第五十話 決意、作戦会議
ギルドの門を開けると、訪ねてきた三人の顔が見えた。
「答えは決まったか?」
レナード、アリアナ、パーネルは頷きシンに一言。
「ぜひ、参加させてほしい」
これで、レイド参加者はシン、ミア、ニア、レイラ、レナード、アリアナ、パーネルの七名になった。
◇
それからシンはギルドの会議室を借りて作戦会議を開いた。ちなみにこのレイド件を知っている人物はギルド役員の方々とギルドマスターだ。そのためこの作戦会議にはギルドマスターのシェリアが参加している。
「王都の人たちにこのことはまだ話をしていない。まあ、これは王様が伝えるって言っていたから俺たちは巨大ドラゴンをどう倒すかだ」
市民たちにはギリギリまで伝えずにいるらしい。それはみんなを不安にさせ他の問題が発生するのを防ぐためだ。だから発表するのは作戦ができてかららしい。
「久しぶりに顔を見せたかと思えばとんでもない依頼を受けてきたもんだ。ま、それが冒険者昇格試験なら仕方ないか。それで、作戦は?」
腕を組みどんな作戦を立てるか楽しみに見物するシェリア。ちなみに、シンがシェリアと喋るのも本当に久しぶりであり、最後に喋ったのがあのシンが冒険者になったあの日以来であるのだ。
「作戦は俺とミア、ニアが前線でドラゴンを叩く。パーティー「デリカウス」メンバーはドラゴンの飛び攻撃から王都を守ってもらう」
これは事前にみんなに伝えてあることだ。これは自分の試験であり他の人たちには危険が及ばないところで動いもらう。できるだけ王都の安全を優先しなおかつレナードたちにもある。そこで、一人の手が上がった。レナードだ。そして彼からの口からはシンが耳を疑う言葉が出た。
「俺とアリアナも前線で戦う。王都の守りは魔法で遠距離攻撃が可能なレイラと剣で魔法を飛ばすことが可能なパーネル、どうだ?」
確かに、どの方向からくるのかは分かっているからある程度のターゲットとなる投石などは絞れる。だが、今の彼らを前線に出すとなると危険だ。
「分かってる、俺たちじゃ足手まといって。だけどな、お前が信頼してくれているならこの人数でできることをしようぜ。だからシン、お前に頼みがある」
レナードとアリアナはシンの前に来て、頭を下げて懇願した。
「俺の師匠になって、シンが役に立っていると思う俺にしてくれ」
「私も、シン殿がどれだけ強いか知っている。だからこそ、私たちにも特訓し、強くしてほしい」
シンは少し考えた。確かに、レナードとアリアナを強くすることは可能だ。だが心配なのは時間よりも彼らの体だ。時間はどうとでもできるが、結局は身体による負担にどれだけ耐えられるかどうか。
「レナード、お前がドラゴンの頭に乗り力尽きるまで硬い鱗を叩き続けるか? アリアナ、とてつもない速度を出して体が裂けそうでもドラゴンの硬い足を切断できるか?」
シンなら可能なことかもしれないが、彼らは当然無理難題なことを投げた。だが、彼らは知っていた。彼がそう言ってくるという意味を。
「シンがそう特訓してくれるなら、やるさ」
「体が裂けてでも王都を、守って見せる」
二人の本気の目を見て、シンはため息をつき本音を打ち明けた。
「本当はこうするつもりだったが、お前らがついてこれるかわからなかったからやめたんだけど。そこまで言うなら、やるか」
最初に考えていた作戦はシンとミア、ニアがドラゴン全体に集中攻撃。レナードと特定の場所を攻撃し注意を引き、アリアナがその隙にドラゴンに強烈な一撃を食らわせるつもりだった。もちろんレイラとパーネルにも前線ではないが王都の壁の展望でバフ魔法や魔法攻撃をしながら投石のうち落としをするつもりだった。そして、シンが彼らに特訓させることによって強力な力を身に着けた状態で戦う。だが、彼らの身体にどれだけの負荷がかかるかわからないことでその作戦をやめたのだ。だが、レナードのアリアナは本気であり、レイラとパーネルも懇願してきた。これにシンは覚悟を決めた。
「分かった、やろう」
そしてシンが作った空間魔法”空間部屋”で修行することにした。これは外の時間よりも遅く、そして長くその場所にいることができる。そして、空間部屋に入った時間で体の成長が止まり修行が一年経ったとしても入った状態で出てくることができる。しかし修行の成果はきちんと反映されるため心配することはない。ちなみに魔法は過去に修行した場所を参考にして作った。
それからシンは、それぞれ今回のレイドに必要なスキルなどをレナードたちに教え、鍛え、レイド開始日へとやってきた。




