勘違いしないでよね、恋人の日なんかじゃないんだからねっ!
タイトルを考えたら
やたらと長くなってしまったのは
何となくタイトルにツンデレっぽい
言葉を入れたくて、実際にやったら
めっちゃ長くなりました。
本当はもう少し短めにしたかった…。
サブタイトル通り、賢者の祝い日こと
バレンタインデーIN異世界って言う話です。
無事、パトリシア姉様のデビュタントも終わり、ガーネットの月の下旬に差し掛かると、私たちよりも年上のお姉さま方が色めきたつ時期が来る。アメジストの月、14日にある賢者の祝い日と言う名のティシュヴァンフォーレにおけるバレンタインデーだ。私やオルテンシア様、カトリーナ様にとってはまだ友人同士でプレゼントを贈り合うから、2月にあるクリスマスみたいな感覚なんだよね。まあ、この世界だとアメジストの月って言うの呼び方なので、基本的にその呼び名で言わないといけないのが最初は慣れなかった事もあったっけ。私もティシュヴァンフォーレに転生して5年、流石に暦を間違えたりはしなくなった。ただ、曜日とかも何か精霊の名前になってるのはファンタジーらしいと言えばそうかもしれない。フォルトニア様も剣と魔法の世界だと言っていたし、その部分を楽しんだりもしてはいる。まあ、私は剣は持ってない代わりに杖を持って魔法を使ったりしてるのだけれどね。通っている学校でも魔法の授業とかが普通にあるし。かと言って、某魔法学園小説みたいな感じの魔法使いになる為の学校ではない。魔法の素質がある人は普通の学校の授業に魔法の授業がプラスされているので、どちらも経験を積んで才能を伸ばして行くのがメインだったりする。授業を受けて学んでいるうちに、普段意識しないジャンルの才能が開花する人とかも稀にいる、と言う話を前にクレメント先生が言っていた。
「あなた方くらいの歳から才能が開花する生徒もいれば、中等部や高等部に進級してから遅咲きで開花する人もいますから、人それぞれ、と言う事です。」
だから、今はまだ、伸ばしたい才能が開花してなくても、他にも様々な魔法や学術もあるので、別の才能が眠っているかもしれません。諦めずにチャレンジしてみて下さい。…とホームルームで言っていたのを思い出す。私としては、某スポーツ漫画の諦めたらそこで試合終了だよって先生が言ってた言葉とちょっと似てるな、とは思ったけどね。人それぞれ、得意分野と言うものは違っていてそれが当たり前だろうし。みんな違ってみんな良い、ってどこかで読んだような、聞いたような言葉が頭をよぎる。確か、童謡か何かの歌詞だった気がするけど、うろ覚えなのでそれが合ってるかどうかも確かめようがない。いや、まあ、異世界に転生しちゃってるから、日本の辞書とかパソコンとかないだろうし。何だか話が脱線しまくったので、元の話題に戻そう。そう、賢者の祝い日の話をしていたんだったっけ。その日は今年だとちょうど週末にあたる日で、ジンの日だ。ジンの日と言うのは、地球で言う所の金曜日に換算される。賢者の祝い日は祝日になる場合も多くて、学校が休みになったりする事がある。休みの時とそうじゃない時があるから、今度からは祝日なのか平日なのはかはっきりして欲しい気はするけどね。今度お父様かお母様に聞いてみようかな。今年の賢者の祝い日はフィーリルトン学園では休みとなっているので、私やパトリシア姉様は3日間のお休みがもらえる事になる。私はまだ予定がはっきり決まっている訳ではないけれど、パトリシア姉様はベルラントさんのお家へのお誘いがあったらしい。
「見て、ミレーナ。ベルラント様からのお手紙で、賢者の祝い日にうちに来ないかってお誘いがあったわ。」
って感じで嬉しそうに報告していた。お母様には先に報告済みで、当日まではまだ20日くらい日にちがあるから、それまでにどんな事をしようか、って内容は二人で相談して決めるみたい。ご馳走さまです、と言いたいくらい二人は仲が良い。まあ、婚約者同士だし、好き合っているから仲良しなのは当たり前とも言えるんだけどね。パトリシア姉様は、もうウキウキ気分で部屋に戻って返事の手紙を書いていた。うーん、やっぱり年頃になって恋愛が絡むと人はこうも変わるものなんだろうか。貴族の恋愛観や結婚への意欲とか、そう言った事はまだ私が10歳な事もあるし、恋愛とは今のところ縁がないので、今後の為にそろそろ話くらい聞いた方が良いのかな。パトリシア姉様には普段から話を聞いてるし、たまには別の意見も聞いてみたいので、ソファーで優雅に紅茶を飲んでいたデルフィーナ姉様に聞いてみる事にした。確か、デルフィーナ姉様はお母様の紹介でフェリクス兄様と知り合ったと言っていたっけ。
