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Nから見る「小説家になろう」変遷

 体験談を踏まえながら駄弁るだけかもしれません。

 私が「小説家になろう」に初めて投稿したのは2008年の頭くらいです。それまで別サイトで小説を書いていたわけでもないので、流行や暗黙のルールも知らないまま二万字程度の物語を投稿したんですよね。当時は異世界やVRMMOという非現実的な世界ではなく、等身大の女の子が許されない恋に苦悩する物語が強かった印象があります。ただ一位は「自殺屋」という作品で、流行に比べると異質な感じでしたね。それからしばらくして「異界の魔術士」という作品が台頭してきたような記憶があります。


 ちなみに投稿した物語は「人生に絶望した男が死に場所を求めてビルの屋上へ向かうのですが、そこには先着の女がいて、死に場所を巡って口論しているとさらに自殺志願の女が出てきて一悶着する」という内容です。要約すると黒歴史ということになりますね。重いテーマですが基本コメディーでオチは政府の自殺防止プログラムだったみたいな感じです。


 しばらくして感想もいくつか頂きました。というのも当時は「感想を書かないと評価できないシステム」だったので、今より感想をもらえる機会は多かったような記憶があります。わざわざ感想を残してくれる読者ですから基本的に好意的な内容ばかりでしたね。


 ただ評価が現状のような完全加点システムではなく、平均点(詳しいシステムはわかりません)を採用していることもあって、上位作品に対して「一言コメント+1:1評価」のような荒らし行為や、明らかに正当な感想でも「5:5評価」以外は消す作者なんかもいて、そういった不正行為やそれに伴うモラルの低下を是正するために、現在のような感想と評価を切り離した完全加点システムへ移行したと考えられます。ほかにも本になったら「買う」か「買わない」みたいな評価もありました。


 では現状のランキングシステムは優れているのか?

 そう問われると首を傾げざるを得ません。


 というのも現状のシステムは「面白い小説」を押し上げるものではなく「流行以外の小説」を振るい落とす役割しか果たしていないんですよね。つまり流行に興味がない読者にはまるで意味を成していないんです。これについては私より遥かに的確な指摘をされている方がいますのでそちらを参考にしてください。


「日曜日はスコップ日和(未評価作品をスコップで掘る)」 作者:まめ太

「番外のついで」の中でランキングシステムを料理に置き換えて解説しています。


 作品だけでなく「参考になる感想やレビュー」を書く読者にもポイントを付与する機能があって、一定の域に達すると評価5:5から10:10であったり50:50であったり、最大で500:500くらい割り振れる「カリスマ読者」がいたら面白いんですけどね。もっともそれはそれで問題が生まれるでしょうから意味はありません。それにカリスマ読者へ投票する方が「なろうランキング」を構築しているわけですから本末転倒でしょうね。


 ともあれランキングシステムへ疑問を持ったりランキング作品の出来を分析してくれる方がいるのは素晴らしいことです。嫉妬や僻みでランキング作品やランキングシステムに難癖をつけるのは論外ですが、理論的に不備や出来を指摘する方がいなくなれば改善されることはありませんからね。セカンドランキングもそれが機能しているかは別として、現状のシステムに疑問を抱く方がいるからこそ生まれたわけです。こちらも他力本願で申し訳ないのですがランキング作品に対する疑問やプロとしての心構えは下記のエッセイで的確に綴られています。


「小説について、あれこれと」 作者:新條大輝

「プロになるとは」と「心は小説に表れる」

 

 私も流行ジャンル作品には思うところがあります。

 高校にしろ大学にしろ文化祭に芸人さんが呼ばれたとき、お調子者の「○○先生の真似」みたいな身内ネタのほうが受けるときがあるじゃないですか? 確かに芸人さんより爆笑を得ているわけですが、それはその生徒のネタが優れているわけではなく、観客のほとんどが身内ネタに寛容な環境化だから受けるんですよね。


 つまり「学校の文化祭(小説家になろう)」で「生徒(なろうの読者)」に披露するから評価されるのであって、全国各地に存在するお笑い好きの方(一般文芸やライトノベルを好む層)には普通受けません。もちろんこれは数の暴力的に評価されている「流行ジャンル作品」に対する発言で、小説家になろうで評価されているすべての作品が面白くないというわけではありません。


 おっと、書き過ぎると愚痴になってしまうので話を変えましょう。


 いわゆるプロと呼ばれる専門的な仕事は、そのほとんどが幼少期から取り組んでいることが多く、野球にしろサッカーにしろ囲碁にしろ将棋にしろ、ある程度の段階で「こいつらの中からプロが生まれる」という目安が存在します。しかし小説家は「ある日」を境にいきなり先生になってしまうんですよね。つまりそれだけプロと素人との境界線が曖昧な仕事とも言えます。その弊害なのか次のような考え方をする方が冗談ではなく本気で存在するんですよ。


「大学受験に失敗した。就職にも失敗した。だから小説家になるしかない」


 ええい、ちょっと待てい!


「大学受験に失敗した。就職にも失敗した。だからプロ野球選手になるしかない」

「大学受験に失敗した。就職にも失敗した。だからプロサッカー選手になるしかない」

「大学受験に失敗した。就職にも失敗した。だからプロ棋士になるしかない」


 と考える人は皆無なのに小説家にはなれると思っているんですよね。言い方は悪いですが小説を逃げ道にしないでください。敢えて言うなら「熱心に勉強したわけでもないのに超有名大学に合格、特に入りたいわけでもなかったのに超一流企業に内定、とりあえず片手間で書いた小説が新人賞を受賞」のほうがかなり現実的です。


 話を変えたつもりが愚痴になっている不思議。


 閑話休題。

 それまで個人サイトや別サイトで書いていた方が「小説家になろう」へ転載、または単純に利用者が増えた背景には、少なからず人気を博せば「出版化」されるという飴によるものだと感じています。もちろん出版機会を増やすことには大賛成の立場なので、転載や流行ジャンルを書くことには肯定的なのですが、やはり文化祭で生徒にしか受けない作品群でランキングが埋め尽くされることは残念ですね。


 初心者を対象にした「0から講座」で辛口な批評は的外れだと理解しているのですが、ほかの方が書いている鋭いエッセイに影響されてしまいました。応用編になったのだから構わないという気持ちもあるのですが、ほとんどは本音を吐露したいという欲望に負けただけなので問題ですね。そんなわけで最後に一つだけ本心を書かせて頂きます。


 小説家になりたいなら――甘えるな。 N

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