蜂蜜砂糖生クリーム全てを乗せたくらい甘い世界
湖でうっかり高威力の魔法を
使ってしまった主人公。はたして
どうなってしまうのか?みたいな
シリアスな展開はほぼほぼないです。
ティシュヴァンフォーレは
砂を吐くくらいには主人公に激甘です。
ウィシュトヴァラ王国、その王都の中心部に一際大きな城が建てられている。ウィシュトヴァラ王国を治める国王レオハルトが住まう王城だ。国王レオハルトは、これから王妃との夕食の予定だったのだが、アムルーシュからの早馬で知らされた出来事に額を押さえて悩んでいた。困りごとと言えばそうだが、はたしてこれは困りごととして考えるべきなのだろうか?
アムルーシュからレオハルトに知らされた出来事、それは、とてつもない魔力を持つ娘がタールベルク公爵家にいると言う話だ。娘の名はミレーナ、タールベルク公爵の実の娘である。兄は御前試合で優勝した経緯を持つ優秀な騎士団の新人だが、それはまだ良い。公爵の娘であるミレーナはまだ就学前の幼い娘で7歳。その歳で湖の水を半分以上使っての魔法を発動させたと言うのだから将来が末恐ろしい。まあ、本人もとんでもない事をしてしまったのは多分理解しているだろう。しかし、完全な他人と言う訳ではない。弟の従姉妹ユスティーネの娘でもあり、親戚の娘でもあるし、何より自分も王妃もミレーナを可愛く思っているからだ。
あ、もちろん自分の娘も可愛いし、愛情もあるが、ミレーナもとても可愛いのだ。何しろフォルトニア様の寵愛と加護を授かった娘でもあるからだ。なので、まれに見る強大な魔力を持ち得ても不思議ではない。ミレーナは平民でもないし、来年には学校に入学する事になるだろう。家庭教師もついているし、学校できちんと魔力制御などを学ぶ事で魔法もコントロール出来るようになるはずだ。ここで脅威に感じたからと言って芽を摘む事はないだろう。王妃にも相談したが、『ユスティーネの娘です、私達も見守りましょう』との事だった。現在ミレーナの家庭教師として座学を教えているリーゼロッテからも将来を有望視しているとの話を聞いている。閉じ込めてしまうのは早計だと判断し、将来性を考慮してその力はアムルーシュ公国、ウィシュトヴァラ王国に使うことを願おう。リーゼロッテに次ぐ才女になるかもしれぬからな。優秀な娘が味方になる事を考えればこの決定も間違いではあるまい、多分。
リーゼロッテ先生がウィシュトヴァラ王国に早馬を走らせて報告した湖での出来事だが、アムルーシュ公国では物凄い噂になってしまうのか、と思ったがそこまで大騒ぎにはならなかった。レトナーク王国からアムルーシュ公国にお忍びで来ていた賢者様が魔法の研究の為に発動したものが思いの外威力が高すぎた、とのカバーストーリーを流布したからである。流石に7歳の幼女があんな水柱作りました、よりは信憑性があるだろうね。ちなみに、真実を知るのは家庭教師二名と執事のハインリッヒ、それを隠さずに知らされた両親と兄と姉、メイド長ヘラルダ、ウィシュトヴァラ王国の国王と王妃様のみだ。最初聞いた時に王様めっちゃ驚いただろうなあ…。
そして家族との夕食が始まったが、揃いに揃って手放しに喜んでくれた。やっぱり親ばかなのだろうか?まあ、パトリシア姉様は、『いつか絶対に私にも見せてね』と楽しそうに上機嫌で夕食のおかずを食べながら話していた。あんまり深く考えていない気もする。お父様はお父様で自慢の娘だからきっと将来凄い魔法使いになるに違いない、と頷いていた。お母様は少し困っていた様子だが、次からは魔法を使うときは細心の注意を払うのですよ、と割とまともな意見を言ってくれた。そりゃそうだよね。
夕食が終わりに差し掛かった頃にウィシュトヴァラ王国からの使いが書簡を持ってきたようだ。夕食後のデザートを食べてから読むことになった。ちなみに、フェリクス兄様はお城勤めで休みの日以外は屋敷にいないので両親と姉と私で夕食を食べていた。きっと今頃ルツヘルムにある騎士団の寮で報告とかを受けて驚いているんだろうなあ…。
デザートも食べ終わり、食休みを兼ねて書簡を読み上げると、『ミレーナ嬢の将来性を考慮して魔力と高威力魔法の制御を行えるように就学過程できっちりと学び、ウィシュトヴァラ及びアムルーシュに貢献する事、よって特に咎める必要性はなし、今後の成長に期待する。』との事だった。え、あれ?お咎めなしなの?王様って意外と親戚の娘に弱いおじさんなの?
