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夏期休暇の前は大体何かがあるものらしい

はい、言うまでもなく現実が季節を

思いきり追い抜いて行きました。

主人公が10歳になる前に先に姉である

パトリシアが15歳の誕生日を迎えるので、

それの前哨戦?みたいなつもりで

書いた気もします。前回よりは長く

なっている…筈。


新学期が始まってから二ヶ月が経つ頃には季節は夏に近付いて来ていた。地球で言う所の6月となると暑くなって来るのもそのくらいからではないだろうか。

ムーンストーンの月、それは日本の梅雨程ではないにしろ雨が降ったり止んだりを繰り返す。蒸し暑い、とまではいかないが長袖ではちょっと暑いかなと感じる季節でもある。まあ、制服があるからそこは学園に合わせないといけないんだけれど、歩いていても長袖でも汗をかいたりすると言う訳ではないので不便はない。ちょっと長袖では暑いかな、と思うくらいなのとフィーリルトン学園の校舎内は魔道具による空調が行き届いているのであまりそこまで気になったりしないのも関係しているかもしれない。馬車には季節によって小型の空調魔道具が設置されていたりいなかったりするが、主に夏と冬だけしか設置はされていない。

カーネリアンの月に入れば制服も夏服になるし、馬車にも小型の空調魔道具が設置される。まあ、あまりに暑い時は魔法を使って自力で涼む人もいるみたいだけどね。私はそこまでする程しんどい暑さを感じた事はないから個人差とかもあるのかも。その事に関しては人それぞれだから過ごしやすいように工夫するのは自由なんじゃないかな。まあ、ムーンストーンの月からカーネリアンの月に変わる時期にそう言う話題がカトリーナ様とオルテンシア様と一緒にお茶会をしていた時に出たから、と言う理由がある訳だけれどもね。


そして、カーネリアンの月、去年まではなかったのだが、3年生になるとあるのが学年別発表会だ。ティシュヴァンフォーレにおいてと言うか、フィーリルトン学園における初等部では3年生はちょうど10歳を迎える節目の年でもあるから生徒の個性もちゃんと見てこれからそれを伸ばすべきなのかを判断する為にもする行事らしい。カトリーナ様は歌を、オルテンシア様はバイオリンを披露するとの事なので、私は何にしようか…と考えてから、5歳の誕生日にお父様からもらったピアノを定期的に練習している事を思い出した。普段は学校から出された宿題や屋敷に直接教えに来ている先生達から教わっている座学や魔法の練習なんかもあるから、週に一度とかなのだけど、練習を増やすべきなのだろうか。これを一人で判断するのは難しいのでお母様に相談する事にした。



「学年発表会?まあ、もうそんな時期なのね。そうねぇ…ミレーナはピアノが結構上手だって先生もおっしゃっていたし…。無理のない範囲で週に3回にしてみたらどうかしら?」


「それくらいなら練習出来るかもしれません。ありがとうございます、お母様。私、頑張ってみますね。」


「本当にミレーナは勉強熱心で何事も手を抜かないから、ちょっとお父様に似たかもしれないわね。」



お母様が紅茶を優雅に飲みながら微笑んで言った言葉に首を傾げた。もしかして、お父様は軍人の頃とかは手を抜かない人だったのだろうか。ちょっと気になったので、発表会が終わったらお母様に聞いてみるのも良いかもしれない。発表会自体はカーネリアンの月の終わりに行われるらしいので、それまではヒルデガルド先生からピアノを教わる事にした。ヒルデガルド先生はマナーの先生だけれど、ピアノもプロ並みに上手い。元々ピアノの先生になりたかった、とも話していたから元はやはりプロだったのかもしれない。だからといって、今の仕事が嫌なわけではないので続けて行きたい、と話していたっけ。先生はパトリシア姉様のマナーの先生でもあるんだけれど、お母様とは旧知の仲らしくて、信頼のおける人だと言う話を夕食の時に話していたのを聞いて、そう言う人がいたら確かに心強いなぁ…とは思った。


それから、毎週3回程はピアノの練習に勤しんだ事もあり、発表会までにだいぶ上達したのを実感していた。ピアノばかりにかまけていた訳でもないので、成績が下がるとかはなかったんだけど、パトリシア姉様からは『よくそこまで出来るわね』と言われてしまった。頑張りすぎとかではないと思うんだけど、その辺りは私も自分ではよく判らないし、成績下がらないのは良い事なのでは?と思ったのであまり気にしない事にした。


