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文章のテンポ

 文章のテンポは執筆より読書の感覚で考えるべきかもしれません。

 というのも「執筆脳」で考えると冗長になることが多いからです。十行で伝わる説明なら十行で済ませるべきで、ついつい三枚分書いてしまうのは、やはり作者の自己満足でしかありません。


 描写過多は執筆に慣れ始めた中級者以上の方に目立ちます。

 思考・感情・情景が書けてしまうので、その技術を発揮しようとして陥る症状ですね。

 処方箋は短い言葉で文章にリズムを出すことでしょうか?

 短文は昔からよく使われている「読みやすい文章」の基本ですからね。しかし小説においては少し事情が異なってきます。なぜなら誰にでも伝わりやすい短文ばかりでは個性を出し難くなるからです。


 まずは以下の文章を読んでください。


『あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわをんあいうえおかきくけ、あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわをんあいうえおかきくけこさしすせそたちつてと』


 先入観を持たれないように文章は五十音に置き換えていますが、文字数と読点の数や位置は原文と同じ内容になっています。ちなみに物語の中でアクセントとして用いられた長文ではなく、これくらいの長い文と読点比率が作中で頻繁に使用されています。


 どのような印象を受けましたか?


 百二十字の中に一つしか読点がないので、これを短文と考える方はいないでしょう。

 ひょっとしたら冗長で読み難いと感じた方もいるかもしれません。しかしこれが小説の面白いところでもあります。つまり難解な造語や息継ぎを許さないような長文を重ねることで、独特なリズムに引き込んでしまうという手段も成立するわけです。※もし駄目なら改稿の段階で修正させられてしまいますからね。


 編集者曰く

「文章の良し悪しは文面だけでわかる」

「ただ小説だけは悪文に見えても読んでみないとわからない」

 だそうです。※すべての編集者がそう考えているとは限りません。


 とはいえテンポの優れた文章を書く基本は短い文でリズムを生み出すことです。

 一文の長さと読点の量を調整するだけでテンポは格段によくなります。また軽く読むタイプの小説なら改行を多用する方法も有効です。視覚的な印象が随分と変わるので効果は一目瞭然でしょう。


 しかし短文も美点ばかりではありません。これは長文に比べて書き手の個性が見えないことです。その改善に一番よく利用されている方法が修辞技法ではないでしょうか?


 修辞技法とは「比喩・倒置法・体言止め・反語・反復法・同語反復」等を指します。

 文末や文章のリズムを変えて書き手の味を出せます。地の文が「ト書き」っぽいと指摘されたことのある方や語尾が「~だった」や「~した」の連続になってしまう方にはおすすめです。ただしテンポを上げるために多用されがちな「体言止め」を含め、技法に頼り過ぎて単なる悪文になってしまうケースも否めません。序盤で書いた「技術を発揮しようとして」失敗するパターンの典型例です。


 例えば菓子による「きのこ派」と「たけのこ派」のように、文章にも「短文派」と「長文派」が昔から存在します。いくらなんでも言葉の意味が伝わらない場合は論外ですが、そういうことでなければ、どちらの文章がテンポよく読めるかは好みの問題になるかもしれません。


 ただWEB小説やライトノベルを執筆する場合は、まず短文型で文章の流れを意識し、極稀に長文を混ぜて文章に味を出すくらいが丁度良さそうです。 N

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