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生徒会のお仕事にて(その後)



「少々お花摘みに行ってきますわー」


 そう言ってコレハが席を外したところで、頭を抱えていたハークスが顔を上げてヒィロ・インに話しかける。


「ヒィロ、コレハが開発したこの計算機……王城にも届けられるんだろうか? ロボロフスキーが絡んでいるならまずそうなると思うが……」

「えぇと。多分改良ってのが終わってからじゃないですかね? というかキャン坊がそんな才能を持ってたとは知りませんでしたよマジで」

「そうか……今のままでもいいから先行して何台か欲しいぞ……ああ、キャンベルとやらは独立貴族になるだろうな。男爵位は確定だろう……ロボロフスキーの養子になっていたなら伯爵になってもおかしくない」

「げ、これそんな発明ですか」

「世界が変わるだろう。あれをみろ」


 と、ハークスはまだ計算機に正気を破壊されたままのクルシュを指した。


「なんですかねこれ……ええ……計算が、計算が簡単に終わる……ちゃ、ちゃんと計算合ってるんですか?…………合ってますね。夢かな? 夢だなぁ……5桁の計算が一瞬ですよ? こんな魔法の道具が……ああ、だから魔道具っていうんですよね……ハハ」

「あ、クルシュ様が壊れてた」

「さもありなん。文官なら大体こうなる。ケンホだったらこの計算機のヤバさが分からんだろうが」


 尚、関係ない話だがこの生徒会においてクルシュは基本名前呼びである。

 ナイアトホテプが二人居て、もう片方が本家筋ゆえに。ナイアトホテプ様とお呼びするにはコレハ・ナイアトホテプが優先されるので。


「あの、殿下。私は計算が楽になって助かる、くらいの認識なんですけど……そんなにですか? まぁお嬢様のしでかすことなのでそのくらいある意味当然かと思うとこもありますが」

「単純に、文官が今の2倍、いや5倍働けるとなれば、どうなる?」


 計算は文官の日常仕事の大半を占めている。その速度、正確性をこの魔道具が補えると考えれば……5倍でも足りないかもしれない。


「……あっ、ヤバいですね。実質文官の人件費が5分の1とかそれだけでも国家予算に大影響ですよ。そりゃ元孤児に伯爵位与えるくらい安いもんだし、クルシュ様もこうなりますか」

「この程度で済むあたりまだマシだぞ。魔道具研究してる奴なら絶叫してのたうち回るにちがいなかろうよ。……ツヴァンが目を覚ましたら耳塞いどけよ。多分そうなる。確か専攻が魔道具研究だったはずだ」

「ツヴァン会長静かだとおもったらまだ気絶してた」


 やれやれ、コレハの事に耐性がないやつはこれだから。とハークスは肩をすくめた。もっとも耐性がある自分でもこうなので仕方ないとも思っている。


「おいしっかりしろクルシュ。お前んちの本家筋のお嬢様がしでかしたコトだぞ」

「殿下の婚約者ですよッ!? しっかり手綱を握っていてくださいよ!!」

「俺がコレハをどうにかできるわけないだろう? 精々悔しい顔で誘導して良いように転がってくれるよう祈るくらいだ」


 っはー、と大きなため息をつきながら、ハークスは椅子の背もたれに体重を預け天井を見上げた。


「殿下、お嬢様相手に悔しい顔するの上手くなりましたよねー」

「我が婚約者はそういう顔が好きなようだしな。学園が始まる前に有名な劇団の者を呼んで講師してもらったんだ。なかなかのもんだろう? コレハが喜んでくれるならなんでもするさ。婚約破棄以外なら、な」

「あ、道理で。でもすこし大げさで演劇的かなとは思いました」

「……まぁコレハは喜んでくれてるし」

「喜んでますねぇー」


 その後、コレハの愛らしさについての話で盛り上がり、しかし「そろそろ戻ってきますから名詞隠しで」「うむ」と言うやりとりのおかげで「あ! 王子とヒロインが仲良く談笑してますわ! あのやさしい表情……きっとさっきのイジメを慰めたりで好感度また上がったんですわね! 計画通りですわー!」とコレハに認識させることに成功した。


 あとツヴァンはコレハが「計算機のおかげで仕事もう終わりましたわね! お先に帰りますわー!」と帰った直後に意識を取り戻し、ハークスの予想通り絶叫した。


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