女神様と最上級の謝罪
主人公にとっては結構な
大事件だった水と風の魔法を
使用した際の湖での出来事について
女神様たちが説明してくれるとか
何とか。まあ、魔力込めすぎた
だけじゃないよね、って話です。
フェリクス兄様の婚約者が決まったと夕食のおりに聞かされた夜に、これまた夢を見そうな予感がした。多分きっと女神様が出てくるに違いない、そう思っていると案の定フォルトニア様が近くでちょっと申し訳なさそうな顔で座っているがどうしたのだろうか?
『ミレーナさん、申し訳ありません…。私がもっとあなたの魔力について気を付けていれば…。』
「いやいや、そんなフォルトニア様のせいではないですよ。私が張り切ってしまったからで…。」
『うんにゃ、お嬢ちゃんのせいじゃあホントにないんだぜ。』
申し訳なさそうに座ってしょんぼりしているフォルトニア様の後ろからウィスアデス様が声をかけて来たが、その手には人を二人ほど引きずっていた。どこから引きずって来たのかは判らないが、引きずられている人はめちゃくちゃ服が伸びきっている。え、大丈夫なの、引きずられている人達困らないのかな…。そう心配しながらウィスアデス様の方を見ていると、引きずって来た人を猫を掴むみたいに私の前にぶら下げて二人は誰なのかを説明してくれた。
『こいつらは水と風を司る女神だ。俺様と一緒でフォルトニア様に従うこの世界の神だぜ。おい、お前ら自己紹介だ。』
ぼとり、と床らしい場所に二人の女神が落とされて二人とも私の前で正座している。片方は綺麗な水色の髪をした女性で、髪に合わせた色合いのドレスを着た美しい女性だ。もう片方は淡いグリーンの髪色をした女性だが、少し幼い印象を受ける。ドレスも少女の好きそうなデザインなので美人と言うよりは可愛いと言う表現が近いだろう。二人は正座のまま頭を下げると平謝りし始めた。見事な土下座だ。
『本当にごめんなさい、ちょっとリマーテアと盛り上がって貴女の魔法に力を貸したの…。』
『こんな大事になるなんて思わなかったのよ、本当に反省しているので許して下さいっ』
半泣きになりながら平謝りしているので二人の悪戯と言うか過失ならば普通に許せると思うのだが、私が許してもウィスアデス様とフォルトニア様が、何かまだ怒っているように見える。水色の髪をした女性がサラーキア様で水を司る女神様、淡いグリーンの髪色をした女性がリマーテア様で、風を司る女神様らしい。二人は反省しているが、フォルトニア様が許してないみたい。
『貴女たちは自分たちのしたことが判っているのですか?下手をしたらミレーナさんにとんでもない危険が及んでいたかもしれないのですよ。』
静かに怒っているフォルトニア様だが、普段怒らない人が怒ると怖いって言うけど今の状態がそうじゃないだろうか。だってフォルトニア様って普段はかなり温厚そうだから、怒ることはほとんどないんじゃないかな。だから怒られて縮こまっている二人は、既に恐れおののいているのだろうし。
『二人とも、ちゃんと反省はしているのですか?』
『反省しています、していますのでどうかお慈悲をっ』
『もう二度とこのような事は致しませんからっ』
『判りました、特別に反省文5枚の提出で良しとしましょう。』
フォルトニア様からの課題は反省文5枚だった。でも5枚も反省文を書かなければいけないとかって割と地味にきつい罰のような気もするが、謹慎処分とかよりはましなのだろうか。神様たちの謹慎処分を知らないので、何とも言えない訳だが。サラーキア様とリマーテア様は必ず反省文を提出する旨をフォルトニア様に約束すると自分の領域に戻っていった。神様なのだから自分たちが住まう宮殿とかもあるかもしれないが、その辺は判らないので想像に任せるしかないのだけれども。二人がこの場から立ち去りフォルトニア様が私に向き直る。
『本当にどうしようもない二人で申し訳ありません…。』
「いえ、もうやらないとお約束して頂けるのであれば私も構いませんので…。」
『あらまあ、ミレーナさんはやはりお優しいですね。ではもし次に風と水の魔法や力を借りたい時はいつでもおっしゃって下さい。必ずお力になりましょう。』
夢の中なのでメモに記したりはしていないが、経緯はちょっと言いづらいけどこれで学校とかでの魔法の授業とかで優位に立てたりするのかもしれない。運も実力のうちって言うからね。フォルトニア様とウィスアデス様はまた何かお知らせしないといけない事がある時は会いましょう、と言う言葉と共に夢は遠ざかっていった。眠気が物凄く強いので普通の眠りに戻るのだろう、その後は朝までぐっすりと眠って気が付くともう朝だった。起きてから夢の内容を思い返してみるが、初めて出会った水の女神サラーキア様と風の女神リマーテア様はもしかしてポンコツな女神様なのだろうか?いや、普段はそんな事はないのだと信じたい。今回はたまたま興が乗ってしまったのでやらかしただけなのだと、そう信じよう、二人の名誉のためにも。
簡単な人物紹介
水の女神サラーキア
水色の長い髪と美しい容貌をした
水を司る女神様。髪の色と同系色の
ドレスを着ている。スタイルは
結構恵まれている。リマーテアと
仲が良く、よく二人で気に入った人間に
悪戯みたいなちょっかいを出す事があり
それさえなければ立派な女神。
風の女神リマーテア
淡いグリーンの髪色をした愛らしい
姿の女性。サラーキアと同様に髪色と
同じ色をしたドレスを着ている。
こちらはサラーキアとは違い10代の
女の子にも見えるスレンダーな体型。
風を司る女神様で、気まぐれを
起こしてはサラーキアと一緒に人間に悪戯を
する事が楽しいと言う、水の女神より
更に駄目な部分が多い女神。
フォルトニア様にがっつり叱られたので
流石に大人しくなった模様。




