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アルーン、アルレス公爵領へ

ここがアルレス公爵領か…。

ポツリと呟きながら目の前を見渡すと、奴隷であろう女達が繋がれていた。

しかし奴隷にしては身なりがよく、全員メイド服をきていたのである。

「確かこの子達はハイド族だったかな?」

ハイド族とは主君によく仕えることで有名な種族であるが、鎖に繋がれているということは何かあったのだろうか?

アルーンはぼーっと考えていると、「今からこいつらの処刑を始める!!」との声が聞こえたので急いで止めに入った。

「ちょっとちょっと、主君によく仕えるハイド族がなにか問題を起こしたのかい?」

急にあんたはなんだぁ? ジロリと目を向けてきた処刑人が見てきた。

「こいつらはよ、今の公爵様に謀反を企んだのさ! だから処刑して当然なんだよ!!」

「そんなの濡れ衣です、嘘偽りです!」

方々から冤罪の声が上がるが、処刑人はどこ吹く風だ、そして今度こそ処刑をしようと、合図をしようとした時、またしてもその手は止められた。

アルーンである、「この子達の身柄は私アルーンが預かろう、文句はあるまいな?」

そういって手を離すと処刑人は思い出したかのように、「はっ!? あのアルーン殿下でございますか!?」と仕切りに狼狽えている。

そうして処刑人が狼狽えていると、奥から偉そうな身なりの男が出てきた。

「まぁーだ処刑は終わらんのかぁ! とっくに時間は過ぎておるぞぉ!」

そういいながら処刑されてないハイド族を見て、処刑人、アルーンと見ていってその男の怒りは怒りから焦りに変わった。

「まさか!?アルーン殿下でいらっしゃいますか!?」

「そうだが、私に何か?」

偉そうな服を着た男を一瞥しただけですぐ処刑人に目を戻したアルーンだったが、

「お出迎えが遅くなり申し訳ありません!!

私がアルレス公爵でございます」

唐突に隣の男が土下座したので、アルーンはびっくりした。

「とにかくこのハイド族の処刑は待つんだ、いいね」

そう処刑人にいいふくめると、処刑人はアルレス公爵に目を向けるが、それでいいよいのだ!というジェスチャーのもと、ハイド族は処刑の難を逃れたのであった。

ハイド族は口々に「アルーン閣下万歳!!」

「アルーン閣下に栄光あれ!」など命を助けてもらったことで恩義を感じたようである。



「というと貴方がアルレス公爵ですか」

場所を移し公爵邸で話すことにしたアルーンと公爵であるが、

「ここの領土がこれからは私アルーンの領土になるのだがそれでいいのかな?」

決定事項ではあるが確認のために聞いたところ、

「それでいいもなにも全ては陛下から賜ったもの、お返ししろといわれれば全てお返しいたします」

殊勝な態度をとっているアルレス公爵である。

「そうですか、なら貴方が今まで誤魔化してきたもの、全ても返せといわれれば返すわけですな?」

「え!?それは…その」

急に焦り出す公爵。

「知らないと思っているうちが華でしたね…誰か!!」

はっ、と即座に公爵の両脇に進み出た。

「言い訳はあとで聞くとしましょう、連れ出せ!」

「殿下これは何かの間違いです、殿下!!」

了解しました、と同時に弁明虚しく、公爵は連れ去られたのである。

「さてと公爵に関してはあとでいいとして、ハイド族に関してどうするか…?」

アルーンは処刑されそうになっていたハイド族に目を向けた。

「彼女らについてだが」そう聞いた矢先に、

「ハイド族達が面会したいと申しております」そういわれたので、とりあえずアルーンは会うことにした。

応接間に入った途端、「殿下万歳!万歳!万々歳!!」との声が上がった。

「ぬわ…」と思わず仰け反ったアルーンであるが、冷静になり「大したことはしてないからやめてくれ」そう宥めた。

話を聞くと、冤罪で処刑されそうになったところを救われたので、アルーンに仕えたいということである。

ハイド族は元々主君に仕えることを誇り高く思う種族なので、アルーンとしては嬉しく思う反面、私でよいのか?と聞いたのだが、どうやら命を助けてもらったので、その分も含めて仕えたいらしいということなので、それ以上は何も言わないことにした。

そうして公爵府の整理をしていると、出るわ出るわの不正の証拠である。

この資金は後に領土と民のために使うための資金に充てることにするようアルーンは指示した。

アルレス公爵領は元々帝国内でも広い方に入る領土である、それを任されたアルーンはやはり婿として期待されてるのであろう、この領土は発展性も充分あり、税制なども見直すべき場所が多い領土である。