「あら、どうかしましたか、ミレーナ。」
私は正直にもうすぐ賢者の祝い日なので、将来の参考として、フェリクス兄様とデルフィーナ姉様の出会いについて聞きたいと伝えた。そうすると、『まあ』と少し驚いたみたいだったけど、すぐに照れたように微笑んで返事をしてくれた。あ、やっぱり馴れ初めの話とかは照れたり恥ずかしかったりはするんだね。話がちょっと長くなるけれど、良い?と聞かれたが、今日の勉強はもう終わらせたので、多少の時間はある。だから大丈夫だと答えたら、デルフィーナ姉様は頷いて話し始めた。
まず、マノルニフェウス伯爵家には男子がいないので跡継ぎに恵まれていた訳ではないらしい。デルフィーナ姉様の実家のお母様、私とパトリシア姉様から言えば義理のお義母様にあたる人はフランソワーズと言う人なのだけれど、私たちのお母様とは古い友人関係にあり、よく跡継ぎについての相談を何年も前からしていたらしい。マノルニフェウス家には、デルフィーナ姉様と他の二人はいずれも女性だったので、どうしようか、と悩むのは仕方がないのかもしれない。何しろ貴族にとって次の代にあたる跡取り息子は必要不可欠な存在だ。ティシュヴァンフォーレの王公貴族の間では娘を嫁に出す事はあっても、息子を婿に出す家はそうはいない。まあ、一般の家庭とかならまた話は違って来たのかもしれないけど、そこは悲しいかな、中世ヨーロッパを元にした貴族社会なので、跡継ぎは婿養子とか言うのを簡単に決断したりは出来ない訳だ。そうなると、責任やらプレッシャーやらでフランソワーズさんは何度も体調を崩したりして大変だったらしい。そこを助けたのがお母様…と、デルフィーナ姉様の姉にあたるシャーロットさんと言う人だった。シャーロットさんは、うちのパトリシア姉様みたいとは言わないが、ハキハキ物を言う、綺麗で聡明な女性だったらしくて、貴族の体裁ばかりを気にしていたらマノルニフェウス家は私たちの代で露と消えてしまいます、と啖呵を切ったのだそう。私から見ても思い切ったカッコいい女性だな、と思う。だから婿を迎えましょう、と言ってお母様と、デルフィーナ姉様の妹さんもそこに加わって父親を説得したんだって。思ったより波瀾万丈な過去話だなぁ…と思いながら、私は続きを聞こうと2杯目の紅茶をソーニャに淹れてもらった。話を聞き始めた時がちょうどお茶の時間だったから、私も紅茶を飲んでいたから2杯目って事なんだけどね。二人で美味しい紅茶を飲みながら、続きを聞いた。
デルフィーナ姉様は3姉妹らしくて、上から順番に長女がシャーロットさん、次女がデルフィーナ姉様、三女がナタリアーナさん、と言う構成になっている。父親にとっては、公爵家のタールベルグ家の奥方であるお母様と3姉妹に詰め寄られて、たじたじだったのだそうな。あれ、貴族の伯爵様とかってもっと威厳とかがありそうな筈なんだけど…。最初は駄目だと言っていたみたいだけど、長い長い説得により、承諾したらしい。話し合いで終わって良かった、とはとても思う。それで、めでたくお婿さんを他家から迎えて、次はデルフィーナ姉様のお相手は…と言う話になった際に、お母様がうちのフェリクス兄様はどうかと、持ち込んだのがきっかけで顔合わせをして、お互い悪くない雰囲気で話がはずんだので、次はいつ会おうか、と言う話になって、何度か会って話をしているうちに、この人と一緒にいると何だかほっとする、安心する、ずっと一緒にいたいなぁ…ってなったら、気付けば婚約の話が進んでたんだとか。あるんだね、何となく一緒に過ごすと気が楽になる相手、って言う友人に近い始まり方のお付き合いって。まあ、これはフェリクス兄様とデルフィーナ姉様の一例に過ぎないから、他のお付き合いの始まり方もあるかもしれないけどね。こう言うのって、話し相手から始まって、友人みたいな関係になって、そこから恋愛に発展したりしてる…で合ってるのだろうか。気になったので思い切って聞いてみたら、こう返ってきた。
