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第2章 第15話 凱旋そして帰還へ 

「きゃーっ、勇者様ご一行だわ♪」

「俺たちの誇りだぜ!」

「マリン様~‼」


 王国に着いた俺たちは、正門でオープン馬車に乗り換えて、大通りをゆっくり進んだ。いわゆる凱旋パレードである。それにしても凄い人だ。

 この熱気は、関西の某人気球団の優勝パレードに匹敵するくらいである。

 あまりの人気に俺やハム太が照れる中、マリンは両手を振ってアピールに忙しい。


「マリン様もいるぞ」

「今回もマリン様が大活躍だったようだな」

「ああ。精霊魔法で敵の10万の大軍を打ち破られたそうだ」

「それは凄いや」

「さすが、王国筆頭魔導士だ」

「それにくらべて、勇者様って何かされたのか?」

「さあ。さっぱり……」


 今回も何故かマリンが人気のようだが、作戦を立てたのも、精霊たちに黄金米を与えて頼み込んだのも、俺なのだが……。

 そして……。


「ハム太さま~!」

「ハムちゃーん!」

「きゃーっ」


「は、恥ずかしいっす!」


 何故か俺よりハム太の人気が凄いことになっている。

 俺は正直微妙な気分のまま、国王に謁見することになったのだった。



 ◆



「勇者様、この度の戦いよくやってくれました」

「はっ」

「オルレアンにて見事、旧帝国軍を打ち破ってくれました。(そして?)(よって?)これまで商会に牛耳られていた穀物市場が解放されました。黄金米もよく売れています。すぐにという訳ではないですが、勇者様たちを元の世界に帰すことも可能です」

「ありがとうございます」


 俺の言葉に、国王は白い髭を優雅に撫でながら満足げに頷いた。

 国王との謁見は、マリンを介して行われるため、俺としてはポンコツ魔導士に上からモノを言われているみたいで、微妙な気分だ。

 そもそもこの国王おっさんからして、俺を勝手に召喚した元凶の上、戦争まで丸投げしてきやがったんだった。怒りがふつふつと湧いてくるが、これも元の世界に帰るまでの辛抱。俺は自分の気持ちをグッと抑えた。


「今から転移魔法陣の工事に取り掛かります。この度は、ジュリアやハム太を含めた大掛かりなものになるため、手間はかかりますが、一年後には元の世界に送り返すことができるでしょう」

「本当ですか?」

「王国筆頭大魔導士であるマリン=ディアが請け負うのです。大丈夫に決まっています。それに今回の勝利はマリンの働きがあってのもの。勇者様もマリンに感謝し、敬い愛するように。くれぐれもぞんざいに扱ってはいけませんよ」


 国王は頷くのをやめてぽかんとしている。

 どうやらマリンのやつ、国王の言葉を代弁することにかこつけて、自分の気持ちを勝手に付け足したようだ。



 ◆



 そして、一年が過ぎた。


「スイ様、最近街に人があふれてるっす」

「ほんと大盛況だな」


 窓の外には、黄金米を運ぶ農民や商人たち。城壁の向こうには黄金米の海が波打っている。


 オルレアンの戦役以降、王国では大陸各地から、ますます労働者が集まるようになった。人が増えれば物も要る。オルレアンをはじめ各地の商人たちも王国に次々と店を開き、結果黄金米は大陸各地に流通していった。


「王国の財政も立て直すことができたし、俺たちの帰還費用も十分にたまったそうだ」

「じゃあ、いよいよなんすね」

「ああ。そろそろオルレアンから珠莉を呼び戻さないとな」

「自分、なんだかマリン様が不憫に思えるっす」

「あいつ最近、俺たちの魔法陣を造るのにかかりっきりだからな」

「自分、帰る前にちゃんとお礼を言いたいっす」

「そうだな。向こうに帰ったら二度と会えないんだろうし、魔法陣が完成したら珠莉も含めて三人でちゃんとお礼しようと思うんだ」

「賛成っす~♪」



 ◆



「うふふ……」


 その頃、マリンは玉座の間を封鎖して一心不乱に魔法陣の仕上げをしていた。

 そして俺は、あんな()()になるなんて思ってもいなかったのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

面白ければ☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ、大変うれしく思います。

次話から第3章に入ります。

ゆっくり更新となりますが、何卒よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
おいおいおい。 帰るってなったのにいったい何が起こるんだ。 そんでね……まあ手柄ってのは別の人にくれてやればいい。 よほど自己主張が強いならともかく静かに暮らしたいならくれてやった方がいい。 ただ…
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