神獣からの依頼
「少しお前におつかいを頼もうと思っているんだがいいか?」
森をさまよっていたカナリアに突然の頼みごとに少々疑問を浮かべながらどうゆう振り回しなのか考えた。
魔法特訓を終えてから一週間、魔法の練習で日々を過ごしていたが少し気分転換に森の中をお散歩中であった。
「おつかいとは?」
「ここからもっと奥にある洞窟に住んでいるドラゴンを退治しに行ってもらおうかとね」
ドラゴンという言葉を聞きカナリアはシルビアを睨む。当たり前だ。そんな退治と言っているが標的に問題がある。それ以前に退治をおつかいと言い換えていることにあきれている。
「これには訳がある。それはお前のスキル解放をするための最後の仕上げだ」
そういいカナリアのステータスを映し出した。
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名:カナリア 歳:16歳 性別:女
魔法特性:全魔法(使用不可能)使用可能条件:縛りを達成することで使用可能
火・水・風・雷・土
魔力:∞(使用不可能)使用可能条件:縛りを達成することで使用可能
スキル:変化・創造[魔法](使用不可能)・創造[スキル](使用不可能)・鑑定スキル・気配察知・危険察知・探知・弱点察知・身体強化・音速・魔力制御
耐性:毒耐性
加護:神の加護《獣神王》・妖精の加護《妖精の祈り》・フェニックスの加護《再生能力》・《不老不死》(18歳まで発動不可)
状態:error
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魔法の基本5つの適性を習得したことで魔法特性の欄に5つ獲得した魔法種属が記載されている。ただシルビアも不思議になっているものがありそれは魔力が使用不可能なのに対し魔力制御、そして魔法が使えるということである。
「まあ、わからないものはわかるやつに聞いてこいということでドラゴン退治していくついでにそいつに聞いてこい」
そんなわけのわからないことを聞かされ、こっから北に何キロかにある洞窟に入り自身の魔力を全開放することによりドラゴンがいる空間へ転移するという。そんなあまりにも不安定な情報で目的地に行けと言われ少しめんどくさい気持ちが出ているが、これは自分のためということなので行くことにした。
それからの森での道は長かった。途中で魔物が襲ってくるが拳を振りかざすだけで吹っ飛んでいくし、日々魔力を身体に纏わせているおかげで魔物が近寄ってはこないが食材に偏りができている。走って追いかけることもできるがそのせいで一番の難題、道に迷子になってしまったことがあるため探知を使いながら目的地を探しようやくの洞窟へたどりついた。
一見外からみた洞窟は大きな穴で特にほかのものと変わらない見た目である。
「長かった……。フウ……さっそくドラゴンとやらとご対面と行きますか」
一息つき洞窟の中で魔力を全開放した瞬間あたりが光に包まれた。
目を開いた時、先ほどまでなかった天井から水があちこちに流れてきており下には大きな水たまりができていた。その真ん中には大きな白いドラゴンが眠っていた。カナリアがこの空間に入ったことで白いドラゴンが目を覚ましこちらを見てきた。
「ほお……」
ドラゴンは老いているのか口調がずいぶんお年寄りでこちらを見ようと顔を向けてきているが動き鈍い。
「お主は何しにここへ来た……?」
「俺はお前を退治しにここへ来た」
「退治? ホホホ、面白いことを言うな……」
ドラゴンは最初、面白い子供が来たと笑っていると思ったら何かを感じとったのか先ほどのゆったりとした表情がなくなり目を細め何かを察したように問いかけてきた。
「……我を退治といったがそれは誰からの指示だ?」
「森の神様」
「なるほど、シルビアだな」
このドラゴンとシルビアは知り合いだとわかったが退治とはまた別の目的を思い出した。
「それと俺のことについて聞きにきた」
「ほお……それはお主の縛りであるな」