「それはね、ミレーナがもう少し大人になって、お友達と恋愛の話をしたり、お友達に恋人や婚約者が出来たら、そのうち判るかもしれませんわね。いつになるかは、あなた自身にしか判らないものだから、ゆっくり大人になれば良いのではないかしら。」
ね、と笑顔で頭を撫でられてしまった。やはりまだ私には恋愛のうんぬんの話は早かったようだ。でも、為になる話は聞けたので、これを糧にもっと成長出来たら良いな。人から聞く話は内容によっては一生の宝にさえなる事だってある訳だし、これからも周りの年長者から色んな話を聞いて、良い部分を自分自身に反映させて行こう。よし、と自分に言い聞かせて、近いうちに今年も雑貨屋さんに手作りの小物とかを作る為の材料を買いに行かないといけない、と言うのを思い出して、後で予定をしっかりと立てる事にした。そうだった、デルフィーナ姉様やパトリシア姉様の恋愛関連の話を聞くのも大事だけど、自分でやらないといけない事を忘れてはいけない。ちゃんと忘れないように、ノートに書いておく事にしよう。ノートと言うか、日記みたいなものがあるから、それに書き出したり、書き留めたりしてるだけなんだけどね。私が成長してもう少し大きくなったら、これはスケジュール帳に変わるかもしれないけど。
賢者の祝い日まで残す所18日。私はヘラルダと一緒に、昨年もお世話になった雑貨屋さんへと来ていた。10代から一番年上は20代後半くらいまでの女性に大人気の雑貨店、『プリマヴェーラ』だ。可愛らしい手芸の材料から、完成品まで、取り揃えは他店を圧倒している、とフィーリルトン学園でも話題に上がるくらいには手広く商売をしているらしい。私も時々お世話になっているから、繁盛しているのは嬉しい気分になると言うもの。出来れば時々ではなく、もっと来たいが、それは年齢的にも身分的にも難しい気がする。いや、私がもう少し貴族の階級が違っていて、一般市民と近くて友人もみんな平民、とかなら、まだ頻繁に来られたかもしれないけど、生まれも育ちもだいぶ違うし、幾ら両親が私に甘いと言っても、アムルーシュの君主の娘なのでそう簡単に市街地にお忍びでお出掛けするのはどうなんだろう、って話になって来るしね。本やゲームだと、その辺のラインは割とぼやかしてあるから、王子様とかお姫様とかが普通に冒険してたりする作品とかあるんだろうけど。まあ、私が貴族としての責務とか、品位とかしきたりとか、その手のものを気にしないといけないのはまだもう少し先なので、まずは賢者の祝い日に贈る為のプレゼントについてを考えよう。お母様、お父様、フェリクス兄様、デルフィーナ姉様、パトリシア姉様の分をまずは選ぶ。私の持ってるお小遣いについては、10歳になってから少しずつ周りのお手伝いをしたりとかして、頑張って貯めたものだったりする。多分、パトリシア姉様くらいの年齢になればもっと違ったお小遣い稼ぎが出来そうな気もするけど、その話は置いておこう。次に買うのは、友人であるオルテンシア様やカトリーナ様、ジュスティーノやルシウスの分となる。全部で9人分となると、材料の値段も少しはかかってくるので、それなりにお小遣いを持って来ておいて正解だった。まあでも、リーズナブルなお値段が多いってヘラルダも言っていたし、他のお店に比べたら安くてお手頃価格になっているんだろうな。小物やら普段使いが出来る簡単なアクセサリーの材料となるものや、ラッピング用のものも無事購入して、帰りはディートリッヒも付き添ってくれたし、遅い時間にもならなかったから、怒られたりする事はないだろう。自宅を出る前にお母様には言ってから出掛けたし、そこは大丈夫だと思いたい。以前、パトリシア姉様が無断で城下町へお忍びで買い物に行ってお母様にかなり叱られた事があったから、それもあって貴族の令嬢が一人で城下町まで行くのはちょっと…と最初は渋られたりもしたものだ。ヘラルダやディートリッヒ、衛兵一人に付き添ってもらって行くと約束したので、そこはきちんと守って行動はしている。買い物に行くのも、16時までに帰宅すると言う門限があって、それも約束を違えた事は一応ない。私だってお母様に心配をかけさせたくないしね。心労とかを考えると、あまり自由で気ままに出歩いたりするのは出来るだけやらないようにしている。
