第五十七話 護衛依頼
「……見えてきたな」
馬車に乗り、目的地へ向かっていたシンたち。王様の声にみんなが外を見る。
窓から見える、大きな木に覆われている森の中に、獣人族が住んでいる巨大な国『ティア』。
みんなが興奮している中、シンだけ、故郷を眺めている。
「暇だな」
SSSランク冒険者になったシン。今、王城の一室にあるベッドに寝転んでいる。
現在の立場としては、王都のお姫様二人の婚約者であり、最高ランクの冒険者という二つの敬称を持っている異例の存在だ。
ちなみにベッドで寝転んでいるのは、単純に暇であるからだ。迂闊に外に出ると注目を浴びてしまう。カナリアの姿であればそんな心配はないが、いざ出るとなるとお土産をご所望する猫少女二人、なぜ声をかけないのかと詰め寄る少女二人がいるため、どうしようもできないのであった。そんな時間を過ごしていると王都の使用人がシンの部屋へ訪れた。
「シン様、王様がお呼びです。要件はその時に話すと」
「ん、ああ、わかった」
暇をしていたシンにとってラッキー程度のテンションで使用人についていった。しかし、それは今後シンとして生きる終着点へのチケットだったのだ。
◇
「それでシンよ。実はお主に頼みたいことがあるのだ。一週間後、獣人の国『ティア』で次期王の継承式が行われる。我々の国『スイテム』と『ティア』は深く交流していてな、継承式の場所が森の奥へ行くため護衛が欲しいと互いの冒険者を出すと書かれていた」
王様の会話から簡単に訳せば、王都と獣人の国は深い仲で、今度継承式が行うにあたって危ないところ行くから互いの冒険者を護衛として見に来て。と、いうことだろう。
「継承式は貴重なものだからと儀式は他国の人間には見せないのだが、今回は予言を受けていてそれは素晴らしいものだと我々の国だけなら傍観してもいいと招待を受けた」
「……まあ、せっかくの招待を断るのは国際問題に発展してしまうので受けるんですね」
王様は頷いた。
「それでだ、シンよ。その護衛にお主含めニアとミアを指名したいのだが。よいか?」
迷いなく頷く。二人には帰ってきてから説明するが彼女たちも断ることなく引き受けるだろう。なぜなら、カナリアの目的は自身の課せられている宿命を果たすため、冒険者として活動し、権力を最大に上げ、獣人の国に近づくこと。これらは前に言ってあるのだから。王様はランクが高いから指名したわけでなく、純粋に強いからだと。まあ、どっちも一緒だけど。
四日後、獣人の国へ馬車に乗って向かうことになった。
「では、シンよ。頼んだぞ」
シンは頷き王室を出て、自身の部屋で戻った。




