世界は違えど学生の本分は同じ
ちょっと短めですが、異世界での
秋から冬にかけての辺りを
話にしています。
正確には主人公が学校に
入学してからの秋から冬に
かけての話ですが、体育祭とか
学園祭は無理でした。
月日は過ぎてラピスラズリの月になっているので、秋はもうすぐそこまで来ていた。夏期休暇は終わり、現在は通常の登校ペースに戻っている。普通の登校ペースと言っても、二年生になるまでは4日学校に行って3日休みと言うスケジュールは変わらないのだけれどね。
ラピスラズリの月は特筆して何か変わった事がある訳ではなかった。季節的にはアムルーシュでなら農作物の収穫がもうすぐ始まるくらいだろうか。フィーリルトン学園はウィシュトヴァラ王国にあるので、農作物の収穫とはあまり縁がない。別にウィシュトヴァラに農家がない訳ではないのだけれど、あまりルツヘルム周辺には農家がないのであまり関わる事がないと言うだけだった。まだ暑さは残るけれど、収穫とかの話を聞くと、秋が近いのだなあ…と実感する訳だね。
変わった事がないまま、季節が過ぎるのかと思ったが、オパールの月に初めてテストが行われたのだ。フィーリルトン学園で初めて行われると言うわけではなく、私が入学して初めて行われると言う話だ。春から秋にかけて学校で学んだ教科ごとに復習を目的とした学年テストが行われる。これは一年生にとっては初めてのテストだが、上級生にとっては何度か受けたことのある関門だ。そう言えば毎年このくらいの時期にパトリシア姉様が珍しく本を読みながら唸っていた事があるけど、原因はテストだったんだね。ちなみに、オパールの月には私の誕生日があったのだが、7歳の時のものと変わらなかったので割愛する。人にとっては盛大な誕生日パーティーかもしれないけど、貴族にしてはあまり華やかではないとお母様は言っていた。
パトリシア姉様が15歳くらいになればもっと盛大な誕生日パーティーになったりするのだろうか?まあ、それも再来年の話だからまだ先だよね。そんな誕生日を挟んだテスト期間は気が付けばいつの間にか終わっていて、オパールの月ももう終わる。パトリシア姉様は…テスト期間で燃えつきたのか、ソファーで少しぐったりとしている。
「パトリシア姉様、大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、少なくとも平均点以上は取れたはずよ…。」
うん、まあ、パトリシア姉様のテストの結果はひとまずは何とかなったらしい事は伝わって来たので、答案用紙が返ってきたら落ち込まない事を祈ろう。え?私はどうだったのかって?そうだね、テスト問題はそんなに苦労しなかったので大丈夫じゃないかな。特に難しいものがあった訳ではないからね。
オパールの月が終わり、シトリンの月が始まったくらいになると、答案用紙が生徒に返されるのだが、学年によっては成績上位者が発表されたりもする。四年生の学年トップはテオドール先輩だったと、二年生や三年生の先輩たちが話をしていた。テオドール先輩は入学式に在校生代表として挨拶していた人だから、なるほど、それなら納得だな、と心の中で頷いておいた。勿論、一年生もテストの答案用紙は返却されているので、どうだった?と言う話題で持ちきりだ。
「ミレーナ様はいかがでしたの?」
「私ですか?こんな感じでしたよ」
テストの答案用紙の見せあいは、前世の学生時代でもあったから少し懐かしいような気もする。カトリーナ様とオルテンシア様は二人とも80点台だったからなかなか成績は良い方なんだろうな。そんな二人が私の答案用紙を見て、めっちゃ驚いていた。ルシウスとジュスティーノも気になったのか、カトリーナ様とオルテンシア様に混ざって答案用紙を見ている。
そんなに珍しいものなんだろうか、満点のテストの答案用紙と言うのは。
「ああ、僕はここで間違えたんだね。惜しかったな。」
ジュスティーノの答案用紙も見せてもらうと、2問だけ間違えていたみたいだ。確かに惜しかったね、ルシウスはジュスティーノの落ち着きにも驚いているみたいだけど、私は知らなかった、一年生で全教科好成績を修めたのは私たち五人だけだったなんて。まあ、まだ一年生なのだからこれから頑張ればきっとカトリーナ様やオルテンシア様くらいにはなるんじゃないかな。私は勉強が好きなので手を抜かないだけで、みんなも勉強が好きになればきっと成績が良くなるだろうからね。
シトリンの月が始まり、秋から冬に近付く頃には早くも冬休みの話題が上がる。シトリンの月と言うのは11月の事だから、年の終わりも残り2ヶ月を切っている事になる。そしてその季節に入ると、暖かい食べ物が美味しい季節なので、タールベルク家ではシチューがよく食卓に上がるようになるのだが、ついに、レトナークで冬に絶対に活躍するであろう炬燵が開発されたのである。正確には布団付き暖房魔道具なのだが、アムルーシュのある意味王家であるタールベルク家も、その最初の炬燵の恩恵を受ける事が出来た。畳の部屋はないので、掘り炬燵みたいな形にしてあるけれど、まごうことなき炬燵だ。やはり賢者様は凄いし素晴らしいのだな、と実感した。いつかは、レトナークに私は行くべきだと、改めて心に誓ったシトリンの月は、もう後半に入っていたけれど、冬休みはまだもう少し先の話だ。
簡単な用語解説
布団付き暖房魔道具
異世界における炬燵。
アムルーシュやウィシュトヴァラには
畳の文化がないので主に掘り炬燵式。
セレネドナには畳の文化があるので
賢者にとっては絶対に冬場には
開発させたい魔道具だったらしい。
数年後には貴族ならみんな持ってる
くらいには増産予定。