賢者の祝い日まで10日に迫った頃、パトリシア姉様がいつも以上に嬉しそうだったので、話を聞いてみると、ベルラントさんといわゆるおうちデートをする事になっているらしい。本当は向こうのお屋敷の庭を散歩したりとかしたかったらしいが、冬の寒さには勝てないので、サンルームでまったりとお茶を飲みながら過ごす事になったみたい。過ごし方は人それぞれなので、そこは本人達が好きなように過ごせば良いんじゃないかな。私は私で賢者の祝い日に向けてアクセサリー作りや小物作りをしなくてはならないし。
それからは、気付けば明日がその日、とかになったのだけれど、翌日から3日間は学校が休みでお茶会の予定とかがお互いに入ってたりとか、会う予定が入っている以外は週明けまで会う事は基本的にない。私やパトリシア姉様は既に人に会う予定を前もって立てているので、そこは問題ない。ホームルームも終わり、帰り支度をしていると、ルシウスが話しかけて来て、何だろうと聞いてみると、白い包み紙に包まれてリボンのかかった箱を渡された。
「明日から、暫くは会えないだろ?早めに渡しておく。お前とは、学園に来て最初に友達になった仲、だからな。」
他の人の分も用意してるがたまたま帰り際に目に入ったのが私だったから渡した、と言うのが理由らしい。別に特別な意味なんてないんだからな、とはルシウスの談だ。相変わらずちょっとツンデレ気味だけど、私やジュスティーノ、オルテンシア様やカトリーナ様の前だとデレの割合が大きいようにも思う。そのうちツンもなくなったりする…のだろうか?それはまだ、誰にも判らない話だ。ルシウスからのプレゼントを受け取り、私も自分の鞄から箱を取り出した。実は考えていた事は同じで、ジュスティーノには昼休みのうちに渡しておいたので、後はルシウスだけだった。オルテンシア様とカトリーナ様とは明日、お茶会の約束があるので当日に渡せるが、ジュスティーノもルシウスも週明けのルナの日にならないと会えないと判っているので、早めに渡しておこう、と賢者の祝い日の前日に用意しておいたのだ。友人同士でプレゼントを渡す事はフィーリルトン学園でも割と見かけるので、多分問題はないのだろう。恋人達の為だけの日とかではない筈だし。ちなみに、私からは普段使いが出来るものをプレゼントとして贈った。ルシウスからのプレゼントをお礼と共に受け取って、お互いまた来週、と言って普通に帰宅する事にした。
ここからは蛇足になるんだけれど、ルシウスからのプレゼントはイミテーションのパールで作られたアクセサリーで、ブレスレットだった。ピンクパールに銀細工の蝶々があしらわれたものだったので、デザイン性は高いのではないだろうか。イミテーションじゃなければ結構な値段がしそうなものなので、礼服や正装に合わせてつけたりも出来そうな気がする。なお、パトリシア姉様からは、賢者の祝い日のおうちデートはとっても楽しかった、とちょっとした惚気と共に土産話を聞かされた。プレゼントはルベライトのネックレスだったそうな。パトリシア姉様は赤色のものが好きだし、それはさぞかし嬉しかった事だろう。夕食の後にはお母様とデルフィーナ姉様が熱心にその話を聞いていたので、やはり恋愛関係の話は大人の女性にとって好物だったりするのかもしれない。私はまだ、そう言った話に花を咲かせる気持ちにはならないので、時計を見て、少し早いけれどお風呂を済ませて寝る準備をしよう、とファニタとソーニャに声をかけてお風呂場へと向かう事にした。その夜、夢とかも見ずに普通にぐっすりと眠れたので、冬場のお風呂とお布団の力は偉大だな、としみじみ思うアメジストの月の半ばの朝だった。
毎回、話の終わり方を
上手く考え付かなくて割と
ぐだぐた書いていたら
思ったより長くなりました。
いや、普段書いてるやつで
一番長いのはひとつの話で
20000文字行ってたので、
それに比べたら短い気もしますが。
なお、ミレーナからルシウスに贈った
プレゼントは後日判ります。
そして、ルシウスはツンデレ具合が
デレ方面が増えすぎるとツンデレに
ならないので、上手く調整したいと
思います。次回はまた
いつになるかは未定ですので
気長にお待ち頂けたらと。




