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乙女心と年末年始

またもやサブタイトルにかなり

悩みましたが、最初はバレンタイン話を

この回に入れようとしたらかなり

長くなってしまったので次回に

回す事になりました。

シトリンの月はもう秋から冬に変わるくらいの時期だから、その月が終わってターコイズの月も半ばに入れば早くも冬期休暇と言う名の冬休みに突入する。

去年とかはシトリンの月にフォールリーヴスを見に行ったりもしたけど、今年は他にやる事がたくさんあって行けなかったな。まあ、ターコイズの月とかだともう散ってしまっているだろうから来年の楽しみに取っておこう。そして、何故シトリンの月にやる事が多かったかと言うと、先月はフィーリルトン学園で魔法強化月間と言うものをやっていて、下級生が上級生に魔法のコツを教わったり、どれだけ魔法が使えるのか、魔法に関する知識はどのくらいか、実践や模擬試験などをとにかく月に何回もあったので、元々勉強熱心な私は上級生である先輩に教えてもらったりとかしていたのだ。

教えてくれた先輩は来年初等部を卒業して中等部に進学する人だが、他の下級生から一番人気で同級生からも信頼が厚くて、しかも女子にモテまくるのに男女どちらにも優しくて頼りになる人だ。どこかで見たような気がするなー、と思っていたら私が入学式の時に在校生代表を努めていた人だった。やはり在校生代表を努めあげた人は違うなぁ…としみじみ思いながら他の下級生に混ざって教えてもらった。先輩の名前はテオドールと言うらしく、4年生や5年生の女生徒の先輩方から名前を呼ばれて微笑んで手を振るとその度に黄色い声が上がっていた。多分あれはいわゆるファンサだろうからファンサ精神が旺盛なんだろう。後はああして人に頼られるのが割と好きなのかもしれない。いやだってね、あんなにたくさんの人にかなりの数の質問をされて断らないとかなかなか出来る事ではないよ。普通なら途中で疲れて断ってしまう所だろうが、テオドール先輩は違っていた。時間の限り後輩や同級生の質問に答えていた辺り、将来とんでもない人物になるかもしれない。

まあ、冬期休暇に入る前にあった出来事で記憶に残っている事と言えばそれが一番大きいって言う話なんだけどね。冬季休暇の間にやらないといけない事もそれなりにあるので、それを優先的に済ませてしまおう。




冬季休暇に入って暫くしてから、パトリシア姉様が何故か落ち着かない様子だったので何があったのかを聞いてみたらベルラントさんから貰ったお手紙に来年の賢者の祝い日に伝えたい事がある、みたいな内容だったらしい。賢者の祝い日とは、賢者の祝日とはまた別にカウントされている記念日で、地球の日本で言う所のバレンタインデーにあたる日だ。その日は恋人や夫婦や家族、または友人同士で贈り物をする日と言われているので、私もお母様に手作りの小物をプレゼントした記憶がある。

パトリシア姉様も不器用ながら編みぐるみを作っていたから来年も何かしらプレゼントを用意しようとしているのだろう。だが、その日が再来月に迫る中で手紙にわざわざ伝えたい事があると書くと言うのは多少落ち着かない気持ちになっても仕方がないかもしれない。




「賢者の祝い日に伝えたい事って何かしら…メリアンヌに聞くのもちょっと怖いし…。」


「パトリシア、あなたはここ暫くは頑張っていたのですから、良い方向に行くと考えなさい。何も悪い事とは限らないのですもの。」


「お母様…。」


「きっと良い結果になると思っていますよ。あなたは私の娘なのだからもっと自信を持ちなさい。」



そう言ってお母様がパトリシア姉様の頭を撫でていた。まあ、幾つになっても母親は母親で偉大なのだなぁ…と私もそのうち思い知るんだろうな。流石にパトリシア姉様も子供扱いしないで、とは言えなかったようだ。気が強いパトリシア姉様だが、何時もお母様には敵わないと言う普段と変わらない状態になっているようだ。

そんな出来事もあったけど、年末にはパトリシア姉様を見る限り何時もと変わらない様子だったように思う。去年の今頃は外ではしゃいでいたのに、今年は部屋で本を読んだりボードゲームをしたりしていたから、違いがあると言えばそれくらいだろうか。やはりデビュタントが近付くにつれて多少は大人しくなって来たと言うか、あまりお転婆ではなくなったと言うか…。多分ベルラントさんの事を好きになってからパトリシア姉様は勝ち気な性格は多少残ってはいるが来年デビュタントなのだしそれで普段の行動も変わって来たのだろうか。まあ、流石に14歳でまだ馬や剣の稽古していたらお母様が胃痛で倒れかねないからこれで良かったのかもしれない。




年末年始はかなり寒かったけど雪が降ったのは年末だけだった。年始に降られるとお父様やお母様が参加する祝賀会に行く時とか足元かなり気を付けないといけないからね。雪が溶けたのか、と聞かれると溶けてない、が正解だけど雪の中馬車で祝賀会に行くよりはましだ。と言うかアムルーシュ公国内の地方から来る他の貴族の人達も大変だと思うので公道とかはちゃんと雪掻きは済ませてある。馬車の方もそこはレトナークが雪道でも滑ったり転倒しないように魔法をかけた車輪を開発したのでそれを主に使用している。レトナークと言えば、布団付き暖房魔道具と射影魔道具の売れ行きが好調なのと開発が進んでいる事もあり、小型射影魔道具が発売され、貴族たちがこぞって購入したらしい。私のお父様も例外なく購入して、フェリクス兄様もお給料で何とか一つ購入したと手紙には書いてあった。まあ、カメラって何となく男性が購入するイメージたから確かに、と納得はしたけれどね。ちなみに、布団付き暖房魔道具は増産及びレトナークにて新しく魔石鉱山が発見されて豊富に採取されたらしくて値段も下がったから貴族以外にもかなりやり手の商人やお金に困ってない一部の上級冒険者なんかもちらほらと購入出来ているのだとか。後は教会や孤児院なんかも寄付されて助かっていると言う話だ。あ、うん、やっぱり孤児院はあるよね…。と言う事は養えなくて親が手放した子供を孤児院が保護する人数は少なくとも一定数いると言う事なんだろうな。私が大きくなったらそういうのも出来るだけ減らしたりも出来るのかなぁ…。まあ、まだまだ先の話になるし、かなり壮大な話になるので全ては無理かもしれないけれどね。優しい世界に見えてもそれが全てではないのでちゃんと悲しく厳しい部分なんかも目を逸らさないで見ないといけないって言うのは事実なんだ。でも、やっぱりどの世界にもそう言うものはあるんだと思うと、やりきれない気持ちにちょっとなるので少しでも軽減出来ればなぁ…と冬空を窓から見上げながら思ったガーネットの月に入って二日の夜だった。そろそろ寝なくちゃ、ヘラルダに怒られる前に私は暖かい布団へと入り込んで目を閉じた。



姉のパトリシアは年が明けて

誕生日が来たら15歳となるので

その年の冬か次の年の二月辺りに

デビュタントの話にする予定です。

次回はバレンタイン回的なものになります。

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