冬に咲いた恋の花
パトリシアとベルラントの関係はどうなるのか?
って言うのの答え編みたいな話です。
まあ、悲恋とかは書かない予定なんで
安心して下さい。
主人公の母親が祝賀会で良い事があった
話についてはまた別の話で書きます。
ガーネットの月に入り祝賀会がある二日の日はかなり寒い日だったけれどお母様は寒くても祝賀会が楽しかったのかは判らないけど…。祝賀会が終わって様々な情報を聞いてきた中に良い報せでもあったのだろうか、お母様が非常に上機嫌で帰って来たのを覚えている。年始から身内に良い事があると、今年自分にも何か良い出来事が起こるのでは、と思ってしまうのは仕方がないと言えるだろう。
ティシュヴァンフォーレで三が日とか大晦日の概念はないが、年越しは家族で温かくて美味しいものを食べる、と言うような風習はあるのでそれが違いと言えば違いだ。年越し蕎麦なんかはないけど、年越し用に用意された料理はどれも美味しいので不満などはない。麺料理はないのかな、とも思ったけれど、グラタンは存在しているのでパスタなんかもそのうち誰かが作ったりするかもしれないし、将来の楽しみに取っておこう。年を越してガーネットの月になり半ばを過ぎれば、パトリシア姉様がまたそわそわし始めたりしていた。多分だけど、アメジストの月の14日が近付いて来ているからそれでだろうね。後3週間と少しだからそうなるのも仕方がないのかもしれない。私は私で今年は手作りの小物は何かないかと考えていたが…ヘラルダからの情報で何でも、雑貨屋さんで安く手に入るリボンなどで手作り小物を作るのが若い女の子の間で流行っているらしい。
ヘラルダ自身にも今12歳になる娘さんがいるらしくて去年の祝い日に手作りの小物をもらったのだとか。私にはまだ早いかなとも思ったけど、お母様から許可が下りたので休みの日にお忍びでヘラルダと一緒に行って、材料をお小遣いで無事に買うことが出来た。
お店に行ってから気付いたけど、地球の日本で言う所の300円均一みたいなお店に似ていた。女の子向けの小物作りに使う材料がたくさん売っているお店で、現代でもありそうな手芸用品がたくさんあったが、ミシンなんかはないみたいなのでそこはやはりファンタジーっぽかった。何と言うか可愛らしいリボンや布やボタンやイミテーションの宝石なんかもあるみたいだから、来ていたお客さんはみんなどれが良いか悩みながら選んでいるみたい。確かにあれだけ種類が豊富なら悩んじゃうよね。来年からはあのお店で買うことにしよう。そうしてアメジストの月に向けて準備をしていたら、いつの間にかもう月が変わっていた。何だろう、やる事が多いと月日は経つのが早いものなのだろうか?気付いたらアメジストの月の7日とかだった。流石に1週間前とかになると、フィーリルトン学園でも上級生のお姉様方が色めき立ったりしていたからね。気になっている異性に何を渡そうか、と言う内容の話をしている4年生や5年生の女生徒が結構な人数いたので私とカトリーナ様、オルテンシア様は苦笑いをしていた。いや、だってね、ティシュヴァンフォーレの世界もだけど貴族なら大体は年頃になると婚約者がいて恋愛結婚とかはあまりしないのが普通なので、お姉様方が色めき立っている事に首を傾げてしまったのだ。恋愛禁止と言う訳ではないからそう言う人も多いのかな…と思ったら、それなりに恋愛結婚している貴族もいる、と言うのを上級生の一人から聞いた時はびっくりしたけれどね。言われてみたらパトリシア姉様がベルラントさんを好きになったのがそうだから、恋愛する貴族だって普通にいるものなのかも。私やカトリーナ様、オルテンシア様がどうなるかは判らないけれど、パトリシア姉様の恋愛を応援したいとは思っているから最後まで見届けようと思う。
恋愛に憧れるお姉様方の話をしてから1週間、パトリシア姉様はベルラントさんの方から屋敷に来て欲しいと言われていたので予めお母様と様々な相談をして、ヒルデガルド先生からもみっちりマナーレッスンを受けてから出向いたので、大丈夫だとは思うけれどね。ベルラントさんとメリアンヌさんはストラウスブレール侯爵家の長男と長女だが、下に兄弟や姉妹はいないらしい。そりゃ中にはたくさん兄弟姉妹がいる家もいるかもしれないけれど、二人って所もあるものだよね。人それぞれと言う事だからあまり突っ込んではいけない気がする。
パトリシア姉様はメイドのジーナとベラドンナを連れてストラウスブレール侯爵家へと赴いた。ここからはジーナやベラドンナからも聞いたベルラントさんから伝えたい話があるとは何だったのか、って言う中身の回想みたいなものになるのかな。
