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Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第4章:夢現と雪飛竜
118/249

118:職人神の神殿-8

「ふぐおおおぉぉぉ……」

 神殿に死に戻りした俺は全身を氷の槍に貫かれた結果による幻痛に悶え苦しみつつ立ち上がる。


「ふむ。『蛮勇の魔獣』。君も死に戻りを受けたのか。」

「アンタは……って聞くまでも無いか。」

 と、俺にハルバードを背負った男性が近づいてくる。

 えーと、顔には見覚えがあるな。確か今回の雪飛竜攻略で一緒にボスゲートまで行った集団の中に居た一人だな。


「まあ、君と同じだよ。それで、今私を含めて死に戻りしたメンバーで集まって報告会をしているのだが、できれば君にも参加して欲しいのだが。」

「ふむ……」

 そう言う男性が指し示す先には十数人のプレイヤーが集まっている。全員表情から察するにデスペナを受けているので、俺と同じ死に戻り組だろう。

 確か、今回の攻略に関しては文屋さんからボスに関する情報を流すのが参加条件だったな。

 で、流すにしても情報を予めまとめておいて信頼のある代表者が書き込んだ方が良いだろうな。


「分かった。俺も参加させてもらうわ。」

「恩に着る。ではこっちだ。」

 そして俺は男性に付いていき、話し合いに参加する。

 集まっていたメンバーが俺の顔を見て一瞬驚いたような表情は気にしないでおこう。



-----------------



「ふぅ。やはり駄目でしたね。」

「まあしょうがないっすよ。編集長。」

 さて、俺たちが話し合いと言う名の情報交換兼反省会をしている間にも次々と死に戻りのプレイヤーは出現する。


「いてててて、酷い目にあった……」

「大丈夫か?」

 ただ、死に戻りの仕方はバラバラで、一人一人現れる事も有れば、PT全員が一度に現れる事もある。

 また、受けている幻痛の強さに関しても一人一人差が有るようで、一番強く幻痛を受けているプレイヤーは俺と同じように立ち上がるのも苦労しているようだが、軽いプレイヤーは難なく起き上がっている。

 この死に戻りの際の幻痛の強さにもその内話し合う必要があるかもなぁ。


「ふう。粘ったが無理だったか。」

「もう8割方は戻されてますね。」

 と、軍曹たちのPTも死に戻りのポイントから出てくる。

 うーむ。軍曹ですら負けたか。

 まあ、とにかく話し合いは普通に続いていく。



--------------



「さて、結論から言わせてもらいましょう。」

 で、結局1,2時間ほど話し合いは続き、話がまとまったところで文屋さんがまとめとして集団の真ん中で話し始める。


「今回の攻略は失敗に終わったと言っていいでしょう。」

「「「ですよねー」」」

 文屋さんの言葉に集団の大半が暗い顔で溜息を吐く。


「ですが、情報そのものはとても多く集まっています。一つ一つ検証していきましょう。」

 文屋さんがそう言って反省会から今度は対策会議へと話が変わる。


 でだ。対策会議と言うか、まず雪飛竜に関する各種情報について改めて整理すべきだろう。


①職人神の神殿ボスは仮称雪飛竜といい、その名の通り雪の様な鱗を持つ飛竜である。

②戦闘開始直後の山道ではどれだけダメージを与えても撃破は不可能(1時間粘って攻撃し続けたPTが居たらしい。)

③戦闘開始直後は超遠距離からの氷炎弾で確定。ただし、一度に放たれる数はゲートの色によって異なると考えられ、青1発・紫2発・赤3発・血赤3発(ただし3発目は偏差射撃)


 というか、3発目が偏差射撃だってことを伝えたら聞いた連中全員「うわぁ……」って言う顔をしてたな。

 気持ちは理解出来るが。


④掴みかかりは喰らった後すぐに逃げられなければ崖下ポーイで即死する。というか、防御力次第では普通に死ぬ。

⑤上空からのブレスはこちらを追ってくるが、そのスピードはゲートの色に比例する。血赤は全力で走っても装備次第では逃げ切れない。

⑥ボス戦全体の流れは、山道→落とし穴付き雪原→山道→氷の橋→山頂(ここまで来て雪飛竜討伐可能)となる。

⑦落とし穴付き雪原の穴は各種感知スキル・類似効果を持つアイテムで感知可能だが、穴ごとに必要なレベルが違う。

⑧氷の橋はとにかく滑る上に橋の下は谷なので落ちると即死。

⑨山頂に着けばイベントが発生して討伐可能になる。

⑩俺が喰らった氷の槍の雨は血赤限定。


「まあ、対策云々は色々とあるけど、とりあえず血赤は無理だな。」

「偏差射撃は事前に知っていれば対策出来るが、ブレスと雨はどうしようもないしな。素直に諦めろとは言いたくないが、殆どそんなものだろう。」

「とりあえずストーンゴーレムがそうだったようにアイテムをうまく使う必要はありそうだよな。」

「というか≪隠密≫持ちの奴なんかは前半戦を乗り切るのは相当楽だったみたいだし。≪隠密≫付与アイテムとか良さそうじゃね?」

「ボスも誤魔化せるレベルの≪隠密≫付与アイテムとか何処で手に入るんだよ?」

「ですよねー」

「地上戦になってからもそれなりに苦戦はしそうだな。」

「とりあえずオオゴンズワム以上マンティドレイク以下ぐらいは覚悟しておくべきだろ。」

「≪耐寒≫は必須だよなぁ……」

「≪耐寒≫無しとか完璧に終わってると思うぞ。」

「てかSP消費を抑えるアイテムとかねえの?」

「ウルグルプ狩っとけ。」

「つうか、予想以上に入口を開けるための火薬が高い件について」

「割り勘しね?複数PTで割り勘すればだいぶ安くなるっしょ」

「それよりかは≪爆発物職人≫に話を付けて……」

「あれ?穴の方からの侵入は無理なのか?」

「あちらは一方通行で、逆走するとなると相当の無茶をすることになりますよ。」

「ふむ。では今回は諸君と私たちで同盟を組んで……」

「とりあえず金が無いなら三日後に再集合かけてまた皆で……」

「じゃあ、そう言う方針で……」

 凄い勢いで話し合いは進んでいく。というか、俺まともに発言出来てねえな。

 まあここまでの大人数は苦手だししょうがないか。


 それにしても対策か……とりあえず入口に関しては3日後の再集合を待つとして、他の部分の対策は考えないとな。


「では、三日後の朝に職人神の神殿前広場に一人ごとに魔物銅貨5枚を持って再集合という事でお願いします。勿論、それまでに個人的に火薬を入手して攻略に向かわれても構いません。それでは、これにて第1回雪飛竜討伐会議を解散と致します。」

「「「お疲れ様でしたー!」」」

 そして対策会議は終わり、俺たちはその場を後にした。

大反省会編でした。


11/01誤字訂正

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