発表会当日。クラスメイトがそれぞれ得意な分野で自分で何が出来るのかを披露している。音楽以外にも、ダンスだったり、絵であったりなど様々だ。主にダンスや音楽はちゃんとした舞台が用意されているので、そこに楽器を置いたり、持ち込んだりして演奏したり、魔法を使ったライトを浴びながら踊ったりと、なかなかに本格的なものとなっている。オルテンシア様の番が回って来たので、彼女の奏でるバイオリンの音色に暫く聞き入って部屋が静かになっていた。ティシュヴァンフォーレでは、地球のクラシックなんかも大量に取り入れてあったから、そこはありがたいとは思った。コンサートとかに行ったら必ず聞くような曲だったので、良さも判りやすい。カトリーナ様の歌も、童謡だったので聞きやすい曲なのはやはりフォルトニア様に感謝してもし足りないかもしれない。そして、間に何人かの発表があった後に私のピアノの出番だ。曲はショパンの幻想即興曲。うん、聞いた事あったけど、かなり難しかった。自分でもよく弾けたな、とは思うくらいだ。10歳でも頑張れば弾けるものなんだな、と思うと同時に、ヒルデガルド先生にたくさん教えてもらった分、間違えずに弾けた。クレメント先生もクラスメイトの皆もそこは頑張った分を認めてくれたのか、ちゃんと拍手を貰えた。オルテンシア様とカトリーナ様とは、いつか三人で演奏してみたいね、と言う話が持ち上がっていた。二人はかなり手放しで誉めてくれたけど、どのくらい弾けてたのかは集中していたからあまり覚えていなかったりする。いや、ちゃんと弾けていたとは思うけど、弾き終わってから周りを見れば、見ていた人達はみんな笑顔で暖かい拍手をしてくれていた。どうやら上手く出来ていたらしい。私は緊張と嬉しさで何とか噛まないようにお礼を述べて、しっかりカーテシーも使った挨拶してから、舞台を降りた。


私のクラスを含む3年生の発表が全て終わり、学年発表会の最優秀賞と優秀賞を贈られる人の名前をクレメント先生が壇上に上がって読み上げ始めた。うちのクラスからは5人程賞を貰った人がいたが、うち3人は私の友人だ。ジュスティーノもオルテンシア様もカトリーナ様も、確かに上手かったから納得の理由だ。一番首を傾げたのは、私とルシウス二人が最優秀賞を与えられた事である。え、何なの?もしかして忖度されてたりするの?と思ったが、先生方も厳選した結果で尚且つその道のプロもいるから、贔屓とかではないと言う。

ちなみに、ルシウスはビオラを演奏していたが、ジュスティーノが普段からチェロを演奏しているらしくて、練習でよく二重奏をしていた事もあり、今回の発表会ではどうしても二人同時にやりたかった熱意を先生方に伝えた結果、二人で演奏していた。こう言う発表会は今までにはなかったが、一人で演奏する時より上手く出来たと言う話を二人から聞いていたので、言ってみるもんなんだな、とは思った。もしかしたら、私たちの後輩達がそのうち同じような発表をするかもしれないし、前例はあった方が良いのかもね。


そうして、賞状とかトロフィーを貰った発表会が終わったかと思えば、カーネリアンの月はもう半ばが近付いて来て、16日にはいわゆる夏休みと同義語の夏期休暇がいよいよ始まろうとしていた。制服も夏服に変わって暫くすれば夏休みだな、と言うのは流石にちょっと慣れてきたようにも思うけれどね。更に言えば、来月のペリドットの月にはパトリシア姉様の誕生日が迫っている事もカレンダーが示していた。今年の夏はいよいよパトリシア姉様も15歳。何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。今年も早めに課題を終わらせて、夏らしい遊びをやりたいな、と学校帰りの馬車に備え付けられた空調魔道具の風で涼みながらぼんやりと思い浮かべ、夏休みの始まりを迎えるべく私は帰路に就いた。


ルシウスは王弟の息子ですが、贔屓を

されて賞を取った訳ではないです。

単に主人公とルシウス、ジュスティーノ、

オルテンシア、カトリーナの5人は

他のクラスメイトより優秀ってだけです。

キャラ立ちって大事なんですよ!(力説)


そして、投稿済み連載小説一覧を見ると、

これって50話目らしいです。

…特に何かやる予定はないですが、

100話目とかまで行ったら何か考えた方が

良いんですかね…。

ルシウスと主人公にフラグが立ちそうで

まだ立ってないのがちょっと自分でも

もどかしい気がします。

次回は多分パトリシアの15歳の誕生日回とかに

なるかと思います。

時間はかかるかと思うので、またまた

気長にお待ち下さい。

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