紅葉を探してみるもんだ
異世界にも紅葉はあるのか?
と言う事なので、図鑑を
頼りに紅葉を探す話です。
今回も短めですが、そろそろ
話の中では冬に入ります。
シトリンの月が終わろうとしているが、ティシュヴァンフォーレにおける紅葉をまだ見ていない。キルシュブリューテと言う桜みたいなものは春に見かけたけれど、それならば紅葉みたいなものがあってもおかしくはないと思うのだが、庭やトラウィスアードでは見かけた事がない。多分意識して探した事はないから見つかってないだけのような気もするが、判らない事は基本的に図書館かお父様の書斎で調べているので、先にお父様の書斎にある本から調べてみる。うーん、お父様も全ての書籍を網羅している訳ではないから、それらしい本はなかった。ならば、と、フィーリルトン学園の図書館へと赴いて調べてみる。ん?これは…『ティシュヴァンフォーレにおける秋に色付く植物大全』と書かれている。うん、これなら記載されているかもしれないな。
さっそく分厚い図鑑のようなものをめくり、紅葉にあたるものはないかを探してみる。幾つかページをめくると、銀杏のような植物に並んで紅葉とそっくりな植物が記載されていた。
「名前は…フォールリーヴス…?」
フォールリーヴスって言うと、和訳したらそのまま紅葉になる。この植物の名前の下に、発見者とこの植物を研究して名付けた人物名も記されている。ベルカイム・フィーリルトン、うん、やっぱり賢者様だった。発見者は賢者様とは別の人のようだが、これを研究したりしたのは賢者様のようだ。よし、これをメモにとって自宅の近くにある山の辺りで探してみよう。
ディオブノス山、トラウィスアードにあるタールベルク公爵邸から馬に乗れば15分くらいにある山だ。私はまだ馬には乗れないので、ディートハルトが馬に乗り、一緒に乗せてもらう。
一応念のためと言うことで、ソーニャと衛兵にも付いてきてもらう事になった。ディオブノス山は、アムルーシュではハイキングや登山愛好家の間でよく利用されているので、割と安全性の高い山だ。冒険者とかをわざわざ雇わなくても良いくらいには危険のない山だから、お母様からも執事と衛兵とメイドだけで許可が降りた訳だね。暫くは山をディートハルトと衛兵で紅葉らしき植物を探してみる。
山を捜索すること30分、少し開けた場所があり、小さな湖もあるので目印になるかもしれない場所にティシュヴァンフォーレの紅葉は生息していた。立派なフォールリーヴスが何本も生えており、綺麗に紅葉していた。その光景には、ディートハルトもソーニャも衛兵も暫くは魅入っている様だった。図書館で調べた内容と照らし合わせても間違いなかったので、これをちょっと持ち歩きやすくなった射影魔道具で撮影した。縦横だいたい約25センチくらいで、まだ私では持ち上げるのは難しい重さなので、ディートハルトに持ち上げてもらってから撮影すると言う方法となった。綺麗な紅葉の光景を写真に納めたので、ディオブノス山を後にするが、帰り道に雪がちらつき始めた。寒いと思ったら、シトリンの月はもう終わりに近付いているから、ターコイズの月がいよいよ始まる。本格的な冬が訪れようとしていた。
ちらついているだけだから、降り積もる事はないと思うが、雪と紅葉が一緒に見れると言う光景は残念ながら見られなかった。いつか、そのうちに見れたら良いなあ…。
簡単な用語解説
ディオブノス山
トラウィスアードにある
タールベルク公爵邸から
馬で15分くらいの場所にある
登山愛好家やハイキングが
好きな人がよく登る比較的
安全性の高い山。
魔物などはおらず、
野生の鹿や熊やうさぎなどが
生息しているらしい。




