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ご都合主義について

 一般的な「ご都合主義」と言えば、基本的に一貫性のない人や物事を指し、それらを非難する意味で使われます。しかし創作(漫画・映画・アニメ・小説・その他)の世界では、作者あるいは製作者の都合に合わせた物語を指すことになります。


 例えば以下の項目に注目してください。

①唐突な展開(俗にいう超展開)。

②明らかな後付けや矛盾した設定。

③天文学的確率の偶然や奇跡の乱発。

④主要人物の不自然な思考回路。


 いかにも「ご都合主義」的ですよね?

 ではもう少し具体的に例を挙げてみましょう。

①探偵物なら訪れた先々で殺人事件や誘拐事件が発生する。

②戦闘中でも主人公が熱弁すると敵は攻撃を待ってくれる。

③物語の進行に必要なら福引きで温泉旅行を当てられる。

④それまで歯が立たなかった投手相手でも九回裏二死満塁なら本塁打が打てる。


 こういった出来事を一切含まない人気作品を読んだことがありますか?

 後者の具体例はすべて前者の項目に属しています。しかしこれらが批判の対象にされることは多くありません。なぜなら読者が「ご都合主義」ではなく「お約束」と捉えてくれるからです。


「この戦いが終わったら、俺○○○○○するんだ」

 

 戦場へ赴く前にこんな発言をする奴がいたら――これはもう最近ではギャグにしかならないのかもしれませんが、完全に「死亡フラグ」として読者に容認されているため「お約束」として扱われることになります。しかしこの「ご都合主義」と「お約束」の境は非常に曖昧で、一般文芸、ライトノベル、WEB小説それぞれの読者層に委ねられるところがあります。


 ご都合主義の回避には「偶然」を掘り下げるしかありません。この「偶然」には二種類あって、完璧な偶然とそうではない偶然があります。前者は「③物語の進行に必要なら福引きで温泉旅行を当てられる」などで、この「福引を当てる」という行為は、物語において「必然」でも本当の偶然でしか成立しません。

 反対に後者の偶然は「偶然が起こる」前に伏線が張れるものを指します。例えば「午後から雨が降る」という偶然は、事前に「天気予報」や「雲行きを気にする人」を用意することで、偶然雨が降り始めて主人公が有利な展開になっても、ご都合主義とは捉えられない可能性が高くなります。つまり読者に「雨が降りそうだな」と「予見」させることで「ご都合主義」を緩和させるわけです。


 質問を頂いたので以下に引用させてもらいますね。

『例えば「幼馴染から貰ったペンダントが敵の一撃を防ぎ、そのおかげで致命傷になるのを避けることができた」という状況があったとします。ペンダントの存在を所々で描写さえしていれば、問題はないように私には思えたのですが、その方にとっては「ご都合主義」にしか思えなかったそうです』


 質問文から読み取れないことがありますので事例を補足。

①敵の攻撃が物理的な弾丸などの場合。

 胸元に収めていたペンダントが弾丸の威力を減殺して致命傷を免れる。

②敵の攻撃が魔法や異能力などの場合。

 ペンダントが不思議な現象(発光ないし結界を生み出す)を起こしたことで致命傷を免れる。


 ①の場合はペンダントの存在を読者が知っていれば問題ないと考えられますが、②の場合は読者に「このペンダントには秘密がありそう」と感じさせる必要があります。ファンタジー要素を含む場合は「なんでもあり」だからこそ、作者側で世界観を含めた「あり」と「なし」の作り込みが大切です。ただし完成度を高め過ぎて面白味がなくなることもあるので、その辺りのバランス調整が一番重要になるのかもしれません。 N

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