「まあ、レオハルト陛下ったら…。でも良かったわね、ミレーナ。これからは気を付けるのよ。」
「うむ、ミレーナよ、我が娘ながら凄い事だが父はとても嬉しいぞ。」
「一緒に学校に通える様になったら私にも魔法を見せてね、絶対よ。」
両親と姉の意見はこんな感じたが、もしかしてこの世界は私に激甘なのではないだろうか?まあ、無事にお咎めなしなのだからそれは安心しても良さそうだ。これならば安心してリーゼロッテ先生に出された宿題を寝るまでに済ませられそうだ。お風呂まで時間もあるし、終わらせてしまおう。ちなみに、お風呂はまだメイドさんに手伝ってもらわないと上手く一人で入れない。そのうち一人で入れるようになるのだろうか?お風呂を済ませてから寝物語に最近流行りの冒険ものの本を読みながらぼんやりしていると、ジュリエッタが一緒に眠ろうと布団に入り込んで来る。本を閉じてベッドサイドにある机に置いてからジュリエッタのもふもふな体を撫でていると眠気が来たのでそれにお任せして深い眠りについた。
翌日、家庭学習はお休みなのでお母様からフェリクス兄様かお父様の所蔵する本を貸し出してもらい、リビングルームで読み耽る。この年齢だと一人で魔法の練習やパトリシア姉様のように体を動かす遊びはする事が出来ない。まだ7歳だものな。日本ではこのくらいの年齢でも普通に一人で遊んでいるかもしれないが、今いるのは異世界だし出来ないものは仕方がない。
午後からはメイドのヘラルダとファニタに教えてもらいながらボードゲームで遊んでみたが、これは地球にもあったものだ。皆がよく知るリバーシである。ヘラルダが言っていたが、その昔賢者様がティシュヴァンフォーレに伝えた遊びであるのだとか。賢者様ってもしかして転生者だったのではないだろうか、判る術もないけど。おやつを挟んでからの時間はお母様にピアノを教えてもらった。まあまあ弾けるようになったかもしれないが、お母様が弾くような上手さになるにはまだまだ練習が必要だろう。練習をキリの良い所で終えるともうすぐ夕食の時間だ。
今日は夕食の時間にお母様が大事な話があると言っていたが、昨日の出来事以上のものなのだろうか?そう言えば、ヘラルダ達とリバーシをして遊んでいる時にウィシュトヴァラ王国から伝令兵(伝令兵が郵便の代わりをしている為)が来ていたが、お母様宛の手紙でもあったのかな。
「あなた、パトリシア、ミレーナ、よく聞きなさい。」
畏まった態度でお母様が言うものだから一体どんな重要な話なのか、固唾を飲んで次の言葉を待っていると、フェリクス兄様に正式な婚約が決まった、とお母様が言ったのである。学生の頃は女子にモテまくった影響から、社交界デビューでも引く手あまただったので一人の令嬢に絞ることが出来なかったが、なかなか堅実で家柄も申し分ない女性なのだとか。まあ、良い人であるのならば私も文句など言うまい。フェリクス兄様は長兄なので婚約者の令嬢がタールベルク公爵家に嫁いで来ることになる。初めての顔合わせはまた今度するそうなので、それを楽しみに入学まで一年間を切っている事だし色んな事をそれまでに学ぼう。学校に行くためのドレス選びとかは、パトリシア姉様とお母様に任せるとして、だ。私?女子の服には詳しくないからパスだ。メイドさんの服選びの凄さに感謝の言葉しか浮かばない私なのだった。
簡単な人物紹介
国王レオハルト
フルネームはレオハルト・フリアン・ウィシュトヴァラ。ウィシュトヴァラ王国を治める国王で
妻の王妃とは政略結婚だが仲は良い。
王子が二人に王女が一人いる。王女はちなみに
パトリシアの二つ上なのだが、よく学校で
話をするくらいには仲の良い友人。
レオハルト自身は5代目のウィシュトヴァラ国王にあたる。
ミハエルよりは五歳以上年上だが
こちらもお互い良い友人だったりする。