やはりこのドラゴンは何かを知っている。そう確信したカナリアは戦闘態勢に入り「さあ今、俺についてわかることを全部吐くか、ここで俺に退治されるか」っと忠告をした。
だが、白いドラゴンの口からは「もちろん……話すぞ」とあっさりと話すと答えたことにより返答を聞いた瞬間飛び掛かっろうと考えていたカナリアは予想外の答えに勢い余って水たまりに落ちてしまった。
「ゲホゲホ……すんなり話すなんて何を企んでる?」
「お主はこの世界の転生ルールを変えることができる存在だと見たからだ」
少し考えこんだがこの話は面白いと判断し警戒を解いた。
「お主が聞きたいことは先ほども言っていた縛りだな。この縛りは記憶が覚醒した際に本来はすぐに使えるようになるのだが、転生時に神に聞かされなかったのか?」
ドラゴンが立ち上がり顔を上に向けた瞬間、空間が光を包み映像のようなものが流れ始めた。
「これは映写魔法というものだ。これで転生者の歴史について話そう」
この世界が誕生してから何千万年の時、初めての覚醒転生者がこの世界に生まれた。その転生者は神からもらった力を使った際に身体が爆散してしまったのだ。理由は、適応していない身体で急に力を使うと身体が力に追いつけずしてこのような結末になってしまう。覚醒転生者は数年に一度なのでそのたびに負担をどのように補うのかを次の覚醒転生者に縛りを付け足し、今のカナリアの縛りはこの使用不可能である。そして力を身体に馴染めるよう神が作り上げた存在『神獣』による教訓を行うことで力を使えるよう鍛えすべてを乗り越えることで解放されるのである。ちなみに普通の転生者は生まれてから記憶を持っているけれども神からはなにもなく、覚醒転生者はあとから記憶が蘇るが神からの宿命を持たされる代わりにスキルなどをもらえる。
「なるほど……つまりは覚醒転生者に力を与えているにも関わらずその力を扱えるよう鍛えてから使えるようにした……か。」
「これがお主ら覚醒転生者の歴史だ。……お主は最初に我を退治と言っていたな。それはあながち間違ってはいない」
覚醒転生者についての話を終え話をまとめたカナリアはドラゴンの言葉に首を傾げた。
「我があの神獣にお主を来させるよう言ったのだ」
「それ――っ?!」
カナリアがドラゴンにどうしてそのようにしたのかを聞こうと顔を上げたその先の光景に言葉が出なかった。先ほどまで美しかったドラゴンの真っ白な鱗がだんだんと剥がれ落ちドラゴンの体がだんだんと変色していったのである。
「寿命だ。もうわかっていたことなんだ。だからこそお主をここへ来させるようにしたのだ。我の体内に生成された竜の魔石を取り込んではくれないか? 推測だがお主は過去に魔石を取り込んだことがあるのだろう? そのおかげで魔力の使用ができないのに対し魔力を使えたのは魔石による魔力生成なのだよ」
記憶にはないがドラゴンから見るとやはり何かが見えているのだと。だがどうして自分に彼の魔石をくれるのかがわからなかった。
「……どうしてそこまでしてくれるの?」っと聞くことしかできなかった。
「……我は見てみたいのだ、この世界を変える存在を、我は力になりたかった。長い間、ただ見ていることしかできなかった我の無力を今ここで晴らすときが来たのだ」
世界を変える存在、これが彼の意思をカナリアに託す最初で最後の望み……、なら自分は……、
「……名は? お前の名はなんだ?」
カナリアは白きドラゴンの目を見て名前を聞いた。
「ルルティマ」
最後に自身の名を伝え、ドラゴンは石のように崩れていった。
崩れ散ったルルティマの崩れた破片の中心には輝く石、魔石が落ちていた。
「ルルティマ……お前のその望み、確かに受け取った」
ルルティマの願いを受け入れた彼はルルティマの体と同じ色を持った白く美しい魔石を両手で持ち上げ彼に届くようつぶやき魔石を飲み込んだ。
魔石を飲み込んあと空間は次第に自分が入ってきた洞窟の姿に戻っていった。
「……帰ってきたんだな」
洞窟を抜けた空は星が浮き上がっており月がカナリアを照らしていた。この言葉をつぶやくカナリアの頬には雫が流れたいた。