第四十九話 レイドメンバー招集
冒険者ギルドに来たシンたちは最初に見つけた人物に声が掛けた。ここでは珍しい武器である刀をもっている女性だ。
「あ、シン殿。おはようございます」
ギルドの依頼看板を前にどれを受けようか悩んでいたアリアナだ。彼女だけで依頼看板を見ているとなれば彼女も誰かさんのように小遣い稼ぎのようだ。みんなは何しているのか聞いてから本題へ移るためギルドの一部屋を借りて話をした。
「え、つまり一か月後にくる巨大ドラゴンのレイド討伐を私たちに手伝ってほしいと?」
彼女はシンからのレイドの話を聞くがやはり耳を疑ってしまう。彼女もシンの強さを知っているがやはり巨大ドラゴンとなればそれはもう彼でも敵わないのではとなっている。だが、それよりもそんな魔物と戦うためにレイドに参加してほしいと言われればそれは聞き返さないわけがない。
「別に強制でもないし、ただ信頼できる冒険者はお前らしかいないからな。ま、他の奴らにも聞いて回るよ。その間に考えておいてくれ」
そういってシンたちは部屋から出ていき、静かな部屋でアリアナは考え込んだ。
◇
次に訓練所へ来た。そこに剣を振りながら魔力を込めて魔法剣の練習をしていた男性が一人。
「お、シン。こんなところで会うなんてお前も特訓しに来たのか?」
パーネルだ。彼は以前にシンが伝えた戦闘での判断力の低下を改善するためここで常に魔力を使っていて慣れているのだと。訓練所にほぼ毎日いる彼からすればシンが来ることは珍しいことなので内心嬉しそうに話しかけた。が、その笑顔は一瞬で凍り付く。
「え、一か月後に巨大ドラゴンがここ王都に来るから俺たちで倒そうってこと?」
「ああ、だがこれは強制ではないからな。アリアナにはもう伝えてあって考え込んでいる。レナードとレイラはこれからだ」
自分らのパーティーメンバーは彼にとって信頼できる人であるのに嬉しさと、だからあまりにも相手がでかすぎる。それにそんなのが自分たちに敵うものなのかが不安で溢れる。
「ま、あと二人にも伝えてくるからそれまで考えておいてくれ」
そして訓練所を出ていった。パーネルは自身が握っていた剣を見て、そして強く力を込めた。
◇
露店が広がっている広場、そこに一人の男性が買い物をしていた。
「あれ、シンじゃないか。それにミアとニアも。珍しいな、こんなとこで会うなんて」
彼の手には薬草や液体の入ったボトルを持っていた。そうレナードだ。彼は剣士であり様々な知識を持ち合わせているので今度の依頼のための下準備をしているのだろう。そんな彼をベンチで事を話した。
「なるほど、それで俺たちに声をかけていたんだな。そおだな、シンからそんなに信頼してくれるのは嬉しいが、少し考えさせた欲しい」
当然だ。どれだけ信頼しているからと言って巨大ドラゴンとやりあうのは話は別だ。
「みんなには言ってあるがこれは強制ではない、それにお前たちに前線で戦ってほしいとは思っていない。ドラゴンは大きく動きが鈍いからと言ってどんな攻撃をしてくるかは俺でも戦ってみなければわからない。だからお前たちにはドラゴンが放つ攻撃から王都を守ってほしいんだ」
例えば、ドラゴンが王都めがけて巨大な岩を飛ばしてきてもレナードたちがそれを防ぐ役割を任せたいと。死ぬリスクが低いといえそんなものを防ぐのにも別のリスクが生じる。
「ま、あとはレイラに声をかけてからギルドに集合な。あいつらにもギルドに来るよう言ってあるから。じゃ、ミア、ニア、行くぞ」
物静かに話を聞いていた、いや、先ほど露店でやっていたスイーツを買ってあげておいしく頬張っていたのだ。
だんだん遠くなっていくシンたちの背中を眺め、レナードは一息つき立ち上がりどこかへ歩いていった。
◇
木造建築の一軒家の扉をノックした。そこからかわいらしい魔法使いが扉を開けた。
「あ、シンさん。もしかしてまた研究のお手伝いを!」
魔法に研究熱心の魔法使い、レイラだ。久しぶりの訪問に嬉しさが隠せていなかった。だが、それはまた別と言い本題に入った。
「なるほど、わかりました。ぜひ私の力を使ってください」
まさかの回答にシンは少し間をおいてもう一度問いたが、彼女の回答は変わらなかった。確かに、ありがたいことだがそんなにすぐに答えを出してしまうのにも疑問が現れる。
「なぜそんなにも即答なんだ? あいつらは今でも悩んでいると思うが……」
それでも彼女の答えは変わらない。
「私は、シンさんがこうやって信頼している私たちに聞き回っているんですよね? 第一、ここ王都には私の研究所がありますし、まだシンさんには魔法の研究を手伝ってほしいので」
つまり、自分の研究所を失うわけにはいかないからやるということでいいんだとシンは解釈した。これでレイド参加者は4人になった。人数は足りなくはないがもう少しいた方が安定したレイドが可能になる。それからレイラはシンたちについていきギルドへ向かった。他三人の話を聞くためだ。