アメジストの月の14日、その日は寒くはあったけれど快晴だった。パトリシア姉様はメイドのジーナとベラドンナと共に馬車に乗り込んでストラウスブレール侯爵家へと向かった。勿論、ベルラントさんに渡すプレゼントと侯爵家への手土産を持って行ったから大丈夫だったとは思うけどね。向こうのご両親とパトリシア姉様の仲がどうかとかまではまだ聞いてないので、後で聞いてみよう。前までは割と気軽にメリアンヌさんと遊びたくて行ってたけど、今回は違うのでかなり緊張していたみたい。はてさて、お屋敷へと着けばストラウスブレール侯爵家のメイドさんが笑顔で出迎えてくれたので、パトリシア姉様も笑顔で挨拶をしてから中へと案内してもらったみたい。何時もならメリアンヌさんの自室かよくお茶会をする客室に通してもらうんだけど、今回は別の客間に通されて内心かなり驚いていたらしい。お茶を出されて暫く待っていると部屋にはメイドさんに案内されてベルラントさんが入室して来たので更に驚いた上に落ち着けない気分になっていたから、ジーナに何とか落ち着かせてもらったのだとか。落ち着いた所で向かい合うように座りながらベルラントさんは真剣な眼差しでパトリシア姉様を見つめながら本題に切り出した。
「パトリシア、来てくれてありがとう。君に話したい事があったから、僕も嬉しいよ。」
「え、ええ、私も気になっていたから、ちゃんと話が聞けるのは嬉しく思っています。」
「ああ、では本題に入ろう。君に伝えたい事は他でもない君だからこそ、今日伝える事にしたんだ。」
「私に、伝えたい事…。」
「パトリシア、君が僕の為に頑張ってくれていた事はメリアンヌからも聞いたよ。そんな頑張り屋の君に、今こそ伝えたいんだ。」
「ベルラント様…。」
「パトリシア、どうか僕と結婚を前提に付き合ってくれないか?父上や母上にも相談したんだけど、僕はいつの間にか君の事が好きになっていたみたいなんだ。直ぐにとは言わないけれど…。」
「判りました、私も…同じ気持ちです。ベルラント様、どうかよろしくお願い申し上げます。」
まさかのサプライズと言うか、パトリシア姉様の努力が形になって実った日になったのだった。最初、妹の友人だから妹みたいに思っていたらしいのだけれど、ベルラントさんの為に頑張って努力を重ねるパトリシア姉様の事をずっと見守っているうちに気になる存在へと昇華して行った。まあ、私たち家族の前だと敬語とかは言わないけど、流石に年上の男性だし、よそのお家だから淑女としてしっかり振る舞っていたのでこんな感じだった、って言う振り返りなんだけどね。メリアンヌさんも向こうのご両親もパトリシア姉様の事は好意的に受け入れているので、そこは相性が良かったと言えるのかもしれない。余所行きのパトリシア姉様が別人だとは言うなかれ、まだ婚約者って言う話はオフレコで口約束なので、近いうちにストラウスブレール侯爵家から婚約に関する手紙が来るからもっと親しく話せるようになれば余所行きの感じも減るかもだけど、あれは貴族の令嬢としての振る舞いだからなくなっても困るんだけどね。仮にもアムルーシュ公国の領主の娘、って言うのを考えると、公式の場ではちゃんとしていないと駄目だと言うのは重荷かもしれないけれど、避けられない事実だし…。性格ばかりは変えようもないから、そこは上手く貴族の令嬢としての立場と付き合って行くしかないんだろうな。それでも、帰って来たパトリシア姉様はとても嬉しそうにしていたから、これから少しは変わって行くかもしれないね。そしてアメジストの月の14日なので私は私で、雑貨屋さんで買った材料を使って手作りの花のコサージュを作ってお母様にプレゼントした。勿論、お母様だけじゃなくて他の家族にも私なりに手作りのものを贈った。デルフィーナ姉様にはブローチを、パトリシア姉様には髪留め、フェリクス兄様には栞、お父様にはブックカバーをそれぞれ作ってみたんだけれど…そこは子供の手作りなので決して高価なものではない。それでも、渡したら全員が思ったより喜んでもらえたので、私は満足の行く祝い日となったのだった。来年にはもう少し凝ったものとか作ってみようかな、なんて考えながら時計を見ればもう寝る時間になっていた。良い一日だと言う事を噛み締めつつ、今日もメイドさんの努力が垣間見えるふかふかの布団に潜り込むと、私は欠伸をして眠気を感じながら目を閉じた。今日は色々あったから疲れていたのか、あっという間に眠りに落ちたのだった。
雑貨屋さんは手芸用品がたくさん
あって、手作りの材料からリーズナブルな
値段で既に作られた雑貨などを
販売しているお店です。
まだ名前はないのでかわいい名前を
つけてあげたいです…。




