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第十一話 心通わせて(前編)

 「……うん?」


 目が覚めると、そこは暗闇の中だった


 「ここは……」


 寝ぼけた頭を再起動させ、状況を把握する、確か俺は一騎打ちの後突然崩れた地面に落ちて……

 という事は、ここは機体の操縦席の中か、そう判断し機体を起動させようとするものの、さっぱり反応が無い、諦めてまずは外に出る事にした。


 「よっこい……せっと!」


 重たい扉を開け、機体の外に出ると、そこには見た事も無い光景が広がっていた。


 「光ってる……」


 恐らく洞窟の中であると思われるそこは、場違いなほどの明るさに照らされていた、太陽の光が差し込んでいないにもかかわらず、天井一面がまるで電灯のように光り輝いているのが分かる。

 俺は昔テレビのドキュメンタリー番組で見た、発行する苔、ヒカリゴケを思い出した、あれよりずっと明るいが、もしかするとこちらの世界にも似たような植物が生息しているのかもしれない

 

 「って、見惚れてる場合じゃないよな……」


 俺は視点を戻し、周辺を観察してみる、どうやらドラギルスは洞窟の中にある湖に流れ着いているようだ。

 恐らくあの後、機体は地下水脈に落ち、そのまま流されてここまで運ばれてきたのだろう、水中に沈んでしまわなかった幸運に感謝せねば。

 

 周囲を見渡していた俺の視界の片隅に、見覚えのある赤い物体が横切った、あれはもしかして……

 近づいて確認してみる、それは間違いなくさっきまで命がけの戦いをしていた赤い機体だった、恐らく俺と同じように流れ着いたのだろう。

横たわったまままったく動かないその機体に思い切って登り、機体を叩いて呼びかけてみる。


「おーい、お互い遭難したみたいだし、ここは一時休戦といかないか?」


 が反応が無い、操縦者はもういないのだろうか……?

 もしかすると怪我でもしているのかも知れないと思った俺は、操縦席の扉の近くに行き、操縦席を手動でこじ開けた。操縦席には、気絶しているのだろうか、目を閉じたままの操縦者の姿があった。

だがその姿は、俺の予想とは大きく違うものだった。


「女……の子?」


 そこには、燃えるような赤い髪を左右で結い、騎士鎧に身を包んだ、見惚れるほどの美しい女騎士の姿があったのだった。


_____________________________


 私が目を覚ますと、そこには焚き火と、何かを焼いている男の姿が映っていた、歳の数は私と同じくらいだろうか、さっぱりとした髪型で、少し頼りなさげな顔をしている。


「おっ、目が覚めたか、良かった、ずっと目が覚めないから心配してたんだ」

「あなたは……?」

「さっきまで戦ってたヒロ・シラカゼだよ、えっと、メタトロンさん……だっけ?」

「!?」


 そこで私の意識は覚醒した、咄嗟に剣を抜こうとするが、何時もの感触が無い、それどころか、常に身に着けている騎士鎧を今の私は着ていなかった。


「私の、私の鎧と剣は!?」

「ああ、運ぶときに重かったから、脱がせてそっちに置いてあるよ」


 男が指差すところを見ると、私の装備一式が綺麗に並べて置いてあった。


「って、別に変なところは触ってないからね!本当だよ!」


 男が何か言っているが、それを聞き流し、今の状況を把握する、非常に不味い状況だ。

 機体からも下ろされており、武器も取り上げられている、このまま私は虜囚となって魔王軍に捕らえられてしまうのだろうか?


「顔色悪いけど大丈夫?どこか痛む?」

「……」


 それにしてもさっきからこの男は、まるで私を警戒していない、それどころか心配までしている、先程まで殺し合いをしていたというのに、男の声には目覚めてから今まで、全く殺気が感じられなかった

 この男は本当に魔王軍なのか? それとも、油断させるための演技なのだろうか?

 

 それからも男は、私に対してまるで敵意を持たずに接してきた、湖で取れたという魚の丸焼きを私にも分けたのもそうだが、呑気に背中を見せて食事の後片付けまでし始めたのには驚いた。

 ここまでされると、逆にこちらの方も事を荒立てようという気持ちが無くなってくるから不思議だ。


「ヒロ殿は、私をどうするつもりなのだ?」

「どうって言われても困るな」

「困るとは?」

「一緒にここから出るのに協力して欲しいってのはあるんだけど、それからどうするかって聞かれても考えてないんだよなぁ」


 その呑気な言い方に、私はすっかり毒気を抜かれてしまった、話に聞いていた魔王軍とあまりに違いすぎる、見たところ普通の人間にしか見えないし、これはどういうことなのだろう?

 私が考え込んでいると、男が右手を差し出してきた


「どうかな、ここから出るまでで構わないから、手を貸してくれないかな?」


私は少し逡巡した後、その手をぎこちなく握ったのだった。


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