まずアルーン自身がやるべきことは人材を見つけることであった。

公爵府にいる人事を一掃し、新しく大公府の人事をするべくある人材を迎えに行くべきだと悟っていたのである。

それは丞相に足りうる人材の発掘。

アルーンはひとまず自分の大公府は置いておいて、ある人物に会いにきていた。

「こんにちは、先生はおられるかな?」

とある家を訪ねたアルーンは、そこにいる童子に聞いていた。

「先生とは一体どこの先生ですか?」

童子が聞き返すと、はて?一体どこの先生なのだろう?と考えてしまった。

迎えるべき人物はわかっているのに。

「どこの先生と聞かれると困ってしまった、私の先生になるべき人なのは間違いないのだが…」 そう童子に返すと童子は笑って、

「貴方は面白い人ですね、自分の先生になるべき人なのに、どこの先生なのかわからないのですか?」 童子がそういったので、ついにアルーンは思い立って、「そうだ、私は私の先生を迎えにきたのであった!」答えがわかったところで、童子は大爆笑した。

「それは今のことじゃないでしょ!」

言われたアルーンはじゃあ何が正解なのだろうと頭を悩ませてしまった。

隣にいる召使いに聞いたところで答えが返ってくるわけでもなく…。

しばらく経っても答えを出せないアルーンに童子は焦れて、「じゃあ僕の先生にお会いになられますか?」と助け舟を出された。

「そうだ、そうだ!そうしてくれるかい?」

助け舟を喜んで受けたアルーンであった。

そうしてやっと家に入れたアルーンはホッとしていた。

「いやはややっと会えそうだ」

何やらジト目で物言いたげな召使いは放っておいて、したり顔のアルーンである。

そうしていると一人の男が笑いをこらえながら入ってきて一礼、「失礼いたします、私がジョウでございます、ふふはははは」

笑いを堪えきれずついに笑ってしまった。

アルーンは恐らく先ほど童子にからかわれたのを見られていたのだろうと、顔を赤くしつつ挨拶した。

「お恥ずかしいところをお見せしました」

「いえいえ、何分私の生徒が悪さをしました、あとで叱っておきますのでご容赦のほどを」

恐らく1番楽しんでいたであろうこの者はさほど叱りはしないだろう、と思ったが子供のすることだから可愛いものだとアルーンは思った。

「お会いしたばかりですが、用件はわかっていると思われます、お返事は?」

単刀直入に聞くアルーン

「ご用件はわかっております、浅学非才の身ですが受けさせていただきます」

ジョウは改めて礼をした、そしてアルーンも礼をすると、アルーンはホッとした顔になり笑みをこぼした。

「なぜ我が大公府の丞相になっていただけるのでしょうか?」

あらためてアルーンは、側にいる召使いにもわかるように聞くことにした。

「全ては私の生徒とのやりとりです、あの程度で怒る程度ならたかが知れているし、あの程度で帰るようならそれもまた知れていることです。 ましてや名前を出すのであればそのままお帰りしていただくところでした」

つまりはあの童子とのやりとりが正しかったからアルーンに仕えることにしたらしい。

「子供に対して真心を持って接する」

簡単なれど難しいことです、そう続けたジョウである。

そんな真心を持って接したであろうか?とそもそもな事を考えたアルーンであったが、つまりは運が良かったのかもしれないと、笑うことにした。

「それとやはり貴方の王国軍人としての行いです、私は王国軍人としての貴方を尊敬しております、捕虜を辱めず常に公明正大に戦ってきた貴方をね」

ジョウが言うと、アルーンは自分が王国軍人として戦ってきたのは無駄ではなかったと感じたのであった。



そして大公府に戻った一同であるが、アルーンはとんでもないことをした、全ての任をジョウに一任したのである。

「全部任せた!!」

そういってジョウに印を渡すと、ジョウは

「はっ、全ては殿下と陛下と帝国のために」とただ受け取って業務を始めたのである。

これは果たして水魚の交わりなのかしら?と召使いは思ったが聞かないことにした。

「殿下ご指示を仰ぎたいことが…」

珍しくジョウが聞いてきたので、なんだろうと思ったが、言われてみればという問題であった。

「軍事府についてなのですが…」

あぁ、そうだとアルーンは気づいたが丁度来客したあとのようで

「スイ大将に軍事は一任する」

そう改めてジョウに指示した。

コツコツコツコツ、とある場所に向かう人物がいた、スイ大将である。

(アルーン殿下との公式のご挨拶うまくいくであろうか…?)

