決して奢らず、他者への評価を忘れないシルヴィアはやはり正統派ヒロインだ。黒い青年のちょっかいで、ハーレムヒロインになっていた彼女は、本来の性質とはかけ離れていたのだと実感させられる。


「そんなっ、ホントに手を置いてるだけでっ! 先生のように、自在に魔法を使うことも出来ませんものっ」


「それはそうでしょう。生来の素質が秀でていることも否定しませんが、私はここに至るまで自己研鑽を重ねてきているのです。魔法の制御と応用は、数々の経験の賜物でもありますからね。光の魔力に覚醒したばかりのシルヴィアさんには、まだ負ける訳にはいきません」


 謙遜とは無縁のバルザックの言葉に、レーナは辟易してしまう。けれどシルヴィアは尊敬の眼差しを向けているし、バルザックも満更でもなさそうな笑顔を浮かべている。実力を認め合った者同士の、心地良い空気感が漂う。そして、その2人の姿にクラウディオ王子が、優しげな視線を向けて見守っている。


「さすがヒロインね。あの自慢発言から良い雰囲気を創り出すなんて……」


 モブとの違いを実感して、慄くレーナだ。同時に、ヒロインが居ると世界はこうも華やかに彩られるのかと感心したところで『こっちだけ見ればね』と、プチドラが意味深な言葉を挟んでくる。


『光あるところ影アリよぉ。ちょっと視線をずらしてご覧なさい? おーこわ』


 寒気を堪える様に腕をさすりながら、視線で王女を示した。

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