そんな心配ごとをしながらアルーンが待っている執務室へ向かうのであった。

部屋の前で立ち止まりノックを数回。

少ししてどうぞぉ!との声が、ドアを開け、

「失礼します、アルーン大公府所属スイ大将であります!」

自分の中で最高の敬礼をしたつもりである、

そして気持ちも高まっており興奮で多少顔も赤いが、失敗なく敬礼ができたことに会心の手応えを得ていた。

「うむ、スイ大将、貴公に軍事は全て任す!!」

その声に我が意を得たりと言わんばかりに声をあげた

「3年で帝国史上最強の軍にしてみせます」

会心の笑みでスイ大将は言い放ったのである。



「ふぅ とりあえず一通りのことは終わったのかな?」

全てをジョウに任すと言いながらも、結局は自分で決裁しなければならないことがあることに気づいたアルーンなのである。

「お疲れ様でした、殿下」

召使いは紅茶をだし、ジョウは書類を下げたのである。

「全てを全自動というわけにはいかないものかね?」

アルーンはそう呟いたが、

「そうは問屋が卸さないとよくいうでしょう」ジョウは次の書類をだしたので、班を押す。

「アルレス公爵時代の不正の証拠もだいぶ集まりました、蓋を開けてみれば小国の国家予算ほどもあるほど溜め込んでいたようです」

「え!?そんなに!?」

アルーンは仰天した。

「ええ、このアルレス公爵領、いえ、アルーン大公領は帝国でもトップクラスの広さを持つ領土ですし、肥沃な土地でもあります。

これくらいの資金はできるでしょう」

澄ました顔でいうジョウである。

「それならその資金全部民に還元してあげてちょうだい」

「よろしいのですか?ある程度はとっておくことが賢明な判断かと存じますが…」

アルーンは苦い顔しながら

「あったらあったで俺はろくなことに使わないんだからないほうがいいのよ、もし許されるなら、かみさんに少しあげておいてよ」

承知しました、とジョウは書類に何かを書き込み下がっていった。



たまにはスイ大将の訓練を見に行こうと思い立ったのでアルーンは軍事演習場に足を運んだ。

せいっ!はっ!っと兵士達の訓練している声が聞こえてもう満足し始めているアルーンであるが、そこをスイ大将に捕まってしまった…。

「殿下! 軍の視察に来ていただけるとは光栄の至りです!」

うおおおおお!と兵士達も興奮している。

「そんな興奮しなくても…」

先ほどまで満足しかけていたアルーンは逆に軍がうっとおしく感じてしまっていた…。

「是非帝国剣術のお手本を」

そういってスイ大将は名品であろう一振りを差し出した。

「そんなの私の護衛に任せればいいじゃないか」そういって先ほどまで護衛がいたところを見るといない…軽功で逃げたようだ。

「仕方がない…」

そういって剣をとって帝国剣術を一通り見せるのであった。

「帝国剣術は攻め7守り3の割合で作られた剣術だ、常に攻めることを意識し、守りはその次とせよ!」

そういいつつアルーンは攻めの手を緩めず続けていった、方々で歓喜の声がするがそれに緩まずにさらに攻めの手を出し、最後の一手をだしお手本は終わった。

「以上のようにこの剣術は攻めが主であり守りが従だ、忘れないように」

そうしめたあとには興奮の声が上がっていた。

「殿下お手本お見事でした!!!」

1番興奮してるであろうスイ大将に剣を投げてアルーンは退散することにした、のだがスイ大将はさらに求めてきた

「是非我が軍の精鋭とお手合わせしてお手本を…」

付き合ってられないよ!、そう思ったアルーンは逃げようとしたが、がっしり腕を掴まれているので逃げようにも逃げられなかった…。

気がついた時には木剣を持たされていた。

周りには数人の木剣を持った軍人達…。

仕方がないので、共和国剣術であえて戦うことにした、敵国の剣術で戦うことで得るものがあるだろうと踏んだからである。

アルーンを襲った軍人達はどれも帝国剣術であった、しかしあくまで軍人の域をでず達人までいってはいなかったので、アルーンとしてはやりやすかった。

せっかくだから良いものを見せたいという見栄も働いたので、木剣で一手一手対応しているうちにいいことが思い浮かんだのであった、まず目の前の相手の木剣を受け、その次に右手にいる相手の木剣に流し、さらに左手にいる相手の木剣を捌き、最後に後ろにいる木剣を受けた、これで全ての木剣と接触したので、アルーンは内力でこれを全て吸いつけ、気合いを入れて内力を流し全ての木剣を折ったのであった。

「お見事!!!」

スイ大将が真っ先に褒めてくれたので正直照れたアルーンであったが、これ以上何かやらされてはたまらないと、興奮冷めやらぬうちに脱兎の如く逃げ出したのであった。



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